戸隠高原クロカンツアー 2002年2月9日 - 11日 一般旅館利用

2月9日 曇ときどき雪

7時の東京駅上越・長野新幹線ホームは若いスキーヤー・スノーボーダーで溢れかえっていた。みんな板とでかいバッグを持っているので通行もままならない。列車は上野・大宮でさらに人を飲み込んで通路もめいっぱい、デッキの自動ドアも開きっぱなし。しかし軽井沢と上田でずいぶん多くの人が降り、最終的には空席も出るほどになっていた。
長野でバスに乗り継いで戸隠スキー場まで行き、宿の車で送迎してもらって11時少し前に宿に到着。着替えてからまた車に乗せてもらい、スキー場まで行ってクロカン板を借り、それから今日のスタート地点の奥社入口まで送ってもらった。板はエッジなしのライトツーリング用だがビンディングは3ピンだった。

12:04 奥社入口鳥居を出発

やはり人気のコース、人は多い。
県道から鳥居までいきなり下りで、ほとんどの人は板を脱いで歩いているようだ。鳥居前の食堂(レンタルスキーもやっている)は営業していた。食堂前の自販機でミルクティーを買ってテルモスに詰め込んでから参道をゆく。

12:24 随神門

随神門
戸隠のシンボル・随神門
灯篭
かき氷のような灯篭
門自体はいたって質素な造り。屋根の上の雪が重たそう。今年は格別雪が多いということで、門前の灯篭も積もった雪でまるでかき氷のようだ。
観光協会のマップはここで左右に道が分かれるので、このまま登ってゆく人は極端に減るようだ。

12:44 トイレ横(高度計:1265m, 温度計:-0.9℃)

杉並木
見事な杉並木
随神門の奥からはご覧のような立派な杉並木が。門まで来たのならちょっと裏にまわってこの並木はぜひ見ておきたいところだ。
道は緩く・まっすぐ登ってゆき、左手(西南)に公衆トイレが見えるあたりで傾斜を増し、右にカーブする。ここで登りを止めて参道を外れ、トイレの奥から鏡池に向かって疎林を滑り降りる。

・・・つもりだったのだが、滑りやすいところを選んだら、随神門のすぐ脇にまた戻ってしまった。

13:17 天命稲荷(1205m, 0.6℃)

クロカンコース
クマの道標のついたクロカンコース
天命稲荷
雪に埋もれた天命稲荷
この戸隠クロカンコースはクマのマークがコース沿いの木に付けられている。林の中は至るところにスキーのトレースがあり、クマのマークを目印にコンパスも使って進む。
天命稲荷は雪に埋まっていた。鏡池まではもうあと少しだ。

13:23 鏡池到着(1190m, 0.0℃)

鏡池
鏡池は地吹雪
池は遮るものがないため風が吹き荒れており、地吹雪になっていた。日差しも全くなくなり、うっすらと見えていた戸隠山もわからなくなってしまった。温度計はたいしたことはないが、体感温度はかなり低い。

湖畔のどんぐりハウスの、雪に半分埋もれたバーベキューコーナーの屋根の下に入って軽食をとる。

14:13 鏡池発(1170m, -4.3℃)

天命稲荷まで戻ってから進路を右(東)にとる。少し平地を行ったあと、山の北面をトラバース気味に斜登高していく。登りきった所が水芭蕉園などへの分岐点で、ここからはどちらへ進んでも下りだ。みどりが池方面へ滑り降りる。

15:03 森林植物園入口(1200m, -2.6℃)

みどりが池の畔に建つ森林学習館をぐるっと回ると県道に出て、ツアーは終了。

そばの実

「そばの実」の大ざる
「そばの実」の大ざる
森林植物園入口からスキーを脱いで、県道を歩くことおよそ5分。そばの実という蕎麦屋に入る。宿でもイチオシ、今回事前にインターネットで戸隠の情報を調べたときも、ここはかなり評判がよかったので是非来てみたかった。
かつりんはオーソドックスに大ざる、相棒Kは雉子汁そばを食べた。このキジがまた美味い。
至福のひとときを過ごし、また県道を森林植物園入口に戻って、その向かいの雪の壁の切れ目から越水が原クロカンコースをスキーで宿までもどった。

2月10日 曇ときどき雪

今日は「クロカンマップ2」に載っているコース(P114)を行く。戸隠観光協会発行のツアーマップではスノーシューコースとなっているところだ。
がっ。このコースは道標はありません。また、目印もほとんどありません。したがって地図・コンパスを使えない人は決して入ってはいけません。確実に迷います。

