佳境、辛酸に入る-第13章-

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部屋には作り付けのテーブルがあり引き出しが二つ付いていた。ふと一つの引き出しを開けるとポルノ映画のパンフレットが出てきた。これについては、彼は前にもフランクフルトでポルノを見たときもらったことがあったので見たことがあった。
ページを捲ってみると期待した通りの場面の写真が印刷されていた。ページをさらに捲って行くと一個所の頁が糊付けされて離れないところがある。
彼は、一瞬気が付き、放り出し洗面所に走った。

手を石けんで入念に洗い、しまったと思ったのである。何者かの慰みの名残であった。

正確に六時に迎えが来た。BMWの助手席に奥さんを乗せて社長が自から運転して迎えに来てくれたのである。この安宿に迎えに来るにはりっぱ過ぎるスポーツカーであった。その豪華なスポーツカーに乗せられ、これまたドイツ人好みのレストランに連れて行かれた。

そのレストランは戦争中に爆弾で破壊された残骸を継ぎ合せて複元させたものだという。
彼は話を聞きながら、ドイツの人々は古い祖先からのものを大切にしていると感じていた。しかも、これを悲しんでいる。
日本では、東京駅前の丸ビルを壊して新しいのを建てるとか、帝国ホテルの旧館を壊すとかという話であるが、まさにこの辺を見習ってほしいと、彼は強く怒りに似た気持をいだいたのである。

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