ハルとデイヴィッドは、まずは馬を飛ばしてサウサンプトンへ向かった。どの港へリックとバックが向かったかは分からない。しかし、とりあえず一番外国行きの船が多い場所の可能性が高いだろう。サウサンプトン港ではなくても、その周辺もあり得る。
 翌日にはもう、ウィンチェスター司教の諜報網が二人に接触してきた。その報告は、二人の予想が的中していたことを示していた。リックとバックは、出港準備中の船へ乗り込む前に、身柄を確保されたと言う。今は、サウサンプトンの城塞に拘束され、ジョン王子も到着して二人が来るのを待っている。
 同時に、ウィンチェスター司教からの伝言も、もたらされた。曰く、何の事情説明も無しに、何の真似だ、事と次第によっては許さない ― とのことだった。ハルは、司教にはロンドンに戻ってからきちんと説明するとの伝言を残し、とりあえずその日はサウサンプトンの手前、トットンで宿泊し、これまでの疲労でバッタリ倒れ込むように眠ってしまった。

 翌朝、サウサンプトンから、ジョン王子が差し向けた迎えが来た。ハルとデイヴィッドは彼らと合流し、サウサンプトンへ向かった。朝の内に城塞へ入ると、ジョン王子が広間に走り出てきた。そして、上気した顔で兄を迎えた。
 「兄上!お言いつけ通り、リックとバックを拘束しました。これから、どうしますか?拷問ですか?縛り首ですか?」
 ジョンは両目をキラキラと輝かせている。ハルはその弟の肩を軽く叩いた。
「ご苦労だったな、ジョン。良くやった。お前は本当に頼りになるよ。」
 ジョンはこの世で一番愛している兄のねぎらいを受け、いたく幸せそうな笑顔になっている。
「いいえ、なんでもないことです、兄上。あの二人の荷物も押さえろとの事でしたので、一応すべて検査しました。別にこれと言って、怪しいものは無かったのですが。」
「そうか。ジョン、リックとバックのところに案内してくれ。デイヴィッドと一緒に、話がしたい。」
「尋問ですか?」
「ただの世間話だよ。」
 ハルの返答に、ジョンは真面目くさった顔で頷き、兵士の一人に案内するように指示した。ハルが歩き始めると、一緒に行こうとするデイヴィッドに、ジョンが駆け寄って来て、声を潜めた。
 「デイヴィッド、お前、兄上と喧嘩したんだって?」
「どこからそういう情報を拾ってくるのですか…」
 デイヴィッドはうんざりしながら歩き始めている。ジョンは歩きながらも、デイヴィッドの左腕をかじりつくように掴んで、放さない。
「もう、そこらじゅうで噂だよ。でもさ、デイヴィッド。お前だって兄上と喧嘩することもあるよな。わかるよ。兄上と距離を置きたい事もあるだろう?大丈夫さ、そういう時にはぼくがいるから…」
「そのときは、よろしくお願いします。」
「もちろん!」
 ハルはもう案内された部屋へ入っている。デイヴィッドもそれに続き、幸せそうな笑顔のジョンの鼻先でバタンと勢いよくドアを閉めた。

 その部屋は、客人用の寝室だった。テーブルには、食事と、ワインのはいった水差し、コップが載っている。武器ではないので、楽器の持ち込みを許可したのだろう。ベッドには黒いくせ毛のマイク・バックが長い足を組んで座り、ピュージーの宿屋でも持っていたリュートを抱え、ポツリポツリと弾いていた。そして、窓際に腰掛けたまっすぐな金髪のトム・リックが、小さなハープをつま弾きながら、低い声で歌っている。

 風がやんだ まさにその時
  そよ風すら 一息つこうとしている
  あたかも風の中にも 静けさがあるように


 ハルもその曲を知っているのか、一緒に続きを歌い始めた。

 嵐の前の 静けさ
 今 まさに船が港に入ってくる… 
(*注)

