雪の上高地・乗鞍高原 2001年12月29日 - 2002年1月1日 一般旅館利用

12月29日

12月29日は移動日。鈍行列車を乗り継いで、松本から高山行きの特急バスに乗車、沢渡で降りた。宿までは徒歩10分弱、といったところか。
宿はペンションしるふれい。しるふれいでは「ネイチャースキー」が借りられる。どんなスキーかと思ったら、エッジのついたクロカンスキーだった。ブーツは足首まで保護された、保温性も高い立派なものだった。

12月30日 雪

しるふれいでは中の湯まで毎日送迎を行っている。ご苦労様です。沢渡では朝から雪が降っていたが、送迎車がトンネルをひとつ抜けると雪・風ともにますます激しくなってきた。

8:45 出発(高度計:1375m, 温度計:8.9℃)

釜トンネル入り口
中の湯の釜トンネル入り口
さて中の湯で送迎車を降りると周囲は凄まじい風で準備もままならない。そんな中を登山者が続々と集結してくる。
トンネル入り口にプレハブ小屋が設けられ、遭対協が詰めている。お茶と漬物をご馳走になりつつ登山届を書いて出発する。 冬、上高地はアルプスの登山者と工事関係者だけが入山するものだとばかり思っていたら、ここ数年は上高地散策が目的の人も多いという。年末だと登山者も多そうだし、「誰もいない」というシチュエーションは無理かもしれないけれど、逆に工事が休みになるので車を気にする必要はなさそう

9:13 釜上(1500m, 8.8℃)

トンネル出口
釜上、トンネル出口
トンネル内はアイゼン・ヘッドランプともに使わずに通過できた。
釜上のトンネル出口まで来ると、目前で地吹雪が吹き荒れていた。このまま行っても景色なんか見えないだろうし、とりあえずスキーの練習のつもりで歩き始める。
出口からすぐに急勾配の坂で、今回のスキーではちょっと登りはつらい。坂を登りきってから板をつける。大正池までは工事のため除雪されていることがあるというが、もう工事も休みなので雪はどっさりたまっていた。

10:58 帝国ホテル通過(1757m, 14.2℃)

林の中をスキーで歩く
林の中をスキーで歩く
大正池を過ぎ、林に入ったせいか風は弱まった。道はかすかに登りのはずだが、ほとんど感じられないくらい。滑り降りるところは大正池が見えてくる手前くらいだろうか。
黙々と歩いているといつのまにか帝国ホテルに着いた。田代池方面に向かうか迷ったが、悪天なので人の多いメインルートを河童橋まで行くことにした。

11:14 バスターミナルに到着(1580m, 13.1℃)

軒下にテントがいくつか張られている。冬季トイレは美化センターの裏の方にある。
バスターミナルで風雪をしのいで昼食をとるつもりだったが、風がまいてしまってどこにも休まるところがない。ツェルトに入って食べようかとも思ったが、ちょっとメンドくさい。トイレを済ませて、とりあえず河童橋に向かう。

11:49 河童橋に着いた(1570m, 8.9℃)

河童橋のらんかん
河童橋のらんかん
当たり前だが観光客はいない。通りかかる登山者は河童橋なんぞには目もくれない。このあたりで風雪は最高潮に。大正池と釜トンネルの間の吹きっさらしのところを通ることを考え、早々に退散。

12:49 大正池ホテル(1600m, 20.2℃)

大正池の眺め
大正池の眺め
ホテルは営業中であった。宿泊・食事ともにできるらしい。軒下にザックがずらりと並んでいたし、先を急いでいたのでそのまま通過した。
通り過ぎてからふと大正池の写真を撮っていないことに気付いてぱちり。写真右奥が大正池ホテル。このときは風は先ほどに比べ少し弱くなっていた。

13:36 釜上(1540m, 16.4℃)

