エキドナ紛争から50年。
エキドナに近い、辺境宇宙都市オデッサに、文芸を司る芸者園を誘致する計画が持ち上がる。芸者園はそれに応えたが、情報通信産業を牛耳るマヤ設計局がオデッサの行政を司どる代官に傀儡になれ、と介入してきた。
前作「侵略者の平和」の50年後の世界を描いた作品。
上巻はこの時代の那国文明圏の説明が半分とストーリーが半分といった感じ。また、宗教や神といった概念がない世界でそれらをどう捕らえるか、という考古学的ファーストコンタクト物にもなっているのがよい。ネタばれになるのでコメントアウト。
<下巻>
恒星オデッサが爆発する。天文学者サンジェルマンが予測したその事態は、宇宙都市オデッサの崩壊とその市民10万人の死を意味していた。やむなく龍党とマヤ設計局の要求を受け入れる代官。そして避難計画が発動される。
オデッサ市民の避難計画を縦軸にしつつ、人工言語ネルとそれにより成り立っている組織、龍党を描くのが主題。また前作「侵略者の平和」の読者への回答にもなっている。