ピコ通信/第16号
発行日1999年12月19日
発行化学物質問題市民研究会
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目次

  1. これでいいのか!ダイオキシン特別措置法
  2. 第2期・連続講座 第8回「薬の有効性と安全性」
  3. 環境ホルモン国際シンポジウム in 神戸(1)
  4. 海外情報
  5. 11月の動き
  6. 第2期・連続講座 第9回案内/編集後記

1.これでいいのか!ダイオキシン特別措置法

 この7月に「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立した。環境庁の中央環境審議会では、この法律を受けて水と大気、土壌の環境基準と、規制対象となる廃棄物焼却炉などの特定施設に適用される排出基準等について答申をまとめ、さる12月10日、清水嘉与子環境庁長官に提出した。同庁は、年内に告示と総理府令で正式に決定し、2000年1月15日から施行となる。世界で初めてのダイオキシン対策法のスタートであるが、欧米各国と比べても著しいダイオキシン汚染レベルにある日本の現状が、果たしてこの法律でどこまで改善されるのであろうか、施行にあたって検証してみた。

ダイオキシン特措法の成立経過
 日本におけるダイオキシン対策の動向については、本紙でも過去に取り上げてきた。今回、この法律が成立した背景を振り返ってみると、今年2月1日のテレビ番組(テレビ朝日「ニューース・ステーション」)で、埼土県所沢産のほうれん草などの野菜がダイオキシンによって高濃度に汚染されているとの報道がきっかけとなって、価格暴落、市場取引の停止といった”パニック”状態となり、事態を重く見た政府が急遽2月末に「ダイオキンン対策関係閣僚会議」を設置し、3月末には「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定された。
 一方、NGO・市民団体からダイオキシン規制法案の制定を求める声が高まってきたことや、公明党や民主党からダイオキシン対策法案が相次いで発表されたことなどが引き金になって、超党派による議員立法により、7月12日に世界でも初の「ダイオキシン類対策特別措置法」(以下「特措法」と略す)が成立した。

出揃った各種基準案とパブリック・コメント(PC)
 この持措法を受けて、環境庁・中央環境審議会と厚生省・生活環境審議会の各部会が大気や水質、土壌の環項基準と排出基準、ばいじん・焼却灰等の処理基準等について検討を行い、11月2日までに、ほぼこれらの全貌が明らかになった。そして、法令制定の手続上かってないことであるが、各審議会で取りまとめられた基準案について、国(関係省庁)が決定する前に、国民の意見を聴取するという「パブリック・コメント(PC)」の手続きが採られることになった。このPCは、11月下句から12月初めまで実施され、寄せられた意見も踏まえて12月中には各審議会から答申が出され、その後は政省令や告示等が整備され、来年1月15日までには施行されることになっている。
 このPC制度自体は、従前の「官治決定システム」に対して、国民が事前に意見を申し立てることによって、政府の行政意思決定過程に参画できる手続きとして、一定評価できるシステムではあるが、今回の基準案をめぐるPC手続きを見る限りでは、ただ単に意見を聴き置くだけの“ガス抜き”でしかない。

ダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準一覧
【環境基準】
大気 0.6ピコグラム/m3
水質 1ピコグラム/l
土壌 1,000ピコグラム/g
【排ガス基準】(単位:ナノグラム/m3)
対象施設 新設 既設 暫定値
廃棄物焼却炉
焼却能力 4t以上 0.1 1 80
  2〜4t 1 1 80
  50kg〜2t 5 10 80
製鋼用電気炉 0.5 5 20
製鋼業燒結 0.1 1 2
亜鉛回収 1 10 40
アルミニウム合金製造 1 5 20
【排水基準】(単位:ピコグラム/l)
対象施設 新設 既設 暫定値
紙パルプ製造 10 10 -
アルミニウム製品製造 10 10 20
塩化ビニール製造 10 10 20
一般・産廃焼却 10 10 50
PCB分解 10 - -
PCB汚染洗浄 10 - -
上記事業所の排水処理 10 10 -
下水終末処理 10 10 -
廃棄物最終処分場 10 10 -
【注】排ガス・排水処理は、既設の施設には2001年1月から適用する。暫定値は既設の施設が対象で、排ガスで2002年11月、排水で2003年1月まで適用する。

