佳境、辛酸に入る-第18章-

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彼のの言動を見守っていた専務は、口を開いた。「今は、他のバランス上、君を部長にすることはできない。」彼は更に付け加えた。「私に社長になって呉れないか、という話もありますし、役員で来てくれないかという話もあります。一度だけの人生です。思い切り、自分の考える人生を送ってみたい。もしも、私の希望が叶えられなければ、そちらの方に行くだけです。」専務の顔には当惑の色が見て取れた。

彼は更に、「私を辞めさせてくれますね!」「今、君に辞められては、非常に困る。仕事もこれからだし、何しろ、私の立場もなくなる。今まで君に目を掛けて来たのに、君がこんな事言い出すとは思っても見なかった。」
彼は例え嘘でも、これだけ聞けば充分であった。

この事があってから、彼はぼんやりと考え込んでいた。
彼のいる子会社の開発部門は、多くの問題を抱え込んでいることは、彼にはよく解っていたが今まで誰も気付いていなかったようである。上から下の担当者まで染まり付いた問題があった。
開発担当者は親会社に行き仕事を貰って来る。

ところが、親会社の担当者の言うことは、神様の言う事と同じで、何も言返すことなく、そのまま受け賜って、会社に戻ってしまう。
それが無理と承知で、または無理であるかも知らないまま、アフターサービスも、コストも考えずに、設計してしまうのである。
トップの承認も得ないでことが進むのである。担当者の上司は何の手も打てないのである。
         

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