佳境、辛酸に入る-第2章-

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会社は民間人が創ったものであり、 その創った個人の意志に大きく左右されるのは当然である。
彼のように幻を頼りにするような人間にとっては封建時代の「百姓は生かさぬように」の 思想通り、仕事をある程度するように最低の満足が与えられるように仕組まれているのだ と彼は理解している。

このようなわけで彼の会社は不公平さとそれからくる不満感が 充満していた。
しかし、親会社から派遣される人間は別として生え抜きの中にも、役員との個人的繋がり、 親会社の役員との親戚関係、またはトップに近いものの個人的な欲望を満足させる手段と して利用できる人物などにより、その出世の早さを大きく左右していた。
彼の会社のみでなく、他の一般的な会社に言えることだが、会社を出世欲、名誉欲の 道具として会社組織があるのだと彼は勝手に決め付けて観たりしたものだ。
特に彼が我慢できなかったのは、トップに近いものがトップの座を得んがために仕組んだ 罠として送り込んだ人物の存在である。

彼には何のプラスにならないのに、彼の仕事の中に入り込ん できて不愉快にさせるばかりか、周囲のものまでの不満を掻き立てる結果になるのである。 この罠として送り込まれた人物とは、彼より二つ年下で上司となった谷口である。
谷口は形だけの部長で、仕事の運営はおろか、部の方針、目標すら設定することができな い人間であった。

従って、管理職とはどのような役割とか目的を持っているのか 理解していないように彼には思えた。しかし谷口のレッテルは素晴らしいものであった。 東大の工学部を卒業し、カリフォルニア大学の博士課程を終了したという。しかし、 どうした訳か博士号は持っていない。谷口は大手の電気会社の勤務し、 コンピュータのソフトの設計をしていたという。
谷口は電気会社に勤務していた頃より、今はやりの人材銀行に登録していた。

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