大雪山旭岳スキーツアー 2002年5月3日-5日 一般旅館利用

5月3日 晴れのち曇り

旭岳遠望
旭岳遠望
朝一番の飛行機で旭川空港へ。当初は市内で桜でも見て(なんと今年は今がもう見頃!)、夕方のバスで宿に向かうつもりでいたが、あまりにも天気がいいので一日つぶすのがもったいなく、早速山に入ることにした。空港から直接タクシーで宿へ。料金は10,000円弱。道からも旭岳が雄大に裾野を広げているのが見える。途中、愛別岳から十勝連峰まで一目で見渡せるところがあった。よい道だ。
宿で、宅急便で送ってあったスキー板とブーツを受け取り、山登りモードに着替えて出発。スキー場はなんとかクローズは免れていた。ホッ。

12:30 姿見発(高度計:1655m, 温度計:18.6℃)

姿見からの旭岳
姿見からの旭岳
中岳温泉に向かって広々とした雪原を滑ってみたかったのだが、翌日以降の予報があまりよくないので、晴天のうちに旭岳を目指すことにした。姿見まではロープウェイを使う。姿見駅の休憩所でシールを貼って出発する。
大雪山も例に漏れず雪が少ない。雪解けの具合は10日から2週間くらい早いペースではないか、ということだ。

噴煙

旭岳の噴煙
旭岳の噴煙
尾根
シールをつけて尾根を登る
まっすぐに噴煙を目指して歩く。近くで見物したあと、進路を右に変える。今は雪に隠れている姿見池の上を通り、池の縁の急斜面を登って稜線の夏道へ。稜線も雪がたっぷり着いているのでシール歩行で快適だ。まわりの登山者はテレマーク・山スキー・ツボ足が1/3ずつ、といったところだろうか。

13:22 スキーをデポする(1865m, 13.6℃)

スキーを脱いで姿見方面を振り返る
スキーを脱いで姿見方面を振り返る
斜度が急になってきた。まだまだシールで登れるので、ツボ足になるより楽だろう。下りは滑れなくても板を担いで下りればいいさ。と思っていたら急にシールの効きが悪くなってきた。相棒Kは急斜面の中ほどで板を脱いで両手に持った。かつりんは苦労しながらもそのまま登る。少し平らになり、岩が露出している地点でふたりともスキーをデポすることにした。
デポ地点からまたすぐに急斜面があるのだが、その上(7合目?)はもう雪がなくなっていた。滑降が主目的のスキーヤーはほとんどここで降りてしまうようだ。地獄谷の急斜面で何度も登り返して滑り降りているエクストリームなボーダー集団がいた。

14:04 8合目(2060m, 6.8℃)

8合目から山頂を仰ぎ見る
8合目から山頂を仰ぎ見る
登山道は上手い具合に半分(北側)だけ雪が残っていた。登りの人は土の道をゆっくりと、下りの人は雪上をすいすい。遥か頭上に金庫岩が見えてくると、8合目は近い。
8合目あたりから道は岩場の様相。雪もところどころ凍って歩きづらくなり、風も強くなってきた。真っ白なトムラウシ山が右手に見える。ちょっとキツくなってきたが、どうせ下りるにしてもせめて白雲岳を見てから、と思いながら地道に歩く。

15:02 旭岳登頂(2280m, 6.5℃)

旭岳山頂
旭岳山頂から北鎮岳をのぞむ
旭岳山頂より白雲岳
旭岳山頂より白雲岳
ニセ金庫岩まで来るとようやく白雲岳が。軽食をとりながらしばし休んで、およそ10分弱登ってようやく登頂。雲が空を覆っているが、視界は360度バッチリ(ぐるぐる写真)。気温がかなり高く、山頂の看板についていた氷が、ときおりぱりっという音とともにとけて落ちていった。しかし風があったせいで体感温度は低かった。白雲岳の方を見ると黒い地肌が結構目立ったが、遥かトムラウシ山は充分に白かった。

15:18 旭岳発(2285m, 10.3℃)

旭岳山頂よりトムラウシ
旭岳山頂よりトムラウシ
金庫岩付近から地獄谷を俯瞰する
金庫岩付近から地獄谷を俯瞰する
山頂には他に夫婦が1組だけ。夏はムッチャ混みなんだろうなー。寒くなってきたので早々に出発。
金庫岩のあたりから姿見がはるか下に見える。