 リックがハープを床に置いた。そして入って来た二人にほほえみかけた。
「ごきげんよう、皇太子殿下に、サー・デイヴィッド。」
 バックはリュートをポツポツと弾きながら、二人に会釈して見せた。
「やぁ、リックにバック。相変わらず、素敵な音楽だ。」
 ハルが言うと、リックは肩をすくめた。
「お褒めにあずかるのは嬉しいのですがね、殿下。これはどうしたことでしょう。ぼくらはあの船に乗って出発するつもりだったのですが。」
 リックは、窓の外に見える船の一つを見やりながら言った。
「ピュージーでは、故郷に帰ると言っていなかったか?」
「気が変わったのですよ。ぼくらの旅は、いつもそんな調子ですから。」
「リック、レミントンから持ち出した、地図があるだろう。『セウタの地図』だ。俺たちに渡してくれ。」
 ハルが静かに言うと、リックはハルとデイヴィッドを順々に見た。バックは我関せずという様子で、リュートをいじっている。
「ジョン王子さまの指示で、ぼくらの荷物は全部、調べられましたよ。着ている衣服の中までね。でも、何もありませんでした。」
 リックがそう言うと、ドアの前に立っていたデイヴィッドが、歩き出し、ベッドに座るバックの前に止まった。
「バック、そのリュートを」
 デイヴィッドは、バックの手元を指さした。
「渡してくれ。」
 バックは手を止めたが、黙って顔をあげ、デイヴィッドの顔を見つめている。ハルとリックは、その様子を息を殺すようにして見守った。しばらく沈黙が続いたが、デイヴィッドはため息混じりに、口を開いた。
「頼むよ、バック。渡してくれないと、力尽くだ。その素敵なリュートを叩き壊すような真似はしたくない。」
 少し考えて、バッグは視線を落とした。
「お出しします。」
 そう言うと、バックは糸巻きを順々に巻き戻し、弦の張りを大きく緩めると、手が入るようになった正面のサウンド・ホールから手を内側に入れた。そしてしばらく探っていると、やがてバリバリと何かを引き剥がすような音がして、内側から小さく折りたたまれた茶色い紙状の物を取り出した。
 デイヴィッドはそれを受け取ると、そっと開いてみた。一番外側の麻布を取り除いてみると、中から四つ折りになった羊皮紙があらわれた。ハルも、横に来て覗き込む。
「『セウタの地図』…か。」
 ハルは長く息を吐き出しながらつぶやいた。まさにそれは、『セウタの地図』だった。海に細長く突き出た半島の詳細な海岸線。入り江にはその深さが記されている。町を走る道路が太さも表現する形で網の目のように書き込まれ、要塞地下への通路にも目印がある。
 そして裏側には、要塞の見取り図が詳細に記されていた。各階の構造や、櫓の位置、堀と橋の構造。さらに目を見張るのは、地下の通路が半島のどこへ通じているのか、その通路はどの程度の人数 ― 要するに軍勢が通行することが出来るかまで、記されている。
 海には、潮の流れとともに、季節、時刻によってどのような海流が発生するかを、細かな文字で記載していた。
 ハルとデイヴィッドは思わず顔を見合わせた。これは間違いなく、とてつもなく重要な地図だった。この地図の存在は、グラナダ王国の支配するセウタの防御能力を著しく損なうものだ。
 ハルはリックを見やりながら言った。
「これを持って、ポルトガルへ行くつもりだったんだな。今、王家の人々はどこにいる?リスボン?ポルト?」
「どちらでも、殿下にとっては、同じことでしょう。」
 リックがため息交じりに返す。
「それもそうだな。これほど重大な秘密を、レミントンから持ち出して、ポルトガル王家に引き渡そうとすること自体が、問題だ。」
「ぼくらが持っていると、よく分かりましたね。誰に聞いたんです?」
 リックは皮肉っぽく笑いながら金髪が美しい頭をかいている。デイヴィッドが首を振りながら答えた。
「誰も言ってはいないさ。思い出したんだ。ピュージーでお前たちに会った翌日、レミントンでは皇太子一行歓迎の祝宴が開かれた。そのとき、レディ・ロリマーが何気なく口にしたことを。」
「オリヴィアさま?」
