晩秋の景信・陣馬山 2008年11月22日 日帰り

11月22日 快晴

高尾発小仏行きバスの始発は土曜は7:12。ステップの低い小さめの車だったが行列の全員が乗ることができた。20分ほどで小仏に到着。
小仏のバス停にはなんにもなかった。待合用のベンチもふたりが座れる程度のもので、雨よけなんかない。谷間のバス停で、日差しもない。水道もない、自販機もない。寒さに震えながら、テルモスに入れてきた温かいミルクティーでサンドウィッチを食す。
良いところがまったくないかというとそうでもなくて、救いはトイレだった。工事現場にあるような簡易トイレがひとつぽつんとあるだけだったが、ペーパーがちゃんと置いてあったり花が飾ってあったりして、よく手入れされているなあという印象だった。臭いはどうしようもなかったけど、出発点のトイレがきれいだとほのかに嬉しい。

7:46 小仏バス停発(高度計:215m, 温度計:14.7℃)

標識
標識を右へ(07:57)
道
明るい林を行く(08:14)
スタート直後は舗装された道を行く。近くの中央高速を通る車の音がうるさい。歩き始めて間もなく飲み物の自販機を発見したが、登山客相手の野菜売りのおばあさんがその真ん前に店を広げていて、押しのけてジュース類を買うのはちょっと気が引ける感じだった。その近くの建物には愛川欽也がアド街的なポーズをとっているでっかい看板があった。
10分もすると道はぐいっとカーブして、ちょうどS字に曲がったところで分岐が現れた。舗装路は小仏峠へと続き、景信山へ直登する道は右手の林の中へ入っていく。
丹沢や中央線沿線の低山は土の道のイメージがあったのだが、ここは岩がちな道だった。したがって堅めの道なのだが、それでもかなりえぐれているところを見るとやはり登山者が相当多いのだろう。そのえぐれを避けたためか踏み跡がやたらと多く、どこを歩いても正解な感じだ。

8:46 景信山登頂(650m, 14.9℃)

山頂
山頂まではあとわずかだ(08:45)
平野
ススキの向こうに広大な関東平野が広がる(08:51)
林の中を行くとT字の分岐になり、そこが景信山の東尾根だ。左(西)に道をとると、ここから道が土にかわって木の階段も出没。関東平野の広がりの遠くに高層ビル群が見え、その向こうにひときわ目を引く山があった。
分岐から10分くらいで景信山に到着した。山頂は閑散としていた。ここからの関東平野の広がりは素晴らしかった。話好きの茶屋の主がほかの客に説明しているのを聞くともなしに聞いていると、遠くに見えた目を引く山は筑波山だった。するとその手前のビル群はさいたま新都心か。東京都心あたりはビルが林立していた。横浜のランドマークタワーははっきりそれと認識できた。
写真をとったりチョコレートを食べたりしてのんびり過ごした。

9:12 景信山発(675m, 18.6℃)

分岐
このような分岐がいくつも現れる(09:42)
出だしの下りは霜が溶けたばかりでよく滑った。その後は植林された杉の中のつまらない道を進む。ふと左を見ると木の間から富士山が。ここで、景信山頂で富士山を見るのを忘れていたことに気付いたのだった・・・
最低鞍部から少し行くと、道が二手に分かれた。道標はない。いかにもその先で両方が合流しそうな雰囲気だったので、左の巻道を選択した。案の定すぐに合流したが、またまた分かれ道が。やはり道標はない。今度はちょっとぁゃιぃ雰囲気なので、しかたなく右手の登りを選択。しかしやはり先で合流するのだった。するとまたもや分かれ道が。やはり道標はない。やれやれ。
ここを歩くのは初めてなのだが、これでようやく、細かいアップダウンのある稜線を忠実に行く道の左側(神奈川県側)にいちいち巻道がついているのだ、ということに気付いた。それにしても道標がないのは不親切だなどと話していたら、その次からは立派な道標が出現。ちゃんと「←まき道」なんて書いてあった。

