焼石岳・充足した敗退 2001年6月22日 - 23日 小屋利用

6月22日 霧

東北新幹線水沢江刺駅に10:00過ぎに到着。タクシーで中沼登山口へ向かう。途中ほか弁に寄って昼食を調達。タクシー代は8,740円であった。

11:54 中沼登山口を出発(高度計:730m, 温度計:22.8℃)

今シーズンよりトイレも新設されたが、この駐車場には水場はないので事前に用意しなければならない。ほか弁を食べていざ出発。のっけから泥沼道に苦しむ。

12:39 中沼着(915m, 21.1℃)

霧の中沼
霧の中沼
うだうだと泥道を歩いていると中沼に着いた。ベンチが2つ。ガスが濃く、沼のようすも皆目見当がつかない。
登山道は中沼の南岸沿いを行く。すると、西岸に湿原が発達しており、リュウキンカと先っちょの黒いツクシのような植物の群落があり、目を楽しませてくれた。リュウキンカとたいていセットのミズバショウはここでは終わっており、巨大な葉を茂らせていた。

13:21 上沼に到着(965m, 23.0℃)

雪解けの沢
雪解けの沢の下の沢にミズバショウが見える
中沼から上沼に向かう道から残雪が。真新しい木道があるなど登山道は比較的整備されているが、スノーブリッジがあったり、また雪のない道でも雪解け水があふれ、まるで沢のようだったりと難路は続く。
ここから花が増えてきた。花の名山の始まりと言ったところか。リュウキンカ・ミズバショウは至るところに出現。さらにヤマツツジ・ヤマアジサイが周囲を彩り、林の中にはシラネアオイも見られる。ショウジョウバカマ・ハクサンチドリなどはまだ咲き始めのようだ。

14:29 銀明水到着(1140m, 21.1℃)

銀明水
銀明水
残雪と泥に苦しみながらも無事に銀明水到着。水場にベンチが6つ。
すぐそばに避難小屋があると思っていたが、見当たらない。ちょっと不安になったが、少し上の高台にあった。ガスが濃いときはうかうかすると発見できないことがあるかもしれない。

偵察

ホワイトアウト
ホワイトアウト!(ちょっと大げさ)
登りの途中すれ違った女性に「銀明水から上は花のじゅうたん」と言われ、小屋到着後もいてもたってもいられなくなり、荷物を置いてすぐに上方の偵察行動を開始。しかしガスはますます濃くなるばかりで、ミズバショウ群落以外はさしたる花畑もなく、小屋へ引き返す。
小屋からすぐ上に雪渓があった。明日は大きな荷物を担いでここを歩かなければならない。朝だと雪が固く、スリップしやすいだろう。要注意だ。

銀明水避難小屋

銀明水避難小屋内部
銀明水避難小屋内部
銀明水避難小屋は、うわさには聞いていたが、本当に「こんな避難小屋が世の中にあったのか!」と驚く美しさ。トイレは簡易水洗式で、水溶性の紙しか使えないので、この小屋を利用する人はトイレットペーパーを必ず持参すること。
小屋泊は本日は我々のほかは学生3人のパーティだけであった。学生たちは先に到着していて2階を陣取っていたのでわれわれは1階に入った。夕食は学生たちは肉じゃが、われわれはうな丼・肝吸い・サラダ・ワインであった。うな丼はレトルト蒲焼で作ったのだがたいへん美味であった。これからの山行の定番になるだろう。

6月23日 霧のち曇り

5:49 銀明水避難小屋を出発(高度計:1125m, 温度計:17.8℃)

小屋を振りかえる
雪渓を少し登ってから小屋を振りかえる
少し登ってから振りかえると、昨日どこにあるのか探してしまった小屋も一目瞭然。ガスがなければこんなもんだ。
天気はまあまあであろうか。上の方はガスっているが、晴れるかもしれない。今日は土曜日で多くの入山者でにぎわうだろうが、この時間ではまだ日帰りの登山者も来ない。このままいけば静かな山頂が味わえるだろう。

7:15 姥石平分岐点に到着(1360m, 14.0℃)

ガスの姥石平
ガスに包まれた姥石平のハクサンイチゲ群落
昨日偵察した雪渓はアイゼンを付けて通過した。
その後はガスの中ずーっと潅木帯が続き、徐々にモチベーションが下がる中、ケルンが見えてきて姥石平分岐点に到着。当初の予定では周辺を散策したりして12時頃金明水に向けて出発することになっている。しかし、この視界では・・・あたりは一面ハクサンイチゲの花畑のようなのだが・・・

7:36 撤退(1380m, 18.2℃)

寒い。風が強い。かつりんにしては珍しく、Tシャツ・ウールシャツに加えてカッパまで着込んだがまだ寒い。どうやってあと4時間もここにいればよいのだろうか?・・・花もよく見えない・・・
ということで、撤退開始。

8:58 銀明水(1110m, 18.5℃)

雪渓
ガスがとれればなんてことない雪渓
下る途中周りのガスが晴れてきたので、また山頂に向けて引き返そうかと何度も振りかえったが、どうも上の方の雲だけは取れないようだった。
途中の雪渓はガスがなければなんということはないものであった。登りではびびってアイゼンを付けたが、見晴しがきくと恐怖感は激減し、下りではアイゼンは付けずに歩けた。
銀明水でもう1泊して翌日再アタックするか、すぐ下山するか、アップルティーとケーキでお茶をしながら協議する。

9:38 銀明水発(1110m, 21.4℃)

沢と化した登山道
沢と化した登山道
結局、一晩待っても晴れる保証はないということで、下山決定。
下りになると道の悪さを痛感。
くるぶしまで漬かってしまうほどのぬかるみ。
豊富な雪解け水でまるで沢。
こわれて左右に傾いた泥まみれの木道。
この3種の悪道には神経を使わされた。登りで多少知っている道であったのが救いだったか、一度も転ばずに済んだ。地元(らしき)登山者は、長靴で歩いている人が結構多かった

11:24 中沼東岸ベンチに到着(900m, 23.6℃)

中沼畔のリュウキンカ
中沼畔はリュウキンカでいっぱい
中沼が見えてきた。昨日霧に包まれまるで様子のわからなかった沼は案外こじんまりとしていた。西岸で15分くらい、写真を撮ったりしてのんびりと過ごす。
沼の西岸はリュウキンカでいっぱいだった。リュウキンカは沢沿いに一列に並んでいるのはよく見かけるが、このような広範囲の群落は初めて見た。ここにはアヤメの葉らしきものも見えた。もう少しすると今度は群青色に染まるのだろうか。
数分して、中沼東岸ベンチに到着。またも一休みして、沼との別れを惜しんだ。

11:58 中沼登山口に到着(710m, 25.4℃)

中沼登山口駐車場より焼石岳
中沼登山口駐車場より焼石岳を振りかえる
駐車場はほとんど埋まっていた。山はやっぱり雲の中だった。
駐車場には公衆電話はないので、タクシーは呼べない。ひめかゆのバス停までおよそ3時間の林道歩きである。覚悟してのんびり歩きだすと、途中でなにか動物が道を横切ったり、たくさんのおたまじゃくしで真っ黒になった水溜りを見たりなど、歩きならではの光景も見られた。およそ1時間半ほど歩いたところでスズメバチに遭遇し、恐怖にふるえているところで花巻から来たという方のバンに拾ってもらい、ひめかゆの温泉まで乗せてもらった。温泉までは思ったよりも遠く、そのまま歩いて果たして3時間でついただろうか。大感謝。
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