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No.47 早川尾根
鳳凰三山を縦走した後、続いて素晴らしい景観が得られ、人が少なく静かな山歩きが楽しめるという早川尾根(2799m)を歩きました。天気に恵まれ、鳳凰三山とは一味違う山歩きを楽しめました。

日時 2004年(平成16年)8月3日(火)〜8月4日(水)
天候 8月3日 晴、朝夕曇
    8月4日 晴
同行 なし

所要時間
8月3日
鳳凰三山から→ (12.55)白鳳峠(13.00) ←25分→ (13.25)赤薙沢ノ頭(13.30) ←35分→ (14.05)広河原峠(14.10) ←50分→ (15.00)早川尾根小屋
8月4日
早川尾根小屋(4.50) ←1時間→ (5.50)標高2600mのピーク(6.05) ←1時間→ (7.05)ミヨシノ頭(7.10) ←50分→(8.00)アサヨ峰(8.20) ←1時間10分→ (9.30)栗沢山(9.55) ←1時間10分→ (11.05)仙水峠(11.10) ←30分→ (11.40)昼食(12.10) ←5分→ (12.15)仙水小屋(12.15) ←30→ (12.45)北沢長衛小屋(12.45) ←15分→ (13.00)北沢峠

山行概要
8月3日
鳳凰三山から続く
ミヨシノ頭から見る鳳凰三山と富士山
ミヨシノ頭から見る鳳凰三山と富士山
ここからでも地蔵岳のオベリスクがよく目立つ
白鳳峠を越えるとすぐ赤薙沢ノ頭への登りが始まります。たいした登りではないのですが、この日すでに6時間以上歩いているので、辛い登りでした。赤薙沢ノ頭は見晴らしの良い所ですが、周りは既に雲が湧いていて、僅かに先ほど下った高嶺が見えるだけでした。それにしても高嶺は随分高く見えました。

赤薙沢ノ頭から広河原峠までは、比較的なだらかな下りが続きます。体力が消耗していましたのでこの下りは助かりました。少し下りがきつくなったと思ったら広河原峠に着きました。この頃になるとあたりはすっかり曇ってしまい、まだ午後2時だというのに薄暗くなりました。広河原峠からまたややきつい登りが始まりますが、僅かな距離で、すぐ平坦な道に変わります。どんどん歩くと木の向こうにテントのオレンジ色が目に入り、早川尾根小屋の脇に出ました。

小屋の前のベンチでザックを下ろし、一息入れて受付に行こうとすると小屋番の女性に声をかけられたので挨拶をすると、受付のノートと一緒に冷えた麦茶を出してくれました。この麦茶の味は忘れられません。受付が済むとすぐ小屋の中に案内されました。小屋の入口を入るとそこは大きな土間になっており、土間の左右が一段高くなって畳が敷いてあります。ここに布団を敷いて眠るのですが、昔の山小屋の典型で、懐かしい感じがしました。最近泊まった山小屋はいずれも大型化していて、このような作りの山小屋にお目にかかれませんでした。先客は、私より少し年長の夫婦と50才台と思われる女性の単独行者の3人で、今日の予約者はこれで総てとのことでした。

先客とは食事時間まで四方山話をして過ごしました。昨日の山小屋とはうって変わった静かな雰囲気で、気持ちも落ち着きます。食事は山小屋としては豪華で、刺身や酢だこが付いて来たのには驚きました。荷揚げはどうしているのか聞いたら、ヘリコプタは年1回だけで、後はボッカとのことでした。食事の後、山小屋の主人のケーナによるフォルクローレとオカリナの演奏があり、7時にはランプの灯りが消されました。


8月4日
4時に起床し、今日の昼食用の湯を沸かして魔法瓶に入れ終った頃、朝食が運ばれて来ました。昨日、朝食は午前4時半からと言われましたが、4時半には私も含め全員朝食は終っていました。出発の準備が終わり、靴をはいていると、小屋番から「北岳に虹がかかっている、珍しいから見て御覧なさい」と言われ、慌てて外へ出てみました。外へ出てみると、朝日を浴びて赤く染まった北岳の山頂の右の方に、うすく立ち上がっている虹が見えました。小屋からアサヨ峰の方へ急いで1分、普通に歩いて数分の所に、北岳がもっとよく見える場所があると言われ、挨拶もそこそこに慌ててそこへ向いました。しかし、残念、着いて写真を1枚写したところで、北岳に当たっていた朝日が翳ってしまい、北岳は黒い塊にしか見えなくなりました。

