※バインダーにはさんでおいた介護のメモ書きや、新聞記事で見つけた介護記事、また、ただ今介護に奔走してらっしゃる鬼さんなどのメールなどを紹介しています。介護するほうも、介護されるほうも笑顔で向き合えるとよいですよね(渡辺京子)。 |
2008.3.12 | 「アルツハイマーに関する市民公開セミナー」 「がんばりすぎない介護とは?」 レポートその2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
前回の「アルツハイマー認知症 今日の治療と今後の展望」のレポートその1に続き、今回は第二部の「がんばりすぎない介護とは?」をレポートします。 お話をしてくださったのは、「認知症の人と家族の会」の東京支部副代表の大野さん。 まずは、まだ介護保険やヘルパー制度すらなかった頃から始まった、旦那様のお母様の介護の体験談でした。 認知症の始まった義母を家に引き取り、大声を出すという問題行動を起こす義母との戦争のような介護談を大野さんはたんたんと話されました。もちろん、悩み、時に自己嫌悪に陥り、そして義母を憎んだり、と心身共に大野さんは疲れ果てていきます。 介護家族がたどる心理的過程は4段階に分かれているそうで、 第1段階:とまどい・否定 第2段階:混乱・怒り・拒絶 第3段階:割り切り 第4段階:受容 大野さんは第1段階を経て、第2段階に入っていたんですね。 そんな介護に疲れ果てた大野さんを救ってくれたのは、近くに住む友人だったそうです。 延々と続く愚痴を、その友人は、大野さんを外へ連れ出し、じっと耳を傾けてくれたそうです。 介護家族の悩みは3つあるそうで、 ●周囲の人々の無理解 ●本人との葛藤 ●施設入所を決断する時期 大野さんは友人や家族の理解で、介護疲れを克服していきます。 また、介護家族が「ゆとり」を保つには、この4つが大きな支えになります。 ●認知症の正しい知識をもつこと ●介護サービスや相談窓口の利用 ●介護者同志で思いを吐露できる場を見つける ●周囲の人の理解が大きな支えになる 大野さんは、話を聞いてもらえるだけで、どれだけ介護から救われたか、その貴重な経験を通して、介護をされる家族の方たちを救う運動に関わるようになっていきます。 ところで、大野さんから、たくさんの資料をいただきましたが、その中のひとつのデータはわたしにとって、結構衝撃でした。その表組をこちらへ掲載してみますね。 介護者と要介護者の続柄 (単身・入院・入所をのぞく)
いかがですか? 1982年には43.3%の介護者はお嫁さんでしたが、2006年では、お嫁さんの介護は12.4%と1/3以上減り、現在の介護者の主流は、娘さんということになっているんですね。現実にこうした数値を目にすると、改めて、介護の形がどんどんと時代と共に変わっていっることに気付きます。 1982年では娘さんの介護は24.0%だったものが、2006年には36.1%となり、介護者の主流となります。また、お嫁さんが減った分、夫や妻など、連れ合いが介護する割合も増え、特に男性の介護が目立っています。 夫は、5.7%だったものが16.6%と、3倍以上激増し、息子も、3.3%だったものは6.2%と、倍増しています。 以前は、当然のようにひとりお嫁さんが見ていた介護を、現在は、みんなで介護を分担し始めたのかもしれません。また、核家族化している為、個々で介護するのが当然のなりゆきなのかもしれませんね。 もうひとつ、「介護者の年齢」の表組は、日本の老齢社会の問題点を克明にあらわしていました。プリントをスキャナで取り込み、表組を貼り付けました。 介護者の年齢が14年前に比べ、どんどんと高齢化し、1982年には80代の介護者は2.2%だったのに、2006年には12.0%の高齢者が介護をしているという事実が、この表組でわかります。円グラフを見ると、50代、60代、70代、80代の人たちで、ほぼ全ての介護が行なわれているといっても過言ではないかもしれません。 また、高齢の方が介護する場合には特に、 ●お医者様に相談したり、 ●社会保険のデイケアーやショートステイを利用するなど、 ●早めに社会支援を使うこと、また、 ●地元の介護サービスを担うケアマネージャーとの連携を密にして、 介護に臨むことが大切だとのことでした。 他に、遠隔介護の問題として、娘や息子のところへ引越しさせるかどうかがよく問題になるそうですが、 ●環境を変えるのは初期の段階なら大丈夫 ●でも、認知症など進行が進んでいる場合は、引越しをすると症状が悪化する場合がある そうですので、やはり専門の人と相談してから決めたほうがよいかもしれませんね。 ●また、高齢者が都会に引っ越すのは難しいが、田舎へ引っ越す場合は、成功することが多いそうです。 ということで、今回のリポートを終了させていただきます。 乱雑なメモ書きを元に、レポートしましたので、綿密な情報提供ができなくてすみません(^^;)。 またこのような講演があったときには、次回も時間の許すかぎり、ぜひ参加したいな、と思っています(^0^)。 |