佳境、辛酸に入る-第7章-

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(七)

彼の疎開地は農耕馬を生産しているためか、馬の種付けなど近くで見ることができた。
当然、子供が近くで見ていることがあったが「子供はあっちに行け」などと言って、形式的にはそこから離れるように言われるのであるが、子供は木の間から、小屋の破れた板壁から、こっそりとこれを観察することができたのである。
そのような環境から、子供の桃色遊戯が行なわれたのも当然と云えるかも知れない。

昭和十九年、大平洋戦争も終りに近づき、艦載機が盛んに機銃照射をしたり、郡山を爆撃した帰りに落すのを忘れた爆弾を、この桃源郷に置いて行くこともあるようになった。
直子はカケスのひなを一羽、何処からか貰ってきた。
とても可愛がっている様子で常に自分の懐に入れ、暖めたり、小麦を口の中で噛み潰してはこのひなに与えたりしていた。
彼にもこのひなを自慢するように説明してくれたのである。彼もこのひなが欲しかったが何も云わなかった。
しかし、「そのひなを見せてちょうだい」と言って、直子の後を付いて廻った。
何を思ったのか、直子はこんなにまでして可愛がっているひなを彼にくれるというのである。
直子は何かを決心したように彼に可愛がってほしいと云って手渡したのである。

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