佳境、辛酸に入る-第16章-

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そのように、他から技術を買って来ることの理由は色々と付けることができる。
例えば彼の技術などは信用できないという。信用できないから、他社でつくったものを買ってくるというのである。これによりその担当者は実績を上げられたかも知れないが、この子会社の附加価値は下ってしまうのである。

恐らくこの子会社の役員も、親会社もこのことには気付いていないのである。これで利益を上げているとするならば消費者に高いものを買わせていることになる。たとえ、この子会社の役員がこれに気付いたとしても、これだけ膨張した企業の体質は変らないであろう。

千人以上の企業で体質が改善できた例はないという。このような体質の中では至るところ障害が出始めている。しかし、それに気付く人間は殆んどいないと云ってよい。
給与は比較的によいので生活する上では不便を感じていないのである。従って、人生の生き甲斐を犠性にしても、生活して行くための安定を大部分の社員が求めているのである。

これらの人間はぬるま湯に漬ったようなもので不満があっても外へ出ることはなかなかできないのである。
彼は試みに、二三人の不満を抱く人物に彼が転職する会社に行かないかと誘ってみた。初めは目を輝かして彼の話を聞くのであるが、家族の安定のため二の足を跳んでしまうのである。これで会社の昇給がない、ボーナスが出ないなどの事態が出てくると慌てだすのである。

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