釜トンネル内の手掘り部分
釜トンネル内の手掘り部分
ようやく釜トンネルに着いた。最後の急坂でスキーの練習をしようと滑り出した瞬間に突風が来てホワイトアウト状態になってしまい、川に落ちるんじゃないかと怖かった。急いで転んでじっと座り、事なきを得た。
釜上からは実は新しいトンネルの工事が進んでおり、その口が見える。2002年6月頃に開通予定だそうで、開通すると上高地寄りののロックシェード部分は使われなくなる。わずかに残っているこの手掘りの部分もなくなってしまうのだろうか。
などと思いにふけりつつ、天井に下がる氷柱をながめながら歩いていたら見事にすっ転んでしまった。

14:12 中の湯着(1365m, 4.1℃)

中の湯の大氷柱
中の湯側の釜トンネル入り口の大氷柱
トンネルの手掘り部分で写真を撮ったりなどしていたら思いのほか時間がたってしまった。中の湯に着いたころは再び雪も風も強くなっていた。中の湯売店の公衆電話で宿に迎えをお願いし(携帯は圏外だった)、降りしきる雪や大氷柱を見るともなく見ていると、遭対協の人が事務所で待つように招き入れてくれた。
ふと空腹を感じた。そういえば往復の間、テルモスに入れたミルクティーをふたりで300mlほど飲んだくらいで、あとは何も飲み食いしなかったことに気付いた。

12月31日 曇りのち晴れ

本日は乗鞍高原観光案内所が'99年に作った歩くスキーのワクワクMap(138kb)にしたがって乗鞍高原を歩くことにした。
宿の車で乗鞍高原スキー場のチケットセンターまで送ってもらった。リフトを2本乗り継いでスタート地点の三本滝へ。われわれはゲレンデのリフトに乗るのは初めてのうえに強風が吹き荒れていたのでちょっと緊張した。

10:20 三本滝をスタート(1805m, 15.8℃)

乗鞍高原ラングラウフコース
乗鞍高原ラングラウフコースを歩く
夏の間バスが通る乗鞍エコーラインがそのまま歩くスキーのコースになっており、これを国民休暇村まで下ってゆく。標高差は約200m。しかしほとんど傾斜があるのかないのかわからないような道で、上から下までずっと歩きっぱなしだった。
景色がいいわけでもないし、池などのポイントがあるわけでもない。道も圧雪されているし、まるでスキー場の一部という感じがした。ぜんっぜんおもしろくなかった。

11:30 国民休暇村(1600m, 17.5℃)

ここからは車道を少し下る。

11:48 ツアーコーススタート地点(1545m, 17.2℃)

新雪の上を歩く
新雪の上を歩く
車道にツアーコースのでっかい案内板があり、そこを右折するとふたつの駐車場(夏はたぶんテニスコート)がある。その先がツアーコースのスタート地点だ。行く手には、昨日積もったばかりのふかふかの新雪がずっと続いているのが見える。
コースはいかにも切り開かれた道といった風情で、ときおり道標もあるし、迷う心配はない。スキーで脛くらいのラッセルをしながら進む。おおむねゆるやかな下りですいすいと進み、あまり苦にならない。コース中最大傾斜の斜面も、雪が深いためかスピードが出ないし、雪もふかふかだから転んでも痛くない。初心者でも安心だ。斜面に自分だけのシュプールをつける快感を味わえた。
猪谷スキー場からの道との合流地点で初めて他のシュプールに遭遇した。

12:31 第二食堂(1455m, 22.7℃)

ランチ
ランチはチーズフォンデュ
一の瀬園地の第二食堂の前に着いた。天気も良くなってきたし、ここで昼食をとることにした。今日はチーズフォンデュ。
木のテーブルは周囲が掘り起こされていたが、誰もいなかった。また食事中もひとりだけスノーシューの人が通りかかっただけだった。ここはさすがにスキー場の喧騒からも遠く、たいへん静かなひとときであった。
ちなみに、このあたりは携帯電話は通じた。

13:31 第二食堂を出発(1440m, 18.2℃)

