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※バインダーにはさんでおいた介護のメモ書きや、新聞記事で見つけた介護記事、また、ただ今介護に奔走してらっしゃる鬼さんなどのメールなどを紹介しています。介護するほうも、介護されるほうも笑顔で向き合えるとよいですよね(渡辺京子)。
2008.3.6 素晴らしいセミナー「アルツハイマーに関する市民公開セミナー」
 「アルツハイマー型認知症 今日の治療と今後の展望」 レポートその1

今回のセミナー、期待以上の貴重な情報や知識が盛りだくさんで、感動して帰ってきました。
忘れたりするともったいないな、と思い、ただ今、メモ書きに目を通しています。

実は録音機器を持っていったんですけど、念のため、スタッフの方に確認をとったところ、「著作権の問題になる可能性もあるので、申し訳ないんですが、遠慮していただけますか?」との答えだったので、残念ながら、録音できず、乱雑なわたしのメモが唯一の頼りとなってしまいました(^^;)。

また、情報量がとてつもなく多く、とても1回では書ききれないので、何回かに分けて、紹介したいな、と思っています。

セミナーは二部構成となっていて、最初の講演は、「香川大学医学部精神神経医学講座教授」の中村 祐先生。
「アルツハイマー型認知症、今日の治療と今後の展望」というテーマで35分間、驚くほどの盛りだくさんの最新情報を次々に紹介してくれました。こんなに、「認知症」の研究が進んでいたんだなぁ、と最初から目を白黒(^^;)。

認知症の出現率は、65〜69歳で60人に1人、80〜84歳で6人に1人、85歳以上となると、4人に1人、つまり今日集まったセミナー参加者が100名いるとすると、もし、全員が85歳だとすると、25名の認知症の方がいるという計算になるんですよね(^^;)。

高齢社会の日本、高齢者が集まると、右も左も認知症、なーんてことも不思議ではない時代も来るのかもしれませんね(^^;)。

2005年では、認知症の数は170万人。
2025年にはその数値が330万人になるそうです。おそらく、軽度の認知症を含むと、「500万人はいるでしょう」と先生はおっしゃってました。

わたしたちは「認知症」というと、物を忘れる病気だと思ってますよね?
実は認知症は「言葉の病気」なんだそうです。

認知症の症状は
●失語(あれ、それという)
●失行(ものの使い方がわからない)
●失認(近所で迷子になる)
●実行障害(目的にあった買い物ができないなど)
この4つの特徴があります。

先生いわく、「冷蔵庫の中を見れば、認知症かどうかわかります」とのこと。
冷蔵庫は目的によって商品をそろえて管理する、という管理能力がかなり必要とされるところなのだそうです。だから、冷蔵庫を見れば、認知症が進んでいるかどうかもわかるそうです。

よく認知症が進行すると、性格が変わる、と言われますよね。
先生は認知症前の活発な男性のイラストと、認知症になったためすっかりやる気を失せている男性のイラストを見せて、「さ、どちらがその人の本当の姿だと思いますか?」と質問されました。

一番前の席に陣取っていたわたしは、先生に当てられないよう、思わず視線をはずし(おい)、首をひねりました(^^;)。すると、「認知症で性格が変わるのではなく、認知症になって、その人本来の気質が出てしまうのです」と先生が解説してくれました。

「人を見るには、お酒を飲ませてみるのが一番です。酔っ払って、陽気になる人は本来陽気な性格なんです」とのこと。「認知症になると、本来の気質が出る」と言われ、お義父さんの病院にいるたくさんの患者さんたちを思い浮かべながら、怒ってばかりいる人とか、優しく世話焼きをする人などを思い出してました。

認知症の人を家で介護する場合、一番の問題は、介護する側と介護される側の対立だそうです。その典型的なものが嫁姑。
先生いわく「元々嫁姑はN極とS極の電極みたいなもの。対立して当たり前。共に家にいる時間が長いので、対立してしまうそうです。

まして、姑に認知症が出た場合、「物とられ妄想や嫉妬妄想の症状が出るので、更に互いの関係が悪化するそうです。「なくなったと騒いだ財布が見つかった場合も、たとえ嫁が見つけても、嫁が隠したから、見つけることができたのだと、逆に言われかねない」そうです。

だから、そういう場合は、息子さんが間に入り、息子さんがお財布を見つけたことにするとよいそうです。息子さんが間に入ることで、二人の間を冷却させる作用があるそうです。

また、認知症になると、味覚の好みが変わるとも言われているそうです。
先生いわく「それは、認知症の出始めの症状で、実は味覚がどんどんとダメになっていくからだそうです。そして、驚いたことに最初にダメになる味覚は「酸味」なんだそうです。

「酸味がなくなったら、御用心!」かもしれませんね(^^;)。
認知症になると、他の味覚がダメになり、甘さを感じる味覚が残るので、「甘いものが好きになるとのこと。機嫌が悪い時などは、甘いものをあげて、機嫌をとるとよいそうです。

認知症の大きな特徴として、「病識がないこと」にも注意が必要だそうです。
初期であれば、「アセリルコリン エステラーゼ 阻害剤」が有効だそうで、現在認知症の治療薬は4種類。頭の活性力をつけ、認知症の進行を遅らせる治療をおこなうのだそうです。

75歳で初期の認知症を発見したとしても、10年間薬で進行を留めることができれば、軽度認知症として、通常通り、社会生活を続けることができ、天寿をまっとうすることも可能なのです、と先生はおっしゃってました。

薬の形も、管理がしやすいよう、背中に貼る「貼り薬」も初めて知りました。
今後の医療の発達を期待したいですね(^^)。

ということで、今回は、中村先生の「アルツハイマー型認知症 今日の治療と今後の展望」の講義を紹介させていただきました。

次回は、「認知症の人と家族の会」の東京支部副代表の大野さんの自らの介護の体験を基盤にした「がんばりすぎない介護とは?」の話を紹介させていただきます。

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