3月19日 快晴
今日は金曜日。スキー板を担いでいくので、通勤ラッシュを避ける意味もあり、始発列車で上野駅へと向かう。7:20発の新特急草津1号は、上野では乗客もまばらだったが、大宮を過ぎるあたりから通勤客で座席が埋まる。特急で通勤なんて優雅だなあ。
長野原草津口で降り、バスで草津温泉へ。スキー場行きの無料シャトルバスに乗り継ぎ、ロープウェイ(といってもゴンドラ)山麓駅に着いたのは11時ジャスト。山頂駅までは所要10分。天気は無茶苦茶よく、素晴らしい山旅になる予感がした。・・・のだったが・・・
12:09 ロープウェイ山頂駅発(高度計:2035m, 温度計:6.8℃)
駅に常駐しているパトロールにツアー届を出す。ツアー中の事故は自己責任である旨の念書に署名する。芳ヶ平に着いたらヒュッテの人に必ず声をかけ、帰ってきたら必ず報告するのがルール。ツアーコースについての説明もしてくれた。当初は逢ノ峰の東を北上するつもりでいたが、西周りの林道を通るのがよく、また、志賀草津道路を越えたら、ポールが立っているのでそれに従うように、という指示を受けた。風が強く寒いが、これから歩くことを考え、ちょっと薄着で出発。
12:24 白根山が見えた
湯釜ヘリツアーのために、レストハウスあたりまで雪上車が行き来している。その雪上車が耕した林道を進む。道は歩きづらいがウォーミングアップのつもりで楽しく歩く。素晴らしい天気だ。ふと左を見ると思いがけず槍ヶ岳が見えた。そして間もなくレストハウスと、薄手の小鉢をふせたような白根山が見えた。夏には1日1万台の車が通るという志賀草津道路はもちろん封鎖されており、レストハウスももちろん休業中。ヘリコプターの爆音が轟きわたるばかりである。
12:41 レストハウス発
白根山の名のとおりの白い岩塊の裾をトラバースしていく。計画段階では夏道を基準にしてゆるく下っていくつもりだったのだが、オレンジのポールはどんどん上を目指している。どうやら湯釜を覗く展望台へと続いているようだ。湯釜周辺は立入禁止区域だとパトロールで説明を聞いたばかりなのだが。しかしその右前方にもポールが見える。どうやらトラバースして芳ヶ平へ向かうルートのようだ。右下(東側)の下には緩やかな谷状地形があり、夏道の柵がちらほらと見える。あっちの方を下りる計画だったんだけどなあ・・・
ひょっとして夏道の方は雪が途切れているのかもしれない。いちおうポールにしたがうことにした。あたりには雪原が広がっている。
12:57 アイスバーン出現
山の東側に回りこむにつれ風が弱くなってきた。しかし同時に雪質も悪くなってきた。未だ味わったことのないようなガリッガリのアイスバーンだ。昨日は日本中が雨だった。このあたりは雪だったのだろう、氷の上にうっすらと新雪が積もっている状態。まったく歯が立たず、相棒は早くもギブアップして、板を担いでしまった。
13:12 芳ヶ平ヒュッテが見えた
そうこうしているうちに、ヒュッテが見えた。まだずいぶん下る感じだ。後ろから来た山ボーダーがものすごい勢いで滑降していった。斜面は北東になり、今度は吹き溜まった雪とアイスバーンが交互に出現する。やはり歯が立たない。暴走 - 自爆を繰り返して徐々に下っていく。途中で帰りたくなったが、目の前にあるヒュッテに声をかけてから帰った方がいいんじゃないかと考え、しかたなく下っていく。
13:38 芳ヶ平ヒュッテ着(1830m, -1.2℃)
久々の山歩きが堪えたのか、相棒が腹痛を訴え始めた。下りのロープウェイは最終が16時。それを過ぎるとスキー場の中上級コースを下りねばならない。登り(帰り)は2時間かかるという予想なので、もうタイムリミットぎりぎりだ。そこで、相棒を途中に残してかつりんだけヒュッテまで往復することにした。なかなか到着しない我々を心配して中から出てきたヒュッテの奥さんに挨拶し、シールを貼ってすぐに出発した。
ここから谷に沿って天狗山ゲレンデに滑り降りるのが一般的なツアーコースだが、我々の足並みではチト心もとないので、ロープウェイに引き返すことにしたのだ。
15:07 レストハウス着(2010m, 1.7℃)
シール歩行は板は重いが確実だ。途中で何度も立ち止まり、まだ腹痛が治まらない相棒を待ちながらゆっくりと登る。見上げると、だだっぴろい雪原の上にそびえたつ白根山が大きい。写真でしか見たことないけど、エアーズ・ロックみたいだ。途中で一度クッキーをほおばった以外は休まずにじりじりと歩き、1時間以上かけてようやくレストハウスに着いた。レストハウスの前でもう一度休憩した。これから道は平らになるので相棒はふたたび板を履いた。かつりんもシールをはがした方がいいと思ったが、メンドくさいのでそのまま行くことにした。
15:40 ロープウェイ駅着(2030m, 2.7℃)
気が付くと雲が多くなってきた。朝はくっきりきれいに見えた槍穂高も、大キレットのあたりに雲をまとっていた。シールなしの相棒は軽快に進んでいったが、自分は板が重くて難儀した。素直にシールをはがせばよかったと後悔した。
予定時間を40分オーバーしたが、なんとかロープウェイの営業時間内に帰着することができた。当初は、山麓駅から天狗山ゲレンデまでは滑って下りようと思っていたが、疲れたのでシャトルバスに乗せてもらうことにした。
宿
宿は、インターネットで適当に見つけた草津ナウリゾートホテル。天狗山ゲレンデに近いので決めた。シャトルバスをゲレンデで降りてから、宿まで歩いて行ったが、実は送迎バスがちゃんと出ていたらしい(泣)。大きな建物で驚いた。どうやら草津でもかなり大きい方みたいだ。スキーのレンタルショップを兼ねた乾燥室もある。
夕食は和食だったが、まあ普通の温泉旅館の食事という感じ。特注料理でタラバ蟹の炭火焼と馬刺しを注文したが、馬刺しの方は脂がのって、それでいて臭くなく、出色だった。食事会場は音楽ホールで、これがまたでかくてびっくりした。