9:44 出発(高度計:1290m, 温度計:-3.2℃)

出発点
スキー場脇の出発点
出発地点はゲストハウス横の駐車場の奥。キッズパークのすぐ脇から林へ入っていく。入口の木には黄色いテープが付いていた。密集した木々の間を抜けると、ぼんやりと道のようになっているのでそこを進む。トレースがひとつだけついていた。
まずは緩やかに登る。昨日はどこにも見当たらなかった動物の足跡もいっぱいあって楽しい。心配だったラッセルもくるぶし程度で、らくちん。

ぁゃιぃ沢

道は山腹をトラバースし、すぐに、登ってはいけない沢に出る。「クロカンマップ2」にも書いてあり、宿にも注意された。ほんとうに、知らなければそのまま登ってしまいそうだ。しかも、今までたどってきたトレースはもろにこの沢に続いているではないか。しかしよく見ると、このトレースは下ってきたもののようだ。おそらくスキー場の上の方のコースから滑り降りてきて、駐車場に戻ったスキーヤーのものだったのだろう。
行くべきはずの左手には木が密集していてとても道があるようには思えないし、トレースも全くついていなかったが、木をかきわけるようにして進むと斜面がいくらか道らしくなった。少し急で、横になって階段登高で乗り切った。

10:38 林の中をさまよう

林
林の中をさまよう・・・道はいずこ
小さな尾根の上に出た。しかしまた道を見失った。雪で埋め尽くされた疎林がひたすら続いている。先ほどの沢からトレースは全くなく、便りはコンパスだけだ。少し進んではコンパスを確認し、よーーーく周囲を見渡し、道なき道を進む。時折ピンク色のテープが木に巻きついていると、その周囲だけちょっと道らしくなる。
途中、確信をもって「これが道だ」とわかったのはたった一カ所、斜滑降の斜面だけだった。この斜面は「クロカンマップ2」では『落葉松の若木の密植地』と紹介されているところだが、執筆から時を経て、もう若木ではなくなったようだ。

ぁゃιぃ沢・2

分岐点の沢
ターニングポイントの沢
高デッキ山から流れる沢に突き当たったら進路を変えて下らなければならない。1/25,000地図も崖地の表示になっているので、着いたらわかるだろうと思っていた。で、着いた。まったく地形図のとおりだ。木にもピンクのテープが付いている。
がっ。薄ーーくトレースがついていた。宿で「あそこは越えられないような沢」だと聞いていた。薄いトレースはこの沢を越えていた。さんざん考えたが、少し行ってみて違うようなら戻ってくればいいや、ということにして、我々も沢を越えて進んだ。

道を間違えたことに気付く

薄いトレースはすぐに見えなくなった。ひたすらぶなの疎林が続く。そこで、やっぱり戻ることにした。このとき相棒Kに聞いて知った。宿は「あそこは越えられないような沢ではない」と言っていたのだった。「ちょっと窪んでいるだけだから気をつけろ」と。

11:35 沢に戻り、大巾を滑降開始(1355m, -4.7℃)

大巾
大巾で楽しく滑降
というわけで、沢まで戻ってお茶と軽食をとって、これから楽しい下りにかかる。と思っていたところ、5,6人のスキーのパーティが上からやってきて、我々の脇を滑り降りていった。
彼らを先導役に滑り降りる。この滑降コースは沢沿いに行くと北に流されてしまうので、夏道を行くのがベスト。林が切り開かれており、これが夏道のようだ。それでも慎重にコンパスを使いながら、前のパーティを追うように滑り降りる。
昨晩降り積もった雪のおかげでスピードは適度に抑えられ、エッジなしのクロカンでも楽しく滑れる。

12:20 戸隠牧場入口着(1160m, -3.2℃)

県道・牧場分岐点
県道・牧場分岐点
突然、林が開けて建物が現れる。戸隠イースタンキャンプ場だ。ここまで来ればもう一安心。そのまま北西に向かえば県道の戸隠牧場入口に突き当たる。スキーを外し、雪の壁を飛び降りるようにして県道に降り、反対側に渡る。

12:53 出発(1175m, 0.0℃)

