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   名物編 大田南畝(四方赤良・蜀山人)の詩・狂歌〔名物編〕   大田南畝関係
     (動物・植物・食物・器物・鉱物等)
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名物詞書・詩歌出典巻・頁年月日
こうきりん
紅麒麟
「紅麒麟 くれないの麒麟のふせる床夏は大和にあらぬ唐のなでしこ」をみなへし②49文政5年
1822/06/
こうけいし
弘慶子
「積を病む 朝鮮の弘慶子 積や痞(ツカヘ)に奇なる哉 唐傘の蔭を頼まんと欲れば 門前久く来らず」壇那山人
藝舎集
①458天明4年刊
1784/
こうしゅう
甲州 霜柿
「甲州八幡差出磯のもの二人、霜柿わもて来りければ
 名物の品とさし出の磯千鳥はちやの柿も八千代なるべし」
あやめ草②98文政5年
1822閏01/06
こうばい
紅梅
「土屋にて紅梅を見る 紅梅をみんとてけふはこうばいの客も亭主も顔は紅梅」
〈この土屋は土屋清三郎のことか〉
あやめ草②66文化7年
1810/02/
こうよう
紅葉
「山寺観楓 空◯試踏梵王台 秋老藤蘿一径開 楓樹粉々人不掃 坐看紅葉点青苔」
「又 野寺蕭疎白日斜 夾渓楓葉映紅霞 請看霜後千年色 孰与人間二月花」
南畝集1
漢詩番号0016・7
③7明和8年
1771/10/
こうり
「氷 足もとのあきらけき世のめでたさはうすき氷をふまぬ世渡り」めでた百首夷歌①80天明3年
1783/01/
こおろぎ
蟋蟀 (蛩)
「蛩を聞く 分紅間白一叢花 雨細風微露有華 昨日炎蒸今日冷 寒蛩喞々満籬笆」南畝集16
漢詩番号3090
⑤3090文化4年
1807/08/
ごがく
しんぎょうず
五嶽真形図
「荒川君鳴の侯駕に従つて江戸に還るを送る 【双竜唱和巻の韻を和す】  (詩なし)
「五嶽図に題す【荒川君鳴の扇頭の画】 五岳真形図 佩来行色壮 行人安穏時 布帆亦無恙」〈護符〉
南畝集12
漢詩番号2038-9
④184享和1年
1801/07/
ごかぼう
五荷棒
「安永六年丙申(ママ)日光社参の時、道中にてみし駄菓子に五荷棒といふものあり。其ころ駄菓子に達磨糖といふものに似て、一口も味ふべきものにあらず。三間梁の飴とよき対也と思ひしが、今年【庚辰】ある友のもとより、武州忍領北秩父の辺の菓子とて、五かぼうといふものを贈りしをみしに、むかしみしより形大にして、其質もまたおこし米をもてつくりたり。其形は野鄙なれど、四十年のむかしにくらぶれば味ふべし。其頃は千寿より先には干菓子なし。駄菓子の中にも、粟焼といふものなど丹、緑青もて彩れり。今は左にてはあるまじ
 昔の駄菓子達磨糖 安永の道中日光に満つ 秩父長く五荷棒を伝ふ 大飴猶ほ三間梁と唱ふ
 五荷棒や三間梁をみるにつけ三十棒は今の上菓子
 紅屋、越後屋、船橋などは五十棒/\」
奴凧⑩480文政3年
1820/
「忍領北秩父に菓子有り五荷棒と名づく
 此駄菓子達摩糖 安永道中満日光 秩父長伝五荷棒 三間梁大飴如唱」
巴人集拾遺②499
ごくらくすい
極楽水
「極楽水に題す 神僧有月懸 異相至今伝 法沢流無尽 猶余極楽泉
【僧了誉、月懸有り。故に朏上人と名づく】」
 〈小石川・宗慶寺〉
南畝集5
漢詩番号0766
③266安永9年
1780/02/
こけ
「苔 公事訴訟たへたる御代のめでたさやしらすの石の苔のむすまで」めでた百首夷歌①82天明3年刊
1783/01/
こきゅう
胡弓
「胡弓に三絃をあはせひくをきゝて あはせひくみつの糸道千とせまでこきうのかよふ心地こそすれ」六々集②221文化12年?
