北八ヶ岳バックカントリースキーツアーと北横岳ハイク 2002年1月12日 - 14日 一般旅館利用

1月12日 晴れ

茅野駅から諏訪バスでピラタスロープウェイ駅に向かう。バスは往復割引きっぷを買うと通常2400円のところが2100円になる。有効期間は1週間。
宿はペンション「山の朝」。ロープウェイ山麓駅から歩いて数分の距離にある。定員は18人とこじんまりとしており、食事はフルコース形式、部屋も床暖房で足元から暖かく、くつろげる宿だ。
KBCは北八ツ周辺の6件の山小屋・ペンションで構成されており、ツアーコースの整備や案内を行っているが、その一員でもある。レンタルスキーもクロカン、テレマークなど数種類の板があるので、オーナーに相談すれば目的にあうものをチョイスしてくれる。
本日は到着だけでどこにも行けないので、フルエッジのウロコ付きテレマーク板を借りてゲレンデの一番下で練習することにした。この練習によりついに相棒Kはプルークボーゲンをマスターした。

1月13日 晴れのち曇り

7:30に朝食をとり、ロープウェイ駅に向かう。9:00始発の前、8:50の臨時便に乗ることができた。100人乗りなのでさほど混んでいるようには思えない。わずか7分で山頂駅に到着。ロープウェイからの眺めはすばらしく、北・中央・南アルプスがすべて見渡せた。

9:10 出発(高度計:2160m, 温度計:7.3℃)

ツアーコース入り口
ツアーコース入り口
駅のすぐそばに「ツアーコース」と書いてある看板があるが、これはゲレンデスキーの標識。麦草峠へは登山道を行くので、夏道の木の標識をたどる。また、KBCにより赤旗が立てられているのですぐに見分けがつく。
五辻までは林間の恐ろしい下り。好天が続いたせいか雪面もよく固まっていて滑る滑る。人ひとり分の幅でうねうねと道が続き、ジェットコースター状態だ。しかも一度転ぶと深雪にはまってしまい脱出にものすごくエネルギーを使う。いったいどうなることかと思った。

9:56 五辻到着(2070m, 2.8℃)

もたつきながらなんとか五辻到着。眺めはよいが、まだまだ先は長く、気を抜けない。(ぐるぐる写真
スキーばかりかと思っていたら意外にもそうでもなく、ツボ足の人もかなりいる。ここから少し道は広くなった。広くなったので喜んではしゃいで滑っていたら深雪にはまってしまい、また脱出に苦労。いったいどうなることかと思った。

10:24 東屋に到着(2055m, 6.3℃)

東屋から南八ツ方面をのぞむ
東屋から南八ツ方面をのぞむ
もうへとへとだ。さいわいベンチの雪が除けてあったので軽食をとることにした。スキーの人がふたり通り過ぎただけで静かだ。

10:49 東屋を出発(2060m, 4.4℃)

分岐点
分岐点
東屋のすぐ先のちょっと急な斜面を下りきるとメルヘン街道への短縮ルートを右に分ける。ここは左、オトギリ平方面を目指す。写真でもわかるように、右に進む人は少ないようだ。正面に見えるのは南八ヶ岳だ。

11:24 出逢いの辻着(1990m, 2.4℃)

林間の緩い下り
林間の緩い下り
分岐点から雪深い森の中の緩斜面になる。そんな中を出逢いの辻に到着。
辻から大石峠まで、今度は登りとなる。すると相棒Kがみるみる遅れだした。板のせいか、果たして技術的なものかわからないが、全く登れないのだ。さらに悪いことに、踏み跡で雪面にボコボコ穴が開いており、スキーのウロコが穴に重なるとずるずると後退してしまう。
5mくらい進むのに5分くらいかかり、へとへとになって息をつく。見上げると登り坂は果てしなく続くようだった。相棒Kにとって予想外の難路となった。

12:12 オトギリ平着(2040m, 2.2℃)

オトギリ平から茶臼山をのぞむ
オトギリ平から茶臼山をのぞむ
それでも相棒Kはスキーでがんばっていたのだが、ツボ足の子ども連れに抜き去られて、ついに観念してスキーを脱いだ。すると速い速い。今度はスキーを履いたかつりんが少し遅れ出した。ただ、やはりツボ足だと少しもぐってしまう。同じスピードならスキーの方が楽だろう。
少し開けたところが見えたと思ったらオトギリ平に着いた。そんなこんなで恐ろしく時間がかかってしまったのだった。ベンチがあったので休憩。はー・・・
ふと気付くと、いつのまにか空は雲で覆われていた。

12:24 オトギリ平ベンチを出発(2040m, 1.5℃)

オトギリ平
オトギリ平
ベンチのあるところは小さな広場だが、そのすぐ北側の林を抜けるとだだっ広い雪原が広がる。相棒Kもここでスキーを再び履く。
森の中に道があるのだが、雪原の上にもシュプールがあったのでたどっていった。しかしブッシュを踏み抜いてしまった。周りを見るとそこかしこに踏み抜いたあとがある。まだこの時期ではブッシュは埋まりきっていないらしい。かなり深くはまってしまいなかなか脱出できず、いったいどうなることかと思った。

雪原を抜けるとすぐに大石峠で、オトギリ平までの登り同様、雪の深い森の中の緩い下りになる。

13:18 麦草ヒュッテ着(2025m, 0.9℃)