「そう。サー・ジョージ・ロリマーの未亡人で、ポルトガル出身だ。レミントンに一年前から滞在しているカスティーリャの学者が、レミントンの膨大な蔵書の中から、何か重大な物を発見した可能性はないか、という疑問を、俺から彼女にぶつけたとき。レディ・ロリマーは心当たりがないと言った。学者たちのうち一人はポルトガル人で、確かな紹介状も携えていたから、問題はないだろうと。
 ただ、彼女はこうも言った。『ロリマー家の蔵書は膨大ですから。なにかいわくのある書物を麻布に包んで紛れるように隠しても、そう簡単には見つからないでしょう。』…なぜ、『麻布』に言及したのだろう?麻布に包んだ、何かだ。図書室にある物は、書籍や、冊子がほとんどなのに。彼女は明らかに、麻布に包んで保管してあった『何か』が、念頭にあったんだ。
 他にも、ひっかかることがあった。けがをしたダニーの部屋に見舞いに行ったとき。リックとバックの名前が出るなり、レディ・ロリマーは妙なタイミングで部屋から出て行った。彼女は、お目立ちの話題は避けたかったのだろうな。」
「ダニーがけがをしたのですか?」
 リックが表情を硬くして聞き返した。バックもリュートの弦を戻す手を止めて、心配そうにしているので、ハルが答えた。
「ダニーは大丈夫だと言っている。あの学者たちは、カスティーリャの密偵だったのさ。俺たちがレミントンに来たことで切羽詰った彼らが、強行作戦に出たせいで、けがをしたが、大丈夫だよ。」
「そうですか。良かった。…でも、それだけの根拠で、兵隊と王子様まで動員してぼくらを捕えるとは、大胆ですね。」
「それだけじゃないさ。」
 デイヴィッドはテーブルの水差しからワインを二つ注いで、一方をハルに渡し、もう一方を口に運びながら続けた。
「お前たちが、ピュージーでハルと一緒に歌いまくっていた夜のことを思い出した。ハルと俺がピュージーの宿屋に入ったとき、リックはタンバリンや、ハープを持ち替えながら歌ったり、笛を吹いたりしていたが、バックは最初から最後まで、一つのリュートを抱えたままだった。その、穴の大きくあいた珍しいリュートだよ。」
 デイヴィッドはバックが抱えたリュートを指差した。
「俺たちがダンスタブルからの贈り物であるリュートやハーディガーディを取り出しても、それを触るのは、もっぱらリック。バックはそのリュートを抱えたままで、決して手から離そうとしなかった。
 たしかダンスタブルの説明では、黒髪のバックの方が、色々な楽器をつぎつぎと持ち替えては弾きこなす、そういう話だった。でも、実際に会った二人は、それとは逆だ。なぜかバックはそのリュートだけを抱えて弾き続けていた。
 それに、翌朝お前たちが旅立った後、宿屋の主人が俺に言ったんだ。バックは『あのリュートを抱えたまま寝ていた』…って。寝ている間も手から離さないリュート。レミントンから持ち出した秘密が、そのリュートに隠されていたからだ。そうだろう?」
 デイヴィッドの問いに、バックは笑みを浮かべただけだ。ワインを飲み干したハルが続けた。
「つまり、サー・ジョージは、自分が作った『セウタの地図』を、麻布で包み、リュートの中に隠したんだな。それからずっと、何年もレミントン城の楽器保管庫にしまってあったわけだ。道理で、カスティーリャの密偵どもが一年かけて書庫を探しても見つからないわけだよ。それをリックとバックが発見したのだな?」
「ご明察。何でもご存知ですね。」 
 リックはおどけて見せた。
「ダニーが俺たちを楽器保管庫に案内したときに、言っていたからな。リックとバックは、レミントンにくるたびに、この楽器庫の楽器を試しては、弾いたり、修理したりしてくれるって。それで見つけたわけだ。」
「言っておきますけどね、ダニーはこの件に全く関係ありませんよ。」
「レミントンの、サー・ジョージの遺品の話だ。跡取りであるダニーに無関係と言うわけには行くまい。」
「でも、ダニーは何も知らない。知っているのは、オリヴィア様と、ぼくらだけです。」
 リックの顔から笑みが消えていた。青みがかった灰色の瞳で、ハルをじっと見つめている。ハルは細かくうなずいた。
