作成:2002年1月2日
今年は結構粒揃い.そんな中から選んだ20選.是非ご賞味を.
「天才とキチガイは紙一重」とは彼のこと.ここでもギリギリのところで「天才」側に踏みとどまっている.前作「Richard D. James Album」からかなり間隔をおいて(先行シングルになると思われた"Windowlicker"からも2年くらい開いてしまい,しかもその曲は収録されない始末)のリリースで,タイトルからも思わず「ニヤ」っとさせられる今作.2枚組トータル2時間を飽きさせずに聴かせる魅力.「テクノがキライ」なんていうことは言わせない.これを聴いて何も感じられない人はいないはず!是非!
前作「Kid A」と同一セッションからの楽曲からなる,対を成す位置付けの本作.前作は難解な印象が強かったため,とっつきにくいきらいがあったが,この路線での2枚目ということで,そのあたりは百も承知.内省的な世界感は聴き応え十分.じっくりと味わいたい好盤.
「ブルータル」という形容詞がこのバンド程似合うヤカラはいない.「Roadrunner」からの2枚目(通算3枚目)では,デス・メタルを筆頭に,モダン・ヘヴイネスとかつて評されたサウンド・スタイルの正統なる継承者である彼らの魅力が十二分に閉じ込められている.日本盤ボーナスのライヴ・テイクのMCにあるように「これこそがメタルのあるべき姿」.「お前が555だったら,オレは666じゃあ!ゴルワァ!」.
クラシック・メタルが死滅して久しい.それはマンネリによる要因が大きいのだろう.また,かつて70年代に全盛期を極めたバンドたちが80年代には自然消滅していったように,80年代栄華を過ごしたバンドが90年代以降消滅していったのだろう.時代は繰り返すのだ.そんな中,JUDAS PRIESTのフロントマンとして活躍したロブ・ハルフォードがHALFORDの名の元にリリースしたこの2枚組ライヴ・アルバムにはヘヴイ・メタルの歴史そのものである彼のキャリアを振り返るかのように佳曲が連発される.このスタイルでは新しいバンドは出てこないと思われるだけに,彼を人間国宝として保存し,伝統芸能の灯を絶やしてはならない.
一聴して感じるのは「地味なアルバムだなぁ.」ということ.しかし,その地味さの根底には「ダレもが日々感じるような事柄」を等身大(と言っても彼は2mくらいある巨人なんだけど...)で歌い上げるG Love.ボブ・ディラン,ボブ・マーリー,BEASTIE BOYS,リッチー・コッツェン,etc...さまざまなスタイルのミュージシャンからの影響が感じられるが,それらを見事に自分のモノとして消化し,提示する技量.聴きこむ程に味が出てくる好盤.
メジャーからの3枚目(後に「Sony」からリリースされたインディーズ時代のアルバムやミニ・アルバムなどは除く).こちらも初めて聴くと地味な印象を受ける.それはDJキルモアによるスクラッチ・ワークが後ろに下がり,歌モノとしてバンド自体を編成し直したかとも取れる.前作まで日本市場ではさっぱりだったが,夏の「サマーソニック」出演以後,本作でもレコ社が力を入れているらしく俄然注目を集めだした感がある.
良く出来た新人だ.90年代型モダン・ヘヴイネス,ハードコア,ヒップホップの要素を分析し,巧みに味付けして纏め上げた感がある.ありきたりのサウンドながらも凡百のバンドとは一線を隔すことが出来ているあたり,「売れセンを計算してるバンド」として蔑するのではなく,「計算できるバンド」として賞賛すべきではないだろうか.ただし,この路線では次作が正念場になるのは確か,果たして上手くやれるのか?
英国の良心とも言うべきOCS.ここ数作は良くも悪くも安定していたが,本作も同様で,心に染み入る楽曲が収められている,このバンドに初めて触れるにはこのアルバムからではないのだろうけど,好盤ではある.
リック・ルービン先生に見出されたアルメニア移民による彼ら.OZZFESTのストリーミング・キャストを見て一発で気に入ったのだけど,1stアルバムを買いそびれたままになっていたところ,リリースされた2枚目.独特のリズム展開のため,はっきり言って「乗りにくい」,いや,「暴れにくい」と言った方が適切か?今回はシングルとして切られた"Chop Suey!"が絶妙で2つの楽曲を合体させたようなこの曲だけでも「買い」.
元THUNDERのギタリストだった彼の1枚目のソロ.この手の「バンド解散後,ギタリストがソロを作りました」的なものってハズレ度が限りなく高いのだが,本作に限ってはそれは当てはまらない.バンド時代の楽曲とさして変わらないクオリティーを保っているし,また,バンド的な熱さが抑えられていることもあり,地味ながらも味わい深く仕上げられている.ギタリストとは言え,歌唱もそれなりにこなしているのでその点はご心配なく.