16:09 スキーデポ地点(1870m, 14.6℃)

下りは残雪のおかげで速い。あっという間にスキーをデポした地点に到着した。軽アイゼンは持っていたが、結局全然使わなかった。スキーを持って、少しゆるやかなところまでツボ足で下りてから履く。しかし・・・
ものすごく滑るのだ。まるでクロカンのようだ。股が裂けそうなくらいの超ボーゲンでもどんどんスピードが出てしまう。曲がれない。したがって当然止まれない。

17:18 姿見駅(1600m, 8.5℃)

誰もいないスキー場から夕暮れ迫る姿見駅を見る
誰もいないスキー場から夕暮れ迫る姿見駅を見る
というわけで、コケること数知れず、なんとか姿見駅に着いたのは17:10ごろ。最終のロープウェイは17:00、したがってもう便はない。携帯電話で宿に遅くなる旨の連絡を入れて(公衆電話は駅の外にはなかった)、恐る恐る滑降開始。ロープウェイが終わったので、もう辺りには誰もいない。したがって、コースの真中で立ち往生しても他人に迷惑をかける心配はない。ケガをしないようにゆっくり慎重に下りよう。

18:13 旭岳温泉駅(1100m, 4.9℃)

Bコース - Cコースとつないでどうにか転がり落ちてきた。ちなみにDコースは雪不足で既に閉鎖となっていた。疲れたー。写真を撮る余裕もなし(特にゲレンデ内は撮りたくなるような景色もなかったし)。雪が凍ってしまうのを恐れたが、幸いアイスバーンにはならないでいてくれた。まだ明るく、ヘッドランプも使わないですんだ。

5月4日 雨ときどき曇り

朝からあいにくの雨。まあ予報どおりだし、仕方ない。10時ころまで宿の部屋で惰眠をむさぼるが、いつまでも部屋にいられないので、ビジターセンターに行った。展示物をひととおり見て、休憩所に置いてあったヤマケイをぱらぱらと眺めていると、小降りになってきたので、周辺のクロカンコースを周ることにした。ここは毎年GWを過ぎるとノルディックスキーの日本代表が合宿に来ることで有名なコースである。

クロカンコース

旭岳温泉クロカンコースの幻想的な森
旭岳温泉クロカンコースの幻想的な森
ロープウェイ旭岳温泉駅の食堂で食事をしてから宿にもどって着替え、13:36に出発。クロカン板も借りられたが、自前のテレマークで歩いた。クロカンコースは大きくわけて2つあるのだが、比較的静かな、林間のコースへ(もう一方は地元高校スキー部の練習がすごい)。入口は宿のすぐ裏にある。最初上りのあとはゆるーく下る。鳥の声を聞きながらのんびり歩いていると、次第に霧が立ち込めて、エゾマツの林が幻想的に見えてきた。残念ながら思ったよりは鳥が少なかったが、この林の風景はよかった。 最後に滑降を楽しんで、15:32帰着。2時間もかかったが、もっと普通に歩けば1時間強で周れるだろう。途中レーシングスタイルのクロカン選手に2回抜かれたが(同じ人)、その間隔は20分ほどだった。この選手以外に誰にも会わなかった。

5月5日 曇り

ショック・・・朝からどんよりと曇っている。夜にはあんなにたくさんの星が見えていたのに。今日は最終日。昼まで待って回復しなかったらすぱっと諦めて家に帰ろう。というような話をしていたら徐々に雲は高くなり、日もさすようになってきた。あたふたと荷物をまとめて、出発。10:20のロープウェイに乗り込み、姿見へ。中岳温泉を目指す。

10:40 姿見発(高度計:1650m, 温度計:9.6℃)

旭岳は今日はこんなです
旭岳は今日はこんなです
上りが苦手な相棒Kはシールを着けて歩き始める。時間帯もあるのだろうか、今日は家族連れの観光客が多い。 朝は下から姿見の駅も見えないほどの雲だったが、今は旭岳の中腹が見えるほどに回復していた。写真右手の雪の登山道を多くの人が登っているのが見えた。