「なるほど。『セウタの地図』なんて重大なものをイングランドから持ち出し、ポルトガルへ引き渡すことが露見したら、なんらかの処罰が下ってもおかしくないからな。ダニーに累をおよぼさないように、レディ・ロリマーは、リックとバックにだけ、指示を出したわけだ。お前たちも、リュートの中から地図を発見したとき、まずダニーには知らせず、よくレディ・ロリマーにだけ知らせたな。」
「事の重大さは、見れば分かりますからね。デリケートな問題が関わるだろうし。そもそも、サー・ジョージは明らかに隠していた。ダニーにも何も伝えずに。だから、オリヴィア様にまず相談したのです。」
「彼女の判断は、このとてつもなく貴重な地図を、ポルトガル国王夫妻へ贈るというものだった。それで、地図をもとのリュートに隠し、そのリュートを持ってお前たち二人はレミントンを出発したわけだ。おかしいと思ったんだ。これから皇太子一行がレミントンに来るというのに、旅楽師が入れ替わりに旅立つなんて。どう考えても、稼ぐには絶好の機会だ。それを逃しても構わないというほど、重大な任務を負っていたわけだな。」
「もちろん、本来は殿下やサー・デイヴィッドに、レミントンでたっぷり音楽をお聴かせして、稼ぐつもりでしたよ。」
 リックはまた笑った。ベッドの上に座ったバックも小さく笑っている。デイヴィッドは腕を組みながらつぶやいた。
「つまり、レディ・ロリマーも、皇太子の来訪に突き動かされのだな。ハルと俺がレミントンに来るということは、この『セウタ地図』を入手するために違いないと思ったわけだ。それで、俺たちが到着する前に、お前たちを急いでポルトガルへ向かわせた。」
「ピュージーでお二人がぼくらと同じ宿屋に現れた時は、心底驚きましたよ。でも、ご一緒に歌えて、楽しかった。」
 ハルはもう一度、手に持った『セウタの地図』に目を落とした。
「サー・ジョージが作った『セウタの地図』…。ポルトガル国王夫妻へ贈るというのが、未亡人の決断か。リックとバックも、同じ考えなんだな。」
「ええ。サー・ジョージがご健在なら、きっと同じようにするでしょう。…殿下はどうします?」
 リックは低く言うと、ハルをじっと見つめている。バックも黙ったままだが、ハルを注視していた。
 ハルは地図をもう少しだけ眺めていたが、やがてそれを四つ折にたたむと、元のように麻布をかぶせ、バックに手渡した。
「足止めして悪かったな。もう行っていいぞ。」
 リックが聞き返す。
「いいのですか?」
「俺たちは、何か勘違いをしたらしい。」
「ポルトガル国王夫妻にはなんと?」
 ハルは少し視線を泳がせてから、ため息交じりに肩をすくませた。
「さぁ。別に。神のご加護が国王陛下、王妃であるわが親愛なる叔母上、いとこたち、そしてポルトガルにありますようにと、伝えてくれ。」
 デイヴィッドはハルの背後で黙って立っている。リックも用心深くしばらくハルを見つめていた。
 最初に動き出したのはバックだった。彼はハルから渡された地図を上着の内側に押し込むと、例のリュートを手に持って、立ち上がった。そしてハルと、デイヴィッドへ会釈をすると、ドアのほうへまっすぐに歩き始めた。リックも同じように会釈をして、バックを追う。
「リック、忘れ物だ。」
 ハルが壁際に置かれた小さなハープを指差しながら声をかけると、ドアの前でリックが振り向き、微笑みながら言った。
「皇太子殿下に差し上げますよ。」
「礼をされるような覚えはないが。」
「ただの贈り物です。同じ、音楽好きとしてのね。」
 そう言い残して、リックはバックともに足早に出て行った。
 廊下に数人の兵士とともに控えていたジョンが驚いた顔で、背伸びをしながら室内に呼びかけた。
「兄上!いいのですか?」
 ハルは窓際から大声で答えた。
「俺の勘違いだ。ジョン、悪いがあの二人が、船の出港に間に合うように、取り計らってやれ。荷物もちゃんと返すんだぞ。」
「わかりました!」
 質問もせずに、ジョンはドアを閉めると、駆け出していった。

