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今回の職務発明訴訟の構図
     −− 誰がワープロを発明したか :技術者の名誉の闘い−−


事実:日本語ワードプロセッサ、いわゆる「ワープロ」の発明者は原告唯一人である。
       当然、訴因の特許1,2は原告の単独発明である。

被告鞄月ナの主張:発明者についての明確な主張はない(これは重大な結果を包含する)。
                  特許1,2は「会議」で出たアイデアで、連名者4名の共同発明である。


経緯:準備の段階で上記被告の主張は重厚な証拠により悉く覆され、原告の主張の正しさは明らか。


  被告:鞄月ナ
  被告側証人(訴外)、特許の連名者:
   河田勉氏:原告同僚(2年先輩。以下、原告との関係は1970年代当時)
   森健一氏:原告上司(グループリーダ(研究室長に相当))
   武田公人氏:研究開発補助者


関与のレベル:ワープロの発明への関与と、訴訟対象の特許1、特許2への関与

T.ワープロの発明への関与
    @原告:「日本語ワードプロセッサ」のコンセプト提唱、発明、研究開発、中核ソフトウェア開発の単独実施者
        (乙15、16、17、甲1、4、52等。年表参照

    A河田氏:ワープロの発明には無関与。
      河田氏の主たる技術的貢献は、4年程の全開発期間の内、初期準備段階において3か月間、従来技術を追試した事のみ。

     ・九大、NHKなどの先駆者が開発に何年もかかったかな漢字変換プログラムであるにも拘らず、
      追試であるので3か月で作成できた。被告は認めている。
      「河田氏が3か月程度でかな漢字変換プログラムを作成したことは認め」
        (被告第一準備書面P.14)
     ・河田氏の貢献は、従来技術の後追いの追試をしただけのものであることを自認。
      河田氏のかな漢字変換プログラムは、
      「特許性は,私のオリジナリティーはないですから,ないと思っています。」
       (河田氏尋問調書)

   B森氏:ワープロの発明に無関与。技術的貢献は皆無。
    ・河田氏ブログに「森さんは一切口を出さずに、『どうなっている』とも聞かずにほっておいてくれました。」
     (甲第29号証:http://d.hatena.ne.jp/tsutomukawada/20061010)
    ・技術に貢献した証拠は皆無。

   C武田氏:ワープロの発明には無関与。原告の助手的役割。


U.訴訟対象の特許1、特許2への関与

   @原告:特許1、特許2ともに、原告の単独発明

   A河田氏:特許1、特許2ともに関与なし。
    河田氏の貢献は大型コンピュータを用いたデモンストレーションの時期まで。
    「大型コンピュータを用いたデモンストレーションのころは、短期学習機能(原告注:特許1)の発想は
     まだありませんでした。」(河田氏陳述書:乙第39号証)
     と、関与の無いことを認めている。

    特許2に関しては、具体的主張なし。つまり、無関与。

   B森氏:特許1、特許2ともに関与なし。
    ・河田氏ブログに「森さんは一切口を出さずに、『どうなっている』とも聞かずにほっておいてくれました。*2」
    ・この事実を否定する証拠提出はない。

   C武田氏:特許1、特許2ともに関与なし。
    特許1は1976年3月の大型コンピュータでのデモンストレーション時に4名で議論して出したアイデアと
    被告は主張したが、武田氏は、当初主張していた1976年4月の異動でさえ無く、同年10月であったと認めた。
     (武田氏尋問調書*4)
    すなわち、1976年3月には武田氏は着任していないので、被告の主張する「4名の議論」は成立しない。

    特許2に関しては、関与していないと証言。
    (武田氏尋問調書)





被告鞄月ナの犯した重大な過誤:
 以上の事実から日本語ワープロは原告の単独発明であることは明白である。
 それにも拘らず、本件の提訴時において、被告は「@原告の単独発明とは認められないこと、A職務発明規程に基づく補償金は既に支払われていること、B退職時の状況にも問題はなかったことから、原告の処遇には問題はなかった」と主張している(訴状)。

 一方で、河田勉氏は、
「東芝社内においては、森氏は『日本語ワードプロセッサを開発した人』私は『実用的かな漢字変換を初めて作った人』という評価が確定していることを付言します。」(河田勉氏陳述書(乙第4号証))と主張し、被告の「原告の処遇に問題がなかった」との主張に矛盾した主張をしているのである。そして、乙第4号証は被告の提出になる証拠である。被告の認識は、上で示した原告単独発明の事実にも拘らず、河田氏主張が示す認識を被告社内で醸成した原因であり、その技術者軽視姿勢の責任は重大である。





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