10:04 堂所山分岐(640m, 11.4℃)

道
堂所山付近の道(09:59)
すれ違う人が徐々に多くなってきた。陣馬から高尾を目指す人が多いようだ。

10:11 明王峠着(670m, 10.8℃)

モミジ
明王峠のモミジ(10:11)
美しいモミジが見えたらそこは明王峠だった。目の前に富士山がどどんと聳えていた。富士山じたいはもちろんのこと、手前の山々の襞が美しい。

10:21 明王峠発(680m, 15.8℃)

道標
奈良子峠の道標(10:27)
道
道の左は植林された杉林で右は雑木林(10:45)
軽く行動食をとってから出発。またまた杉林の中に入ってしまう。太陽光線の一番いい時間帯に眺めがないのはなんとももったいない。このあたりは道の左手(神奈川側)が杉で、右手が雑木となっていた。さきほどまでとは違い、巻道はない。

10:53 陣馬山登頂(790m, 13.9℃)

富士山
青空の下の富士山(11:26)
モミジ
山頂東側の見事なモミジ(11:47)
ゆるゆると登っていく感じで、だんだん空が大きくなってきてようやく陣馬山に到着した。和田峠の方から大勢の人が登ってくるのが見えた。
山頂のベンチは人がいっぱいだった。頂上付近には茶屋がたくさんあるので、その中のひとつ、富士山側にちょっと下ったところにある清水茶屋に入ってけんちん汁を注文した。具沢山でまるでおでんのようだったがおかげで満腹になった。
隣のテーブルについた人がタバコを吸い出したので(周りに50人くらいいる中で、喫煙者はこのひとりだけ・・・)、茶屋を出て山頂付近をうろうろすることにした。有名な山頂の馬の周りは、記念撮影の人でたいへんな人だかりだった。けんちん汁を食べている間に、富士山の近くには雲が出てしまっていた。山の眺めを遮るようなものではないが、それ以前は完璧な青空だったのでこの雲は目立った。富士山のほかには三つ峠や、南アの悪沢や赤石がよく見えた。
人を避けるようにして、紅葉の美しい東側のモミジの下へ移動。みんな眺望を楽しんでいて、この紅葉を楽しもうという人はほとんどいなかった。

12:01 下山開始(810m, 18.6℃)

黄葉
杉林の中の数少ない黄葉(12:25)
明王峠の方へ少し戻ったところにある分岐を「栃谷・藤野駅」方面へと下る。下り始めてすぐは落ち葉が積もって地面が見えない階段があり、やがて景信山への登りと同じような石の道となった。林の中の道は途中に1ヶ所富士山が見えるところがあった以外は展望がきかず、木も杉ばかりでおもしろくなく、うだうだと下る。

13:03 栃谷(275m, 19.4℃)

道
ほっそい舗装路を下る(12:49)
富士山の見える地点から少しすると茶畑が出現し、山道が終わってほっそーい舗装路になった。軒に柿を干している家や墓場の間を縫うように下っていく。休憩所を過ぎると道は広くなり、大きくジグザグを描いたあとに栃谷の中心地に着いた。

13:48 藤野駅着(180m, 17.9℃)

柿
中里橋のバス停と柿の木(13:26)
トンネル
このトンネルを抜けると藤野駅だ(13:39)
だらだらと車道を下ってバス通りへ。道のそこここに柿がなっていて、晩秋の里山の風情だった。1時間以上歩いたので休憩したかったがベンチなどがなく、まああと30分だからとしかたなく歩く。
最後に登りが待ち受けていてうんざりしたが、その直後のトンネルを通過するとすぐに踏切があって、藤野駅に到着。和田方面からのバスがちょうどやってきて踏切で追いつかれたが、バスが駅まで大きく車道を迂回して走っている間に線路沿いの歩道を通って先に駅に到着。ちょっぴりトクした気分になれたのだった。
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