あさみ様からのいただき物
 
 またもや頂いたぞ、GIFアニメ!!題して 「ただいまお仕事中」
またの名を「サムシング語り」

 またもや、あさみ様にGIFアニメを頂きました!
 今回は、ハルとデイヴィッドのお仕事中です。


 あさみさんのGIFアニメの特徴は、主に…
  1.かわいい
  2.間が絶妙
  3.歌いまくる
  4.容赦のないエンディング

 さて、今回徹底的に可愛いのは、圧倒的に皇太子殿下ですね。寝起きのせいか(こいつは寝起きが悪い)、仕事はしないし、「なーなー」とうるさいことこの上ありません。
 その上デイヴィッドに絡む。食べたいものを言うあなたは、子供ですか?
 「まつげ長いな」というのは、実際デイヴィッドのまつ毛が長いからです(笑)。と、申しますのはデイヴィッドの容姿のモデルはジョージ・ハリスンという実在人物なのですが、彼が長いまつ毛の所有者なのです(眉毛もすごいが)。

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  ハル & デイヴィッド  
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 しまいには、イングランドの皇太子とあろうものが、バカップルのバカ女の如く「俺のこと好き?」などと尋ねて来ました。小悪魔め!ここでデイヴィッド、何を思ったのか自分は「別に」のくせに、「お前は?」と聞き返してしまいました。ああ、一生の不覚。恐らく前夜、ジョンに一服盛られたのでしょう。「うっかりさん薬」を…。
 すると皇太子殿下、一瞬真顔になると(芸が細かいですよ、あさみさん…)、やおら歌い始めました!!曲はビートルズの名曲「サムシング」です。
こ、これは私に「サムシング語りをしろ」という事ですねッ?ええ、しますとも!!!

 You're asking me will my love grow / I don't know, I don't know  
 You stick around now, it may show / I don't know, I don't know  
      君は僕に 愛って育つものかなんて訊くけれど 僕には分からない
      君は今僕のそばに居てくれるから そのうち分かるだろうけど 僕には分からない


 ザ・ビートルスは1969年には解散が決定的な状況に陥りますが、最後のヤケクソとでも言うべきパワーで名作アルバム「アビーロード(Abbey Road)」を発表しました。このアルバムの中でも屈指の名曲が、今回登場した「サムシング(Something)」です。作ったのはジョージ。もちろん彼が歌っています。あまりの名曲なので、Yesterdayの次に、沢山カバーされている曲となりました。ハルが熱唱しているのは、「サムシング」のブリッジ(メインメロディをつなぐ部分)です。
 この曲でジョージが歌っているのは、当時の妻パティだというのは、一般常識でしょう。パティは金髪碧眼,現実離れした愛らしい顔に、抜群のスタイル(元モデル),そして芸術的情熱を引き出させるような、まさにロッカーに愛されるタイプの女性でした。

 ところが、70年代,この女神と言うべき女性に横恋慕する男が登場。それこそジョージの親友のエリック・クラプトンです。エリックはジョージとの友情も失いたくないけど、パティへの愛も捨てきれないというジレンマに苛まれ、
やれヘロインだ、コカインだ、LSDにマリファナだ、ついでに酒だ女だ、俺はもうだめだ、俺は死ぬー!と、面倒な騒ぎになります。
 結局この幸福な男は愛する女を手に入れ、親友とも友情を保ち続けるという僥倖を得ます。つまり、パティはジョージと離婚し、エリックと再婚した訳です。エリックがパティに捧げたラブ・ソングとしては「レイラ」「ワンダフル・トゥナイト」が有名ですが、「サムシング」に相当するのは、「レット・イット・グロウ」(461 Ocean Boulevard / 1974)でしょう。
 しかし、話はこれでは(全然)終わらない。80年代にはエリックとパティの結婚生活は破綻し、離婚。結局ジョージとエリックの友情が変わらずに残る訳です(ついでに言うと、ジョージは二人目の奥さんと、可愛い息子とで幸せファミリーを形成していた)。
 
 そして1991年。ちょっと色々事情があって(本当に色々あってね…)、ジョージはエリックと共に日本でのライブツアーを行うことになりました。来日直前、二人は日本のテレビインタビューを受けます。
 そこで(命知らずな)インタビュアーは、二人に「パティに捧げた曲について」の質問をします。するとジョージはちょっと真顔になって、
 「サムシングがそうだって言われているけど、違うんだ。あれはただの歌だよ。はっきりさせておくけど。」
 と答えます。これは明らかに隣に座っているエリックを気遣っているのがミエミエです。うん、いい男だ。
 所が、ここで突っ込みを入れる男が!よりよってエリックが突っ込むではありませんか!
 「えー。じゃぁ、誰の曲なんだよ〜。」
 
オメーを気遣っているんじゃねーか、この野郎!…と、視聴者もジョージも思ったでしょうが、ジョージは笑いながら、
 「さぁね〜。エリックのマネージャーさんの事じゃないの〜?」
 いい男だーー!!