1815/01/
ごしき
五色狂歌
「詠五色狂歌
 青 藍瓶の藍よりいでゝ紺屋町柳づゝみになびく染物
 黄 金屏風菜たねの花の御殿山同じ色なるてふてふつがひ
 赤 山王の夜宮の棧敷しきつめてみせの柱もつゝむ毛氈
 白 八朔の白むくきたる傾城の雪のはだえのふりもよし原
 黒 すみだ川墨すりながら雪ぞらに今戸のけぶりたつかはら竃」
七々集
万紫千紅

②284
①296
文化12年
1815/12/?
こせき
孤石
「孤石行
 城北牛門溝水浜 孤石独立大如人 維昔他山何処転 々来不售五十春 庸人孺子笑皆睡 公子王孫看且馴
 昔沾膚寸崇朝雨 今没陌頭車馬塵 縦無五色補天力 豈比十襲宋人珍 君不見南山白石爛 古来漫々夜何旦」
南畝集7
漢詩番号1304
③451天明6年
1786/02/
ごそうりゅう
五爪竜
「書庫の柱礎に五爪竜を生ず。戯れに賦す
 庭前書庫石罅縫 両葉纔生五爪竜 蘭蕙当門鋤且棄 何為不蟄没蒙茸」
〈「五爪竜」は五葉のかづら、「蘭蕙」は香草で賢人君子の喩え「蒙茸」は草の乱れまじるさま〉
南畝集19
漢詩番号4053
⑤362文化12年
1815/05/
こたつ
炬燵
「巨燵見雪 ふみ込しこたつやぐらも四足の兎と雪をながめこそすれ」巴人集②422天明3年
1783/11/
「霜月七日の暁はじめて雪ふりけるに 雪ふれば巨燵やぐらにたてこもりうつていづべきいきほひもなし」六々集
蜀山百首
清好帖
②215
①311
⑳373
文化11年
1814/11/07
このきみ
此君 (盃)
「此君盃の記
 道中双六のふり出しなる橋の辺にすめる月知とかやいへる人、四方赤良が書ける七賢図式を見て、ひとつの盃をおくれり。盃中に竹をゑがく。よりて此君といふ。(中略)一年三百六十日、一日も此君なかるげけんや
 此君はいづくよりぞととふたればわらつてこたへず心かんなべ
 君ならでたれかはくれんくれ竹の色をも香をもさか月ぞしる」
四方の留粕①209不明
こばん
小判
「巨燵見雪 ふみ込しこたつやぐらも四足の兎と雪をながめこそすれ」巴人集②422天明3年
1783/11/
こぶし
辛夷
「水を隔つる辛夷 双々木筆隔陂塘 最是一株明夕陽 誰掬芙蓉天外雪 吉祥橋上点叢篁」南畝集16
漢詩番号3034・6
⑤62文化4年
1807/03/03
こぶねちょう
小舟町祇園会
「小舟町祇園会のつくり物は大きなる山門を作りて、額に正徳五年の始之と書り。水無月十二日福の屋内成の稚室にまねかれて
 新宅の格子にならび建たるは正徳五年建し山門」
あやめ草②85文政4年
1821/06/12
こぶんじ
古文辞
「古文辞に寄す
 豪飲当(アテ)無くして元気多し 陽春白雪長歌を雑(マジ)ふ
 滄溟尺牘七才子        文集の初編少きを奈何(イカン)」
寝惚先生文集①353明和4年
1767/08/
こぼん
鼓盆
「鼓盆 大耋のなげきもまゝのかはらけのほと/\ぎをやうちてうたはん」
〈鼓盆とは、荘周が妻と亡くしたときにこれを叩いて歌ったという故事から、妻に死に別れることをいう。大耋は老人の意味。南畝自身の境遇を詠んだものかどうか分からない〉
あやめ草②81文政4年?
1821/?
こまつ
小松
「小松有春色 二葉より春のいろけの有がほに野辺の小まつのこましやくれたり」巴人集甲辰②432天明4年
1784/閏01/