彼の場合は、部屋の中に鍵をおいて、閉めてしまったのであるから、合鍵があれば、それで開ければ別に問題がない筈である。 今回、彼の部屋については、錠が壊れていたのである。部屋の錠が壊れているために、このような事態になったのである。彼らは、管理人室に行き、合い鍵を借りて来ることにした。彼は、そのままの姿であった。
管理人室には豊沃とした十八、九才の若い娘が居た。しかも、各室の鍵が整然と並べられていた。 彼はその若い管理人に交渉した。 この管理人、彼のステテコ姿をみて、今にも吹き出しそうな面持ちであったが、話している内容は顔の笑いとは裏腹であった。 「部屋の錠が壊れてしまって、私の部屋に入いることができない。私は寝ることもできないので、何とか私を助けて呉れないか。」と彼が云うと、笑っている顔から、,BR>
「アイ、キャン、ノット、ヘルプ、ユウ」と云うのである。
彼は何度となく、鍵が並べてあるボードを指差して、貸してほしいと頼んだが返ってくる返事は、「私は、あなたを助けてやることができない。」と言うのである。 アメリカと云う国は、ここまで、融通が利かないのかと彼は不思議に思った。この管理人と何回か遣り取りしている内に、どうも、中央の管理センターの許可を貰わなくては、鍵を貸して貰えないのではないかと思った。そこで、彼はその娘に中央の管理センターと連絡をとってくれないかと頼んで見ると、今は真夜中で、中央の管理センターには誰もいないのでだめだというのである。
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