林間から乗鞍岳を見る
林間から乗鞍岳を見る
一の瀬園地の中央部に入ろうと思ったが、帰りに登りかえさなければならないのでやめた。
いつのまにか空はきれいに晴れ上がり、林の間から乗鞍岳を眺めながら猪谷スキー場に向かう。

14:14 猪谷スキー場駐車場手前に着く(1405m, 23.5℃)

コースの向こうに乗鞍岳
コースの向こうに乗鞍岳
一の瀬園地を出て同じ道を四つ角まで戻ると、ちょうど先ほど滑り降りてきた道の向こうに乗鞍岳がそびえていた。
猪谷スキー場へは勾配10%の長い坂を下ってゆく。下りきったところからはもうスキー場の上の駐車場が見える。
まだ時間が早いので坂を登り返してスキーの練習をすることにした。

14:50 猪谷スキー場に到着(1405m, 25.6℃)

練習を終了して、猪谷スキー場に到着。このあと、カッパを着てザックを担ぐという、人気ドラマ「ラブジェネ」のロケ地にはおよそ似つかわしくない怪しい風体の二人組が初心者ゲレンデを転がり落ちていった。
スキー場から携帯電話でタクシーを呼んで宿に帰った。公衆電話は見当たらなかった。

1月1日 曇りのち雪

前夜の天気予報では安曇村は朝から雨ということで、何もしないでゆっくり帰るつもりだった。しかし、朝になってみると予報が好転し、降り出しは夕方からという。そこで急きょ、上高地再訪となった。行けるところまで行ってみよう。降ってきたらそこで帰ってくればいいさ。

8:56 中の湯を出発(1325m, 16.3℃)

一昨日に比べてトンネル内地面は氷の部分が多くなったようだった。

9:19 釜上(1450m, 6.3℃)

焼岳
釜トンネルを抜けると焼岳が
トンネルを抜け出ると焼岳が見えた。来た甲斐があったというものだ。
トンネルから出てすぐの坂はきれいに除雪されていた。今日も坂を登りきってから板をつける。

10:05 大正池ホテルに到着(1545m, 24.3℃)

大正池と岳沢
今日は見えた大正池と岳沢
砂防事務所のところから快適な下りが始まる。滑り始めると、大正池が目に飛び込んでくる。おや、今日は大正池はおろか岳沢まで見えるじゃないか。穂高(の下部)を眺めながらスキーで滑降できるなんて、来た甲斐があったというものだ。
風もほとんどなく湖面は穏やかで、大正池に写る山影が印象的だ。
快調なペースで大正池ホテルに到着。

10:57 帝国ホテルを通過(1535m, 18.6℃)

雪が舞い始めた。天気さえ持てばウェストン碑の方を周ろうと思っていたがあきらめた。

11:18 河童橋に着いた(1535m, 14.3℃)

河童橋
再び河童橋
梓川
河童橋上から梓川上流
ここまでくると、風こそないが結構な雪になってしまった。でも、一昨日撮れなかった記念写真は撮れたので、これで所期の目的は達成だ。

11:34 バスターミナル発(1520m, 9.7℃)

梓川岸
梓川岸を歩く
バスターミナルまで川岸を歩いた。すぐそこは梓川。スキーの操作をちょっと誤ったり、バランスを崩したりするとどぼん、だ。
トイレをすませ、菓子類を食べてからバスターミナルを出発。

12:12 大正池ホテル(1560m, 22.0℃)

大勢の人が休んでいた。風もかなり強くなってきた。

12:40 釜トンネルに到着(1515m, 23.8℃)

往きは路面が見えていた最後の急坂はスキーで滑れるほどに雪が積もっていた。
思っていたよりもトンネル内部は凍っていなかった。相棒Kはヘッドランプと軽アイゼン、かつりんはヘッドランプだけで下った。ランプで路面を照らしてよく見てストックで支えながら歩き、なんとかクリアできた。

13:11 中の湯に到着(1375m, 19.9℃)

雪はここ3日間で一番の降りになっていた。送迎車で宿に帰り、レンタルスキーを返して風呂に入ってから沢渡をあとにした。
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