麦草ヒュッテ前の斜面と浅間山
麦草ヒュッテ前の斜面と浅間山
麦草峠に出る最後に、45度くらいの急斜面、しかも下りきったところで左に急カーブ、左右は石が露出、という難所が出現。どうやって下ろうか数分考えてしまったが、横滑りでなんとか通過した。相棒Kはスキーを脱いで楽勝クリア。
ヒュッテ前の斜面に掘り起こされているベンチに陣取り、FDのお汁粉を食べた。体はあたたまったが、FDの餅が軟らかくならず、食べられなかった。
ヒュッテ前の斜面でスキーの練習をしようと目論んでいたが、ヒュッテの宿泊者らしき人がスタッフに講習を受けていたため思うように滑れなかった。

14:27 麦草ヒュッテ発(2020m, 0.7℃)

麦草峠
麦草峠
閉鎖された国道299号、通称メルヘン街道をメルヘン広場まで下る。最初はしばらく歩かなければいけない、ほとんど平らな道を行く。ようやく我々のレベルに見合ったコースに来た、と思った。ここまで、いったいどうなることかと何度思ったことか。
誰もいない広い道を滑るのが気持ちよくて、少し歩いては立ち止まって、振り返ったり写真を撮ったりしながらのんびりと楽しく歩いた。
コースは下部になるにつれて傾斜が増し、スキーを漕がないでも滑るようなところが多くなってきた。終点に近いところで、スキーのパーティに追いつかれたと思ったら「山の朝」の同宿者であった。聞けば、雨池方面をまわって来たということだった。

16:03 メルヘン広場着(1685m, 0.4℃)

鬻科山をバックに滑る
鬻科山をバックに滑る
南アルプスを眺めながら滑る
南アルプスを眺めながら滑る
メルヘン広場の建物の屋根が見えてきたら、やがてゲートが現れ、終点。先に着いていた同宿パーティの方についでに我々のタクシーも呼んでもらった。感謝。ちなみにメルヘン広場のピンク電話は今使えないらしい。携帯電話はよく通じる。
当初メルヘン広場から林道を下ってバス通りに出ようと思っていた。しかし宿の話では、景色がいいわけではないし5kmもあってあまり面白くないコースだというので、そのぶんメルヘン街道をゆっくり下ってタクシーで宿に帰ることにしたというわけだ。メルヘン広場から宿まで5,000円でお釣りがきた。

1月14日 晴れのち曇り

昼までスキーの練習をしてから帰ろうと思っていたが、あまりにも天気がよいので山に登ることにした。なんと移動性高気圧に覆われるという好予報。宿でストック(スキー用だけど)を借りて出発。今日は9:00の便。

9:16 山頂駅発(高度計:2095m, 温度計:7.6℃)

坪庭の高台から
坪庭の高台からロープウェイ駅の向こうにアルプス
山腹の登山道のようす
山腹の登山道のようす
気温は高く、早くもTシャツ+ウールシャツの2枚になる。
駅からほどちかい展望台にはゲレンデスキーヤーも滑る前に景色を見に来るようだ。ロープウェイの駅越しにアルプスが一望できるのだが、今日はちょっと霞んでいる。
その後はしばらく坪庭の遊歩道を行く。「ここからは登山道です!」と看板がある分岐点で登山道は左に分かれる。小さな谷を渡り、山腹をジグザグを切って登ってゆく。木に緑色のロープが張り渡してあるので道を間違えることはないだろう。

10:03 北横岳ヒュッテ着(2240m, 3.7℃)

雪深い急登の始まり
雪深い急登の始まり
小屋はこの時期でも事前に予約をすれば泊まれるようだ。ベンチとブランコがある。展望はない。
小屋の裏の木には雪がいっぱいついていて、道はその林の中に続いている。間もなく45度くらいの坂になった。今回はアイゼンを持ってきていないので進むべきか迷ったが、気合を入れてキックステップで蹴りこみながら少しずつ登る。するとこの急坂はすぐに終わるのだった。

傾斜がいったん緩くなり、またすぐ急になると木の背丈が低くなってくる。すると間もなく北横岳南峰に着く。

10:24 北横岳登頂(2325m、2.5℃)

北横岳山頂より蓼科山をのぞむ
北横岳山頂より蓼科山をのぞむ
南峰を通過して、北峰に登頂。南峰には三角点があるが、標高は北峰の方が高い。また、山頂標識のあるのも北峰だ。どちらの頂も吹きさらしで風が強い。見る見るうちに体温が奪われるのでフリースセーターとカッパを着込み、帽子をかぶってネックウォーマーをつけた。
展望はよい。すぐ間近の蓼科山をはじめ、浅間・頚城など北面がよく見える。北・中央・南アルプスは少し霞んでいた。南八ヶ岳は逆光の中だ。

10:52 下山開始(2315m、-2.4℃)

樹氷と南八ヶ岳
樹氷と南八ヶ岳
山頂から少し北の林の中で風をよけながらテルモスの紅茶を飲み、少し温まったら山頂に出て写真を撮る。こんなことの繰り返しを何度かしてから山頂をあとにした。坪庭まで往路を忠実にたどる。

11:16 北横岳ヒュッテ着(2240m、1.7℃)

北横岳ヒュッテ前の木
北横岳ヒュッテ前の木には雪がついている
急斜面も最初はまじめにステップキックで下りていたが、途中でメンドくさくなって脇の深雪に入った。少なくともこの方が滑る心配はない。
林に入ると風もなくなり一転して静かになる。空が青く、雪を身にまとった樹木が美しい。

12:15 山頂駅着(2090m、2.4℃)

坪庭全景
坪庭全景
いつの間にか雲が空を覆っていた。
山腹のジグザグ道の樹間から坪庭の全景が見えた。台地状になっているのがよくわかる。坪庭の遊歩道は右回りの一方通行となっているので、分岐点から左に折れて一周することになった。シュカブラや動物の足跡の撮影に余念のないカメラマンが大勢たむろしていた。
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