第一の岩場

第一の岩場
第一の岩場
クロカン・マップでは、地獄谷の噴煙を目指してから進路を左に変えるとあるが、見るとその進路となるべきあたりの雪が途切れてしまっている。そこで、雪のつながりをたどりながら第一の岩場を直接目指すことにした。第一の岩場には烏帽子状の尖った岩があり、夫婦池のあたりからもよく見える。

青空の下をスキーで行く

旭岳の裾野を歩く
旭岳の裾野を歩く
第一の岩場を過ぎ、ふと振り返ると相棒Kが遠かった。おっといけない、彼女はシールを貼っているからスキーが滑らないんだったっけ。このあたりでは少し晴れ間も見えたりした。青空の下、大雪の裾野を歩く。思い描いていた光景だ。でもこれから行く先にはもっと広い雪原があるに違いない。この先からは、長く伸びたハイマツ帯の切れ目を探して突破する、そんなことの繰り返し。たぶん遠くからこのあたりを見ると、白い雪の中に緑のハイマツ帯が縦縞もように美しいのだろう。先行者のデポ旗を参考にしながら進む。

11:47 第二の岩場で撤退(1780m, 2.3℃)

第二の岩場
第二の岩場
と、そうこうしているうちに風が強くなり、また、気温も下がってきた。寒いだけでなく、雪面もクラストしてきたようで、かつりんのスキーのウロコの効きが悪くなってきた。そんな中、第二の岩場に到着したが、どうも先行者が苦戦しているようだ。板を担いで岩を登る人(写真右手)、下方を巻いていく人(写真左手)。前者は岩を越えてしばらくしてから戻ってきた。後者は途中で立ち止まり、少ししてこちらも帰ってきた。この状況を見て我々はあっさり撤退決定。雪面の状況からして、我々の楽しめるレベルではない。それに何より気がかりなのは、雲がまた低くなってきたことだ。ほとんど目印のないこの辺りでガスに巻かれたら・・・うう、恐ろしい。岩の向こうはどんな景色なのか見たい気もしたが、ここは大人しく帰ることにしよう。

12:45 姿見帰着(1630m, 6.9℃)

姿見駅に向け歩く相棒K
姿見駅に向け歩く相棒K
撤退地点まではほとんど登りだったので、帰りはらくちん。第一の岩場まで来れば姿見駅も見える(写真の中央奥の突起物は駅の鉄塔)。これでほっと一安心。軽食をとってから夫婦池に向かって一気に直滑降だ。撤退地点から標高わずか100mほど下っただけのこのあたりは雪もまだ状態がよく、気持ちよく滑り降りられた。 夫婦池の縁を周って姿見駅にゴールイン。駅の休憩所でおしるこなど温かいものを食べる。ちなみに姿見駅の売店は営業していなかった。軽食・飲み物の自販機があるのみ。

夫婦池と本日の滑降斜面

夫婦池から第一の岩場を振り返る
夫婦池から第一の岩場を振り返る
時間が余ったのでもう一度同じ道を第一の岩場近くまで行き、滑り降りて遊んだ。夫婦池から今日歩いたコースを振り返る。写真の奥、左端の黒いぎざぎざしたかたまりが第一の岩場。往きに通ったとき(11時頃)は雲はずっと上だった。雪面も、つい先ほどの帰りに滑ったときと違ってもう凍り始めてきた感じだった。これでは楽しめないので、まだ早いが下山することにした。
下りのロープウェイの改札で並んでいると、我々が板を持っているので、後ろにいた女性が「滑らないんですか」と聞いてきた。余計なお世話だと思って無視していたら相棒Kが「もう疲れたから」とテキトーに答えた。

旭岳温泉

旭岳温泉駅裏の湿原
旭岳温泉駅裏の湿原
旭岳温泉駅に着いたのは14:30であった。
ロープウェイの中から下を眺めていたら、旭岳温泉の駅の裏手にミズバショウとリュウキンカがきれいに咲いているのが見えたので、降りてから行ってみた。美しい。着実に春は近づいている。
電話で空港までのタクシーを予約してから宿に戻った。風呂の脱衣所を借りて着替え、スキーやブーツを梱包して宅急便の申し込みをし、宿を後にした。ふたたびロープウェイ駅に戻り、売店で売っていた地元の旭岳麦酒を飲みながらタクシーを待った。酸味が強い、好みの味で満足。
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