 この時のジョージ日本公演は今や伝説です。「サムシング」は数々の名曲のなかでも人気の曲ですから、当然演奏されました。ライブ音源が公式に残っているのは本当に幸運です。「サムシング」は、ハルが熱唱したブリッジの所で、珍しいジョージとエリックの「声のコラボレーション」が聴けます(ギターが殆どなので)。ギターソロは、エリックとジョージそれぞれが入れて、とりわけエリックのソロが美しいです。

 話はまだ終わりません…(私が音楽を語りだすと、こうなのだ!)
 2001年、ジョージはエリックを置き去りにして、えらく遠いところに行ってしまいました。翌年、エリックが旗振り役になって追悼コンサートが行われます。この時のエリックは、「美しい友情」を通り越して、「ジョージ愛大暴走」。もう誰にも止められません。さすが、ジョージの弟、一番の大親友、義理の夫(これはジョージがエリックに奉った呼称)!

 大物ばかり大挙して参加したコンサートのため、誰がどれを歌うのかが注目されました。とりわけ、「サムシング」は注目の的です。
 「サムシング」というコンサートのハイライトは、ポール・マッカートニー…そう、サー・ジェームズ・ポール・マッカートニー!いつでも俺が一番だぜ、俺が一番目立たなきゃコンサートじゃないぜ!…な、ポールに割り当てられました。直前のワールド・ツアーでウケたらしく、ポールはウクレレを掻き鳴らしながら、ホノボノとした雰囲気で「サムシング」を歌い始めます。会場が和やかで、暖かなムードに…
 しかし!ジョージ愛暴走超特急義理の夫エリックが黙っているはずがありません!一回目のブリッジ末から、どどっとエレキのボリュームを上げ、一気にオリジナルの大感動バージョンに突入。メイン・ボーカルもエリックに!おいおい、エリック大丈夫か。ポールの見せ場奪って、後が怖いぞ!しかし当人はそんなのお構いなし。目の下に縦線二本入らんばかりの表情で、熱唱しまくります。
 「サムシング」の演奏が感動のエンディングを迎えるや、エリックとポールは見詰め合い。エリックは顔が「ジョぉ〜ジィ〜!」と叫んでいます。ポールは「仕方ねぇなあ、この酔っ払い!」。かくして、二人は固く抱き合い、聴衆の涙を誘ったのでありました。
 おいおい、ちょっと待ってくれ。曲はまだまだあるぞ、ここでそんなに盛り上がって良いのか?案の定、ポールのもう一曲「オール・シングス・マスト・パス」で、エリックはポールそっちのけ。マイクから遥か後方で、身をよじり、悶絶せんばかりの大熱唱&ギター弾きを披露したのでありました。
 なんだか余りにもエリックの思い入れが強すぎて、コンサートの本番が終わったらエリックは死んじまうんじゃないかと心配しましたが、杞憂でした。彼は今日も元気に、SMAPへ楽曲提供しています(笑)。

 この「コンサート・フォー・ジョージ」における、エリックとポールの「サムシング」は、2004年度グラミー賞ベスト・コラボレートにノミネートされました。受賞は逃しましたが、「コンサート・フォー・ジョージ」(こちら参照)自体は、みごと最優秀長編音楽映像作品賞を受賞しました。

 ……やれやれ、やっと語り終わりました。読んでくださって、ありがとうございます。実は、「サムシング」は私にとって「一番好きな曲」というわけではありません。それなのに、語りだすとこれなのですから、恐ろしいものがありますね。
 ジョージがいかにいい男かが伝わると良いのですが(いや、エリックの変さしか伝わっていないだろう)。
 そんなジョージがデイヴィッドのモデルなのですが、あさみさんは「モデルさんみたいに、親友に奥さんを取れらないと良いのですが」と仰っておられました。
 その心配は、無用だと思います。何故か。ジョージの親友はエリックで、デイヴィッドのモデルはジョージだけど、ハルのモデルは断じてエリックではないからです。有り得ません。
 そういえば、ハルのモデルって具体的に思い浮かびません。勿論、実在人物としてのヘンリー五世が居るわけですが、私が知っているのはせいぜい彼の業績と、シェイクスピアが描いた放埓の王子ハルくらいです。
 私が描くハルは、この先どんな人間になるのでしょう?私にもぼんやりとしか分からず、かえって楽しみだったりします。

 お話がアニメからだいぶ反れましたね。あさみさん、今回も本当にありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

                                                            28th March 2005

P.S. 一応言っておきますが、私は音楽的にはエリック・クラプトンのファンです(笑)。60〜70年代の彼は本当に神様です。

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