鼻輪vox.ラジョン・ウェザースプーンをフロントに据えたアメリカ南部産バンドの3枚目.インパクトがありすぎとも言えた衝撃の「ウッドストック'99」のパフォーマンスで男を上げた彼ら.今回は前2作にあったような暴れるための楽曲にパンチが欠けていることもあり,そういう意味では少し弱いのだが,既発のSNOTのvox.のトリビュートCDにも収録されていた"Angel's Son"には泣かせられるところ.是非生で見たいバンドだ.
3作目.前2作はギターを持ったスタジオ・エンジニアのオヤジたちが縦横無尽に思うがまま作り上げてきた感があったが,今回もその延長線上にある.更に今回はvox.へのエフェクトを多用していることもあり,シャーリー・マンソン嬢の印象が少し変わってきた.今までの気だるさをウリにしていただけでなく,しっかりとした歌心みたいなものが見受けられるようになってきた.これはこれで評価に値するのではないか.
「2枚組の1stアルバムを出して,それがチャートの1位になって,その後解散するんだ」とかほざいていたはずのこのバンドも,すっかり英国の顔.抜群の安定感は貫禄勝ち以外の何物でもない.
難解...非常に難解だ.でも凄い.
退廃的なロックを今時やっている彼ら.非常に魅力的だ.決して上手くないし,個性が強いわけでもない.今,このサウンドを提示する必然はない.しかし,ウソ臭さが感じられない等身大の魅力が詰まっている.期待の新人.
女性vox.アンジェラ・ゴッソウを迎え,メタ・オタのハートをがっちり掴んだこのバンド.飛躍となるはずだったが,バンド自体はそのvox.の体調不良によりライヴが思うように行えず,このアルバムの好セールスを受けて一気にスターダムに上がるチャンスを逸した感は否めない.しかし,本作に収められた楽曲は最早古典とも言えるオーソドックスなメロ・デスであり,肝心のアンジェラ嬢もそれこそ男顔負けのです・ヴォイスを聴かせ,十分必要条件を満たしている..
御大復活!まさかの復活劇を遂げたTHE CULTはDs.にマット・ソーラムを再度迎えての「THE CULT」アルバムからの延長線上に一する.再結成の類は所謂「縮小再生産」で,「昔風の楽曲をやろうとするんだけど,やる気の無さ(金目当てだから...)と能力の衰え,さび付いたセンス,etc...が入り混じり,聴くに耐えないものが出来上がることがほとんどなのだが,本作はそれには当てはまらない非常に稀有なケースだ.本作リリース後,「サマーソニック」で来日し,オールド・ファンを喜ばせたのだが,そのときのMCが忘れられない.「MARILYN MANSONが良いか? SLIPKNOTが良いか? いや,THE CULTがイチバンだぁ!」本人のその気概は買うよ.でも,会場を埋めたオーディエンスはSLIPKNOT目当てだったけどね.
地味この上ない.とても2001年のアルバムとは思えない70年代あたりのサウンドをそれこそブイブイ言わせるこのバンド.ブルータル路線から脱却し,地に足の着いた楽曲を演奏する彼ら.とっつきにくいのは確かだが,聴けば聴くほど味わい深い.
dIkkhEdd氏に頂いたこのアルバムがしばらく愛聴盤だった.元GARACRIC COWBOYSという肩書きからは直接つながるようなつながらないようなところが微妙.THE WiLDHEARTSとその仲間達に影響を受けてこの路線に入ったらしい(THE WiLDHEARTSファンのちょっと変わった女の娘のことを歌った曲なんてのもあり)が,全体的な印象はMIDGETに近い.決してメジャー・シーンで活躍できないバンドなのだけど,子品の良さで一杯だ.
滑り込みで20位として挙げたのはVERULA SALTのタイコのニュー・バンド.デビュー・シングルだった"Flavors Of The Weak"のキャッチーさが白眉.アルバム1枚としてはまだまだといったところ.今後に期待したい.
駄盤供養.
学習能力の無さがこの結果に.
下り坂を転がりだしたら止まらない.「Capitol」から切られ「Sanctuary」の経営する「Metal-Is」に移籍しての本作はバンドとしては正念場だったはず.全盛期の,メンツからはニック・メンザ(Ds.)の脱退だけでなく,このバンドにメロディーという要素を持ち込んだ張本人であるマーティー・フリードマン(G.)の離脱は致命的.後任が小銭稼ぎギタリスト,アル・ピトレリということで期待すること自体が酷.アル・ピトレリは人が書いた曲を巧みに弾きこなす技量は持ち合わせているが,自分では良い曲は書けない.また,彼が絡んだバンドは軒並み失速,沈没している(ALICE
COOPER BAND,ASIA,WIDOWMAKER,SAVATAGE,etc...).一方,デイヴ・ムステインという人の能力も落ち目で,最早良い曲を書く才能は枯渇している.このまま醜態をさらすよりかは引っ込んだ方が良いのではないか?
