月山縦走 2015年8月8日 一般旅館利用

8月7日 晴れ

初日は志津温泉に行くだけの移動日だ。

山形へ

9時過ぎに家を出た。平日のハンパな時間なので、新幹線は指定をとらず、東京から自由席に乗ることにした。夏休みで親子連れが多く、なんか人の流れがよくない。東京駅には出発の20分くらい前に着いたが、楽勝で座れた。

月山志津温泉

月山
宿の部屋からは月山が見えた(17:55)
山形からは鶴岡行きの高速バスに乗るが、その前に駅ビルで行動食の買い出し。ずんだの菓子が多かった。
バスに約1時間乗って月山口バス停に着き、そこから宿の送迎車に乗る。宿はつたや。ここは翌朝、姥沢まで送迎してくれるので選んだ。姥沢へは町営バスも走っているが、9時過ぎと遅いのだ。姥沢からのリフトは8時から動いているので、なるべく早く行動したい。
と、それだけの条件で選んだのだが、食事も風呂もよく、くつろげる良い宿だった。酒は日本酒が結構面白そうだったが、翌日の縦走を考慮して自重し、地元山形の酒井ワイナリーの「まぜこぜワイン」をとった。

8月8日 曇りときどき晴れ

5時頃目が覚めて窓から外を見たときは月山がきれいだったが、だんだん雲がかかって7時の朝食時にはすっかり見えなくなってしまった。
宿の朝食は、シャケかなんかが1枚ぺろんと付いてる定食だろうと決め付けていたら、これまたちゃんとした懐石だった。ごはんがつや姫で、炊き方が好みにぴったり。相棒も美味しい美味しいとおかわりを繰り返す。昨夜の夕食といい風呂といい、下山後に泊まってたらのんびりできてよかったのに。

月山リフト

道
リフト駅までの登りが結構堪える(08:08)
宿の送迎車は8時発というアナウンスだったが、利用者が他に誰もいないせいか、我々だけで7:50くらいに出してもらえた。姥沢までは意外に時間がかかったので、これはありがたかった。
降ろしてもらった場所はバス停や駐車場よりもはるかに先のゲート前で、これまた大変ありがたかった。ゲートで清掃協力金とやらを払ったあと、舗装路をまた登る。こいつが朝イチにはきつい。汗をたっぷりかいてようやくリフト駅に到着。片道券を買い、登山届を書いてからリフトに乗ったのは8:20だった。
リフトにはたっぷり15分くらい乗った。ガスガスで展望もなく退屈だったが、森林限界を超えてからは(「ここが森林限界です」という看板がある)、風で雲が流されて、ときどき姥ヶ岳の山腹が見えたりした。花は思ったよりも咲いていそうだ。

8:49 リフト上駅発(高度計:1470m)

月山
やっと月山山頂部が見えた(08:58)
道
霧の姥ヶ岳へ登る(09:04)
リフトを降りて身支度を整えてから出発。ガスが濃ければ牛首へ直行しようと思ったが、ときどき晴れるので、姥ヶ岳を周ることにした。
登りの途中、ニッコウキスゲの黄色が目立った。コバイケイソウは花が終わり黒ずんで、種を熟成させているようだった。他にもイワカガミなどが咲いていた。

9:16 姥ヶ岳(1630m)

草原
キンコウカの草原(09:11)
草原
キンコウカの草原(09:12)
何度かジグザグを切ると斜度が緩くなり、すると一面のキンコウカの草原になった。これほど多くのキンコウカを見たのは初めてだった。池塘も点在して美しい眺めだった。惜しむらくは、空が青くなかったということだった。
斜度はさらに緩くなり、ほぼ平らになると姥ヶ岳山頂だ。ベンチがあったが満員だった。まだ30分ほどしか歩いていないので、ここは通過した。

9:35 金姥(1580m)

道
稜線の木道を行く(09:19)
道は右へカーブを描き、なだらかな稜線上を行く。右手下方にはリフトから牛首へ直通する道が続き、その木道の上を白装束の人たちが1列になって歩いているのが見えた。あっちの道も気持ち良さそうだ。姥沢からピストンなら、行き帰りでこの稜線の道と両方を歩けるだろう。
イワショウブやらイワカガミやらが咲く道は徐々に下りとなる。最低鞍部が金姥の分岐点だ。すっかり枯れたミヤマウスユキソウがあった。

10:01 牛首(1660m)

道
牛首付近から月山の眺め(09:54)
道
岩ゴロの月山への登り(10:11)
また登り返す。登りきってからはまたキンコウカの咲く平坦な道になり、少しすると牛首に着いた。牛首にはベンチがたくさんあるが、人がいっぱいで満席だった。
牛首までの道は木道だったり石畳だったりとたいへんよく整備されていて、歩きやすかった。ここから山頂へはガレ場になり、ずりずりして歩きにくい。振り返ると牛首の牛の頭(いや、背中か?)が、キンコウカと思しき花で黄色く染まっているのが見えた。鳥海山は見えなかった。

10:54 月山登頂(1915m)

道
鍛冶小屋跡直下まで来たら晴れてきた(10:44)
山頂
月山山頂広場(10:50)
頭上に石垣が見えてくると鍛冶小屋跡の地蔵があって、それから間もなく頂上広場に着く。一帯は広々としているが、高山植物保護のため立入禁止区域が多く、腰を下ろして休めるのは神社の周りだけだ。陽が出てきて暑かったが、日陰は皆無でまいった。時折雲が陽を遮ると、ちょっとホッとした。
最高地点の山頂神社に参拝してから、菓子を食べたりしてまったりと過ごした。