しばらく待ったのですが、再び北岳に朝日は射しそうも無いので、歩き始めました。歩き始めてすぐ境界石のような石杭があり、何でこんな所にと怪訝に思ったのですが、帰宅してガイドブックを読み直してみたら、これは三角点で、早川尾根ノ頭だったと分りました。道は樹林の中で、急登が続きます。早川尾根小屋から1時間ほど歩いたところで、見晴らしの良い小さな早川尾根ルートマップピークに着きました。標高は2600mぐらいで、ピークは少し離れて2つあり、いずれも見晴らしは良いのですが、鳳凰三山の方の眺めは、手前側のピークの方が良いようです。ここで写真を写して、しばらく休憩しました。

このピークを過ぎるとまた樹林の中の急登が始まります。1時間ほど歩くと樹林帯を抜け、見晴の良い稜線に出ました。ミヨシノ頭で、ここから栗沢山まで視界が開けます。これから目指すアサヨ峰はすぐそこに見えますが、小さなアップダウンの後の最後の登りが意外に長く、1時間近くかかりました。アサヨ峰は早川尾根の盟主にふさわしく、頂上に立つと目の前に北岳と仙丈ケ岳の全容が、またアサヨ峰から栗沢山に続く稜線の上に甲斐駒の白い頭と鋸岳の尖った頭が、更に後ろを振り返ると富士山と昨日歩いた鳳凰三山が、いずれも見事な姿で聳えています。この日は遠く北アルプスや白山もよく見えました。誰もいない頂上で、しばし時の経つのを忘れていました。

アサヨ峰から栗沢山の間も見晴しの良い稜線の上を歩きます。ちょっとした岩場のようなところもあり、変化に富んだ楽しい道でした。途中で中高年の夫婦連れのパーティーと、私よりひとまわりほど年上と思われる男性の単独行者とすれ違いました。男性の単独行者は、今日早川尾根小屋でテントを張り、明日観音岳まで往復をすると言っていましたが、その元気さに驚かされました。この稜線上の道は、最後の栗沢山の登りが分りにくく、私はいつのまにか本来の道よりだいぶ外れて歩いていました。ここは、私とは逆にアサヨ峰へ向う場合の方が更に分かりにくいようで、山頂を降りたら早めに左の方へ向うようにしないと、下の荒沢方向に入り込む恐れがあると思いました。

栗沢山に着いてみると10人ほどの人が休んでいましたが、軽装の人が多く、ここ止まりか良くてアサヨ峰までの人達のようでした。ここからの眺めはなんと言っても甲斐駒で、山頂付近の白い山肌が目を惹きます。ここで夜叉神峠からずっと私と相前後していたテント山行の若い人達のグループと一緒になり、少し話をしました。今回は夏休み合宿前の予備山行で、この後更に北沢峠で一泊して甲斐駒に向う大学生だと言っていました。山歩きを再開して、こんなに若い人達と話すのは初めてですが、丁寧な言葉づかいで、気持ちの良い会話を楽しめました。

鳳凰三山や北岳は、栗沢山で見納めになります。心は残りましたが、帰りのバスの時間もあり、頂上を下りました。仙水峠までは急坂で、ここの登りを考えるとぞっとしました。仙水峠からは、ただ下るだけです。振り返ると樹林越しに甲斐駒が白い頭を出していました。仙水小屋の少し手前の木立の中で昼食を摂り、後は黙々と歩きました。北沢長衛小屋と北沢峠の間は予想していたよりずっと短時間で歩くことができ、北沢峠13時15分発の広河原行きのバスにピッタリ間に合いました。しかしこのバスは広河原で芦安方面のバスと接続が悪く、広河原に着いてから4時のバスまで、2時間半ほどバス待ちをすることになりました。

夜叉神峠登山口で自分の車に乗り換え、南アルプス市にある立ち寄り湯の天恵泉白根天笑閣で汗を流して帰宅しましたが、道が空いており、9時頃家に到着しました。

今回登った鳳凰三山と早川尾根は、同じ尾根続きの山域ですから共通項もありますが、異なっている特徴もあります。アプローチが割合長いことと、稜線やピークに立ったときに得られる景観の素晴らしさは、共通していると思います。鳳凰三山は、その山域へ足を踏み入れても、地蔵岳のオベリスクやピークを繋ぐ白砂の稜線など、身近な景色が目を楽しませてくれます。一方早川尾根では、身近な景色に特に記すべきようなものはありませんが、静かな山歩きや素朴な山小屋の落ち着いた雰囲気を味わうことができます。いずれが良いかは人それぞれの好みによりますが、私の場合、鳳凰三山は晩秋から初冬にかけて、早川尾根はシーズンに限らず何回か行ってみたい、そんなように感じました。