こういうご時世だから,「世界にはヒーローが必要だろう.でも,もう世界にはMEGADETHは要らない」
古巣復帰後2枚目.前作もイマイチだったが,今回はそれにも増して酷い.良い曲って先行シングルだった"Jaded"くらい.高いシングルなのか?バンド的にもセールス的にはイマイチなこともあり,少しやばい,という意識をもたないと.
「PUSH」ってゴミ箱のふたを押して開けるのかな?
3作目にして躓いた.最初の2枚では順調に育ってきたようには思えるのだが,ここに来て,自分たちを「大物」と勘違いしたようで横柄な印象を受ける.練習してテクを磨き,楽曲も切磋琢磨して作り出してこそミュージシャン.この程度の若造に好き勝手やらしたらダメだ.周りの人間がしっかりとコントロールしないと行けない.このまま失速もあり得る,
「猿知恵」を身に付けたって...猿の脳味噌は土人に食べられるぞ.
2枚目でもうお終いか?オーソドックスな80年代風ハードロックを聴かせていた彼ら.若手バンドが1発屋で終わるかそのままプロとしてやっていけるかを占う重要な位置付けである2枚目のアルバム.しかし,ここには良い曲が入っていない.前作では「コカイン,スキスキ!オカンわかるけ?」と歌いあげた勢いがなく,80年代の凡百のハードロック・バンドの普通のアルバムと同じ.シーンが盛り上がっているのなら,こんなものでもガキどもを騙せるのだろうけど,今こんなことをしていては...
彼らのバンド生命を危機にさらすタイム・ボムがチクタク言ってるYO!
まさかの復帰第2弾.前作では,かつての解散時のファンを呼び戻すことが出来ず,賛嘆たる結果だった彼ら.それでも継続して活動を続けての本作.やはりここでもかつての勢いを取り戻すことが出来ず.以前やっていたような音をやっているんだけど,覇気が感じられない.この程度では満足できない.
かつてはそれこそ「サイコさん」的な危険な香を放っていたこのバンドも死臭を放つばかり.
01年は地味ながらも心に響くアルバムが多かったように思われる.スタイルはさまざまながらも,等身大の自分というのを露にしたミュージシャンたちの魅力というものを感じた(選には漏れたもののBen
Foldsなどもこの路線か).これには80年代に一世を風靡した大仰なプロダクションによる人工的なサウンドによる商業音楽に対するアンチテーゼとして90年代に出てきたオルタナティヴ・ロックを聴いて育った世代がプロとして活動するようになったからなのではないか.一連のオルタナ系バンドはガレージ・ロック的なサウンドで商業主義を怒りを込めて場外に蹴り出した.そんなバンド達は「自分たちがメジャーになり,自分たちが非難する対象だった存在」になってしまい,その存在意義を失いつつ失速してしまった.そういったバンドを聴いて育った世代は「自分たちの憧れる対象」だったオルタナ的なサウンドを目指すか,あるいは,かつてのオルタナティヴ・バンドのように「熱い感情」は持っていないし,また,オルタナティヴ・ロックのバンドが持っていたスーパー・スターらしくない自分らしさ,という要素に魅力を感じ,「等身大な自分」を表現しようとしているか,の2極化しているように思われる.
00年のワースト・アルバムとして,FIREHOUSE「O2」やBON
JOVI「CRUSH」を挙げたところ,ライターのdIkkhEdd氏に「そんなのを今更挙げるのは...」,「今の彼らは単純にgood
musicをやっていない」とご指導を頂いた.確かに「腐ったミカンを指差して,腐ってる」と言っても仕方ないわけです.それにも関わらず,今年もMEGADETHやAEROSMITHを挙げてしまいました.氏のお言葉は頭ではわかっていたのですが,それを行動に移せるようになるまで半年くらいかかってしまったのです(おかげでJUDAS
PRIESTなどを買わずに済んだのです).反省
01年は剣が峰に立っていたバンド(メジャーをドロップしたMEGADETHや,1枚目そこそこの成績を収めたBUCKCHERRY,メジャー第1弾となるBACKYARD
BABIES,前作が躓いたAEROSMITHなど)が軒並みはずしてしまい,窮地に陥ったように思える.
そんな中,今年アルバムをリリースするであろう崖っプチバンド(KORN,LIMP
BIZKIT,PEARL JAMあたり)がどういったアルバムを出してくるか興味深い.
いやいや,ちょっと待って待って.「こんな名作を忘れてる」,「なんでこの名作が駄番扱いなの?」とおっしゃる方,こちらの板にカキコしてくださいね.
back to blah, blah, blah TOP PAGE
昨年(00年)のベストも参照してくださいね.