 部屋に残ったハルとデイヴィッドはしばらく黙っていたが、やがてハルが窓際に腰掛けながら口を開いた。
「それで?ご感想は?」
「俺の感想が知りたいのか?」
「知りたいね。お前はあの地図をめぐる騒ぎのせいで、地底深くに閉じ込められた、要は被害者だ。意見の一つや二つ、あるだろう。」
 デイヴィッドは小さく鼻から息を吐いてから答えた。
「あれで良かったと思うよ。ポルトガル国王夫妻もお喜びだろう。そもそも、サー・ジョージの持ち物だ。レディ・ロリマーの判断にけちをつけることもないさ。ウィンチェスター司教さまは怒り狂うだろうけど。」
「叔父上か…。セウタの詳細な地図だからな。みすみすポルトガルにくれてやったなんて知ったら、確かに怒り狂うだろう。でも説明しないわけにもいかないだろうし…」
「話ってなんだよ。」
「ああ?」
 デイヴィッドの唐突な質問に、ハルは間抜けな声で聞き返した。
「レミントンの台所で、話があると言ったら、お前もあると言っただろう。なんだよ。」
「ああ、あれか。」
 ハルは壁際に残された小さなハープを取り上げると、それをいじりながら答えた。
「まぁ…あれだ、デイヴィッド。つまりその…人質にだけはなるな。」
「ああ…」
 デイヴィッドはばつが悪そうにすこしうつむいた。
「俺もどうかしていた。あんな簡単に騙されて、閉じ込められるなんて。」
「リベイラがお前の剣を見せたとき、平静を装うのに苦労したぞ。それに…イングランドの皇太子として、取引の最後の最後には、お前の命を捨てなきゃならないこともある。」
 ハルは数本の弦を何気なく弾きながら、小さな声で付け足した。
「そうなったら、死ぬより辛い。」
 デイヴィッドが顔をあげると、ハルは弦を弾きながら糸巻きをひねっている。デイヴィッドは、小さく笑って、答えた。
「分かった。人質にはならない。」
 デイヴィッドも、ハルが腰掛けている窓際に来て、窓の外を眺めた。サウサンプトン港には大小の船が停泊し、人々が忙しく積み荷をやりとりしているのが見える。デイヴィッドはふと、レミントンからロンドンに持ち帰る予定だった大量の荷物のことを思い出した。あれらに関しても、結局デイヴィッドは大した働きができずじまいだった。
 デイヴィッドはしずかに笑いをこらえると、相変わらずハープをいじっているハルに言った。
「さっきの歌、続きを聞かせてくれ。」
 ハルはちらりとだけデイヴィッドを見たが、すぐにハープを構え直すと、さっきのリックとバックよりもゆっくりとしたはやさで、歌い始めた。

 ああ 魚たちは 泳ぎなら 笑うだろう
 カモメたちもきっと ほほえむだろう
 砂浜にたつ岩は 誇り高くあるだろう
 時まさに 船が入ってくるのだ…
 (*注)


*注:ボブ・ディラン “When the ship comes in” 収録アルバム:[The Times They Are a-Changin'](1964)


 →15.ジェーン・フェンダーが、意外な才能を発揮する事

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14.ジョン王子、首尾良く任務を遂行する事
Origina Novel   Hal & David  オリジナル小説  ハル&デイヴィッド


  サー・ジョージの贈り物