「山の花」に以下の花の写真を追加花
ハリブキトモエシオガマミヤマホツツジシナノオトギリヤマハハコホツツジコケモモ(実)

8月3日 (鳳凰三山から)白鳳峠〜早川尾根小屋
白鳳峠〜広河原峠間の登山道 白鳳峠から赤薙沢ノ頭への登り
木の密度の濃い、いかにも山深い感じの道が続く
赤薙沢ノ頭から見た高嶺 赤薙沢ノ頭(2553m)から見る高嶺
赤薙沢ノ頭は見晴の良い所だがこの日は周りに雲が湧いていて、高嶺が見えただけだった
ここからは高嶺が随分高く見える
広河原峠 広河原峠
白鳳峠同様見晴は無く導標以外何も無い
ここまで来ると早川尾根小屋まではあと一息
早川尾根小屋までは、15分ほどややきつい登りのあと平坦な道を歩く
早川尾根小屋 早川尾根小屋
厨房は古い建屋だったが客室の建屋は新しく、中は清潔
照明はランプで、朝食と消灯は普通の山小屋より1時間ほど早い(7時消灯、4時半朝食)
昔風のこじんまりとした山小屋で、私には好ましく感じられた

8月4日 早川尾根小屋〜北沢峠
北岳の朝焼け 朝日の当たる北岳
早川尾根小屋からアサヨ峰の方へ数分歩くと北岳がよく見える場所がある
奥秩父の山々 標高約2600mのピークからの眺め
写真は奥秩父の山々
アサヨ峰と栗沢山 標高約2600mのピークまで来るとアサヨ峰やその先の栗沢山が尾根の向こうに頭を出す
ここには他で見かけなかったトモエシオガマミヤマホツツジの花が咲いていた
ミヨシノ頭近くの登山道 ミヨシノ頭近くの急な登り
登りはきついが、浮石があったり木の根が飛び出したりしていないので、歩き難いことは無い
ミヨシノ頭付近の稜線 ミヨシノ頭付近から見たアサヨ峰(中央のピーク)
アサヨ峰が間近に見えるが、ここから1時間近くかかった
ここで樹林帯を抜け、栗沢山まで見晴らしの良い稜線歩きが続く
アサヨ峰と北岳 アサヨ峰(2799m)
標識が立つ岩の上の頂上は狭いが、360°ぐるっと見渡せて、眺望は素晴らしい
調度この頃から上空に青空が広がった
後方は北岳
甲斐駒と八ヶ岳 アサヨ峰から見る甲斐駒と八ヶ岳
この日晴れてはいたが、雲の変化が速く、この後みるみるうちに雲が甲斐駒の山頂の方に昇ってきた
鋸岳と駒津峰 鋸岳(写真奥)と駒津峰(写真手前)
アサヨ峰まで来ると駒津峰の向こうに特徴のある鋸岳を望むことができる
北アルプス槍穂高連峰 この日はアサヨ峰から遠くの山々もよく見えた
北アルプスの槍穂高連峰は一つ一つのピークが確認できた
アサヨ峰と北岳 アサヨ峰〜栗沢山間の稜線から見たアサヨ峰
アサヨ峰から少し歩くとアサヨ峰の頂上が随分高く見えるようになる
遠景の山は北岳
この稜線は仙丈ケ岳と甲斐駒を両側に見て歩き、景色が抜群

栗沢山頂上 栗沢山(2714m)
見晴は素晴らしい
頂上に着いた時は10人ほどの人が休んだり、景色を眺めていた
栗沢山頂上からは甲斐駒が間近に迫り迫力満点
甲斐駒山頂と摩利支天 栗沢山から見る甲斐駒は山頂付近の白い山肌が印象的だった
右手前のピークは摩利支天
仙水峠 仙水峠
ここからしばらく、黒い岩だらけの中を歩いたが、この日は陽射しが強く、焼けたフライパンの中に居るような感じがした
仙水峠付近から見た甲斐駒 仙水峠付近から見た甲斐駒
仙水峠を僅かに下った所で後ろを振り向いたら甲斐駒の白い頭が樹林越しに見えた
青空と白色の山頂のコントラストが素晴らしかった
広河原バス停付近 広河原の甲府方面行きバス停付近
2時間半、バス待ちをしたが、あまり良い休憩場所が無い
タクシーの客引きがなんとも感じ悪かった

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