座椅子を使うときの注意点
座椅子を使った座り方は楽ちん度がNO1なのですが、ほぼ確実に腰を悪くするといっても過言でないほどの危険を伴う座り方でもあります。私の見るところでは、腰痛持ちの半数以上が背もたれのついた椅子に座る習慣によって悪くしているように感じます。
…が、背もたれのある座椅子は心地いいから、どうしても手放したくないという人のために、上手な座り方を解説します。(ただし、お勧めはしません。頭でわかったようでも、どうせ微妙な失敗を繰り返しますので)
まずそもそも、座椅子を使うと腰を痛めるケースがなぜ多いのかを知らないといけません。
一般的に椅子に背もたれがついていると、どうしても楽をしたい人間の性で、思いっきり後ろにもたれて腰が丸まってしまいます。その時、骨盤が後ろに大きく倒れて、それに続く腰椎(背骨)との関節部にものすごい負荷がかかります。力学的に、自分の上半身の体重が集中してそこにかかり、ミシミシと筋肉に負担をかけていくのです。
特に問題なのは、もたれている時ずっと腰を悪くしているのに、本人は痛みも何も感じておらず、すごく楽ちんだということ。腰の筋肉の方は生理的に引きつって耐えていているにもかかわらず、全く気付いてもらえないのです。結果、腰が痛くなったときにも原因不明。身体が感じにくいため、自覚が持てないというところに一番の怖さがあるのです。
気付いた時には地獄腰痛に陥っていて、ぎっくり腰を繰り返すパターンにはまります。
また、もう一方、腰の丸まった状態というのは、すっと骨盤の立った状態に比べて、上半身の体重を支える強度がかなり弱いようで、長く経つうちに椎間板と呼ばれるクッションが変形しやすく、しかもつぶれやすいようなのです。どうもそれが歳をとったときに、脊柱管狭窄症といわれる骨の変形につながり、脚が痛くなったりしびれたりなど、坐骨神経痛の症状がでてくるパターンにと陥っていくケースが多いのじゃないかと思えてなりません。
こうして、この種の腰痛はどこまででも悪くなります。
ともあれ、要点としては二つ。腰椎下部に折れ曲がる負荷がかかるため筋肉がくたびれる。腰丸まりの状態は縦の(体重の)圧縮に弱く、椎間板に負担がかかる。
これがクリアされれば良いのですね。
具体的な方策は、腰椎の5番(背骨の一番下)周辺をガッチリ支える腰当を入れること。そして極力、骨盤と腰椎の関節部の丸まりを避けること。
これしかし、負担をゼロにはなかなかできず、極めて繊細に重力のバランスを調整していって、絶妙のハーモニーみたいな合わせ方をしておかないと、あとで必ず腰痛に見舞われます。もしくは、歳とったら坐骨神経痛発症でしょう。
それに何より心配なのは、間違った状態になっていても、痛む自覚が持てないから、自分で全く気づけないことです! 楽ちんで心地いいだけに、流れに乗ったが最後、地獄へと続く一本道です。注意の3乗くらいしても、まだ足りません!!!
⇒もしやるなら腰当て部分だけ支えて、背もたれには、一切もたれる気なし、というくらいが間違いないと思います。写真はパフォーマンスのため、危険を承知で後ろにもたれています。あまりマネしないように。
ホームセンターなどでも背もたれに腰当てがついた形状のイスをたくさん見たことがあると思いますが、”人体工学に基づいて云々…”と一応は書かれているものの、私が調査した限りでは、どうも弱いものが多く、どれだけ効果的かというとかなり怪しいイスが多いようです。ほとんどの製品が、あまり真剣に考えて作られてはいないのでは?
この写真で使っている腰当ては間に合わせですが、ポリウレタン製のしっかりしたクッションですので、割としっかり支えてくれました。しかしそれでも、けっして安心はできませんね。
一応、参考までに記しておきました。
こういう座り方をするのだったら、ある程度、定期的に整体チェックを受けることをお勧めします。間違っていて気づかず、沈黙の悪化を放置していた場合、それが筋肉の問題だけだったらマシですが、椎間板や骨を極端に悪化させてしまっていたら、取り返しがききません。多くの場合は整体施術で症状は改善されますが、それも限度があり、それを超えたら外科手術する他に手がなくなります。重々ご注意を!
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