このまま宿に戻るのでは芸がない。ということで、またもやそばの実に行くことにした。
牧場入口でインスタントカップ汁粉とマグヌードルの簡単な昼食をとり、いざ出発、と思ったら・・・
!!!び、ビンディングの止め金がない!!!・・・で、方々探したら、牧場入り口の速度標識(上の写真)のすぐ脇に落ちていた。どうやら板を外すときに勢いあまって飛んでしまったらしい。
奥社まで逆サ川沿いのクマのマークのクロカンコースをゆく。ほとんど意識しないくらいの緩い登り。スキーのトレースがあったがスノーシューに踏み荒らされていた。折角周りは新雪なんだからそっちを歩けば楽しいんだろうに・・・

13:32 戸隠奥社入口(1210m, -1.4℃)

14:00 森林公園入口(1225m, -1.7℃)

再びそばの実

「そばの実」のそばがき
「そばの実」のそばがき(美味)
またもやそばの実である。
宿の食事は量が少なめだということが分かったので、今日は腹いっぱい食べて帰ろうということになった。
かつりんはまたもや大ざる、相棒Kは今度は「そば三昧」をとった。これは、くるみ・とろろ・普通のつゆの三種の味が楽しめるというものだ。さらに天ぷら盛り合わせ(これがまた超美味!)とそばがき、そしてかつりんだけビールを注文。そばがきはつまみのつもりでいたら横浜中華街の豚まんのような巨大サイズ。柚子の香りがすがすがしい。
そしてシメにそばチーズケーキ。そばの味はあまり感じなかったが、チーズケーキ自体が美味い。
「ええっ、何これ!」(栗田ゆう子風)
「まったりとして、それでいてしつこくない!」(山岡史郎風)
前日と同じ道をスキーで宿まで帰った。翌日はもう帰るので、借りた板をレンタルショップに返しにいった。

2月11日 曇ときどき雪

戸隠連峰
この旅一番の眺め・戸隠連峰
本日は遊ばないで早目に帰ろうと思っていたが、朝起きてみるとなんと晴天。今までほとんど見えなかった戸隠山がきれいに見えるではないか。
というわけで、一番見たかった「鏡池からの戸隠山」を見るために行動開始。鏡池から林道を宝光社まで滑り降りる、「クロカンマップ2」の108頁のコースを選択した。
レンタルショップ前まで宿の車で送ってもらい、板を借りてそのまま車道を滑り降りる。まだ山はきれいに見える。越水が原は昨晩の雪でトレースもほとんど消え、くるぶしまでのラッセルとなった。

10:03 森林公園入口発(高度計:1245m, 温度計:1.4℃)

雪が深い。スキーのトレースもついているが、その上をツボ足の人が歩いているので足をとられる。脇の新雪を脛までのラッセルで行く。鏡池までは一昨日とおった道で、雰囲気はわかっている。

10:18 分岐(1245m, -1.4℃)

天命稲荷への下り
天命稲荷への下り
ここから天命稲荷まで楽しい下り。左写真のような林を滑り降りる。またしてもスノーシューにトレースを荒らされていた。
・・・なんか、空が暗くなってきたぞ・・・

10:42 鏡池着(1220m, -1.3℃)

鏡池
鏡池はまたしても眺望なし
池の前ではスノーシューの6人くらいのパーティが休憩していた。
・・・山はガスってしまった。1時間前まではきれいに見えていたのだが・・・しかも雪まで降ってきた。
しまった。スノーシューのパーティが先に出発してしまった。このままではまたトレースが潰されてしまう。まあ慌てても仕方ないので、どんぐりハウスのテラスに腰かけてゆっくりお茶を飲む。

11:02 鏡池発(1215m, -2.6℃)

宝光社にむかう林道
宝光社にむかう林道
林道を行くと、スノーシューのトレースはすぐに左折して1310mのピークの方に向かっていた。おそらく観光協会のマップのスノーシューコースを行くのだろうと思われた。
林道にはスキーのトレースがあったが、その上を行ってもスキーがまったく滑らない。どうやら3日目でワックスが効かなくなったらしい。立ち止まるとすぐに板に雪がへばりついてしまう。もっとすいすいと滑れるコースだと思っていたのだが、ほとんど歩きっぱなしであった。(泣)

11:49 戸隠村基幹集落センター前(1060m, -1.6℃)

ここからは除雪された道になり、板を脱ぐ。林道でスキーが滑らなかったせいか、不完全燃焼の気分。

11:56 戸隠宝光社(1070m, -1.0℃)

宿に電話して、車で迎えに来てもらった。
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