基準案の問題点
 今回、各審議会から出された基準等は、以下の通りである。
【中央環境審議会大気部会】大気の環境基準、特定施設の種類及びその排出基準
【同水質部会】水質の環境基準、特定施設の種類及びその排出基準
【同土壌農薬部会】土壌の環境基準、対策要件
【生活環境審議会廃棄物処理部会】ばいじん等の処理基準
【同部会・中央環境審議会廃棄物部会】ばいじん等に係る最終処分場の維持管理基準
 このうちさる12月10日の中央環境審議会で答申された基準一覧を表に示す。

 答申について全体的に指摘できる問題点は、ダイオキシンの排出をゼロにしようという積極的な取り組みの姿勢が全く見られず、現状追認に終始していることである。
 まず、ダイオキシン対策の根幹にかかわる重要な基準として、法律の第6条に定められたTDI(耐容1日摂取量のことで、人体に対する安全基準)について、条文では「人の体重1キログラム当たり4ピコグラム以下で政令で定める値」とされているが、今回の各種基準を定めるにあたって、各部合では、この6月に中央環境審議会と生活環境審議会および食品衛生調査合の合同委員会が決定したTDIの4ピコグラムをそのまま採用していることである。
 そもそも合同委員会でTDIを決定する際に、委員の中にはWHOが採用した1〜4ピコグラムに準拠して、「より安全側に立って1以下にすべき」という意見や、あるいは「当面の基準値と究極の目標値の両方を採用したら」という意見が出されたにもかかわらず、環境庁と厚生省の事務局の抵抗により、これらの意見は退けられてしまった。その理由は、1ピコグラム以下では、日本人の現状における平均摂取量がすでにこの基準を大幅に超えているからである。

尻抜けの土壌基準
 今回の大気、水質、土壌に関する環境基準の中で、最も緩いのが土壌で、昨年11月に環境庁が設定したガイドラインの土壌1グラム当たり1,000ピコグラムをそのまま踏襲した。環境庁の説明によれば、汚染土壌の直接摂食や皮膚吸収等によっても、TDIの4ピコグラムを超えることはない安全側に立った値で、しかもこの基準を超えた土壌については、除去対策を講じる「対策要件」であることを強調している。しかし、実際にこの基準値を超える土壌はとなると、今のところ、大阪府能勢町の清掃工場周辺地域しか見つかっておらず、数百ピコグラムの汚染土壌が見つかっている所沢や竜ヶ崎などは除去対策の対象地にならないという、全くの尻抜け基準といわざるを得ない。
 紙数の関係で省かざるを得ないが、土壌基準以外の大気や水質の環境基準も、またダイオキシンの発生源に対する規制措置(特定施設の種類汲び排出基準の設定)も同様にきわめて不十分である。

特措法の抜本改正を!
 ダイオキシンの排出をゼロにするためには、原因物質の塩ビ製品等の生産・使用規制や、焼却自体の禁止措置が必要であり、また、国民が安心して食品や母乳等を摂食できるように、特措法で食品基準を設定する等の抜本的な見直しが必要である。(藤原)


2.第2期・第8回市民連続講座「薬の有効性と安全性」
  99年12月4日(土)に行われた高橋晄正さん(元東京大学医学部講師)の講演より
 (文責・当研究会)

 私は医薬行政の批判を続けていますが、厚生省の役人が、私のことを東大講師ともあろうものがという談話まで出したこともありました。だから私は東京大学名誉教授ならぬ東京大学不名誉講師です。批判をすれぼ改善される一方で、悪くする流れもあります。今一番おかしいのが、インフルエンザワクチン、フッ素による虫歯予防、漢方の3つで、私はそれを三大偽科学と呼んでいます。
 だいたいフッ素で虫歯予防をするなんてことは非常識で、反科学、非倫理という他ありません。フッ素は化学物質の中でも一番反応性の高い、怖いものです。フッ素を水道に入れる際に、1リットルに1mgが至適濃度と言われていますが、これは1ppmで、15%の斑状歯が出ます。班状歯とは、歯の表面のエナメル質の形成不全で歯が欠けて、そこに食べ物の色素がついて茶色くなる症状のことです。このような明確な身体障害を起こす、治療ができないものは、医療用に認めないというのが医の基本原則です。