12:04 下山開始(1915m)

花
ハクサンシャジンなどの咲き乱れる道(12:24)
道
山頂方面を振り返る(12:26)
登りを甘く見ていたせいもあって、結構疲れた。でも8合目への下りはごく緩やかな道だ。なんたって、標高差400mの下りが2時間40分というコースタイムなのだ。山頂を出て少し行くと、なだらかな斜面の先に9合目の仏生池小屋が見えた。
道にはハクサンイチゲが多かった。花はもう終わりかけだったが、他にもチングルマやアオノツガザクラなどもあって、7月あたりは随分きれいなんだろうなあと思った。
道は、平坦な場所には木道が設置されていたが、だいたいは岩ゴロで歩きにくく、速くは歩けなかった。でも16時のバスまでは、順番待ちの時間を考えても、時間はたっぷりあるので大丈夫だ。

13:09 9合目仏生池(1705m)

仏生池小屋
仏生池小屋(13:06)
雪田植物が続いたあとは草原の花が現れた。木道の隙間にウスユキソウが咲いていた。ハクサンシャジンの群落があったりして、目を楽しませてくれた。
山頂で昼飯タイムの人が多いのか、道は空いていた。なだらかで、山というより高原といった感じの空間で静かでいい雰囲気だった。
仏生池小屋の前で腰を下ろして、行動食を食べた。

14:30 御田ヶ原参籠所(1425m)

道
岩ゴロで歩きにくい道(14:02)
弥陀ヶ原
弥陀ヶ原:中央奥が参籠所(14:20)
仏生池から先も、岩ゴロで歩きにくい道が続いた。ほぼ平坦なのが救いだった。やがて小屋が見えたがこれは御田ヶ原参籠所だ。山頂付近から仏生池小屋を見たのとほとんど同じ雰囲気だった。いつの間にか花は少なくなり、笹が席巻してきた。いい加減飽きてきたところで池塘が見えて少し気が紛れた。間もなく木道に到着。弥陀ヶ原遊歩道との分岐点だ。これで歩きやすくなるとホッとしたら、木道は数mで終わってまた石の道。えーと思ったが間もなく御田ヶ原参籠所に到着。で、ようやっと木道区間となった。

14:39 8合目駐車場着(1370m)

御田ヶ原参籠所からは、思いのほか、下る。結局10分ほどかかった。ザックでバスの順番取りをしたら弥陀ヶ原でも散策しようと思っていたが、こんだけ下りちゃうとちょっとなあ。
この日の記録は、最大高度1930m、最低高度1365m、累積上昇495m、累積下降585mだった。鶴岡側は道はなだらかだったが、岩ゴロで歩きにくく、雨だったらちょっとイヤだなあという感想だった。

弥陀ヶ原をちょっとだけ散策

弥陀ヶ原
弥陀ヶ原から月山を望む(15:17)
レストハウスで缶コーヒーを買ってまったりしていたら、15時過ぎに折り返しのバスが来た。席に荷物を置かせてもらって、空身で無量池の方までちょっと歩きに行った。広々とした草原の向こうに月山の山頂が見えた。振り返ると、庄内平野が広がっていた。本来なら遠くに鳥海山があるはずだが、今日は見えないのが残念だった。
バスは全員着席してまだ余裕があった。登山客以外にもレストハウスの従業員なんかが乗ったりした。羽黒山や公営温泉「ゆぽか」など、いくつかのバス停で乗り降りがあった。

鶴岡の夜

アル・ケッチァーノ
アル・ケッチァーノ(22:22)
16時に出たバスは鶴岡に18時に着く。特急に乗ればその日のうちに東京に帰れるが、今日は鶴岡泊まりだ。
鶴岡では駅に近い安ビジネス宿(失礼)をとり、そのぶん、有名レストランのアル・ケッチァーノでディナーを楽しんだ。やら岩ガキやらやら車海老やら、美味であった。庄内の食材に日本ワインを合わせたかったが、検討の結果イタリアワインに落ち着いた。全16品とか、こんなコース料理は初めてだ。わざわざ鶴岡まで来た甲斐があった。大満足の食事を終えて宿に戻ったら23時近くになっていた。

8月9日 晴れ

駅前の土産物店でだだちゃ豆を買ってから、9:14のいなほで新潟に向かう。指定席はがらがらだった。

酒どころ新潟

ぽんしゅ館
杉玉もあるぽんしゅ館の試飲コーナー「利き酒番所93」(13:41)
新潟は言わずと知れた酒どころである。乗り継ぎの時間を利用して、駅で日本酒を愉しむことにした。まだ11時だけど。
まずは魚沼釜蔵という店で日本酒を呑みながら定食で腹ごしらえ。ここの酒の品揃えもなかなかだ。想天坊などの夏の季節酒を3種類ほど呑んだ。
そのあとは、その上の階のぽんしゅ館に行った。新潟県内の日本酒蔵全93の酒が試飲(有料)できるという魅惑の施設なのだ。2人で15銘柄呑み、気に入った有りがたしと、佐渡から蔵元さんが来ていた天領盃の大吟醸を買った。
思う存分遊んでから、14時(酒を呑んでいなければそろそろ家に着いている時間だ)の新幹線に乗った。自由席は空いていたが、長岡やら越後湯沢やらでだんだん人が増えてきて、しまいには満席になった。
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