ヨーロッパ諸国における
水道水フッ素化と中止の状況(高橋1999)
国名 開始 中止 現在の
実施率(%)
備考
ノルウェー     0
スェーデン 1952 1961 0
フィンランド 1959 1998 0
デンマーク ? 1965 0
オランダ 1953 1976 0
ベルギー 1956 1965 0
旧西ドイツ 1952   0
フランス     0
スイス 1960   3 バーゼル市
オーストリア     0
スペイン     0
ポルトガル     0
イタリア ?   0
イギリス 1955   9 変動あり
アイルランド 1964   66

フッ素使用の発端
 フッ素による虫歯予防は、原爆製造を推進したマンハッタン計画で労働者や住民にフッ素の害が出た時に、薄めて使えば無害であると宣伝するためにアメリカで始まりました。戦争のどさくさに歯科医が勝手に水道に入れてしまったので、あとで医師が反対しましたが、彼らの理論がガッチリ組み立てられていて、裁判でも勝てないということで、今でも続けられています。
 推進の中心はアメリカで、世界で3億2千5百万の人がフッ素人りの水道水を飲んでいます。ヨーロッパは戦後一時期入れていたのが、10年、20年で全部やめました。残っているのはバーゼル市とアイルランド、イギリスぐらいです。アメリカでも60%の地域で入れているけれど、40%では入れていません。フッ素を飲みたくない人は蒸留水を買ってきて飲んでいます。
 日本ではマッカーサーが水道に入れるよう命令しましたが、日本の科学者が、火山岩から溶け出すフッ素が多いので、水道には入れられないと抵抗しました。アメリカの占領とともに、フッ素を使うことを前提とした予防歯科という学科ができて、その人たちが、フッ素を使えば虫歯が全部なくなると、フッ素化を堆進しています。彼らのマスコミ操作の結果、最近、読売や毎日新開に「日本は虫歯後進国で、フッ素を水道に入れていないのは日本だけ」という記事が載りました。堆進派からの情報をうのみにして、私たちには何も取材していません。それにもきちんと反論を送ってあります。
 推進派はがんやダウン症はできないと言っているけれども、彼らは全身にかかわることは知らないのです。だいたいフッ素でがんになっても、誰も歯科医のところには行かないでしょう。推進派による害がないというデータでも、統計学できちんと対数をとると、害があることが統計学的にきれいに出てきます。私のようにきちんと統計学をやった内料の医師がいないのです。

フッ素による被害
 水道水のフッ素化の効果は、せいぜい1年間に10%ていどです。10本に1本虫歯が減るだけ。それだったらきちんと歯磨きをした方がましです。
 アメリカの子どもは30%、場所によっては80%が斑状歯になっています。日本ではかつて宝塚と西宮で水道水に入れたために、ひどい斑状歯が出ました。これは一生治りません。中国では広州で18年やって、ようやくやめました。ここでは食べ物からもたくさん入っていたのでひどいことになりました。
 フッ素人りの水を飲むと、胃酸と結合して猛毒のフッ化水素ができ、細胞膜を超スピードで通過して血中濃度がアッという間に上がります。それが唾液から出てきて、また胃へ入り、グルグル体内を回って何倍もの毒性を発揮します。それが歯カスに入り込んで、酸をつくる菌を殺すことが虫歯を抑えるらしい。決して歯質を強化するためではありません。歯を磨かないで汚くしている方が、フッ素の予防効果があるということになってしまいます。
 91年、アメリカの公衆衛生院がアドホックレポートを出して、害作用があることを認めました。

がん、ダウン症、骨折etc.
 アメリカで死亡診断書をもとにしたがんの正確な統計があるので、それと水道水のフッ素化の有無を比較したところ、臓器がんを50%増やすことが確定的です。口唇がん以外のほとんどのがんを増やします。フッ素水を飲ませたラットの実験でもがんがでました。するとフッ素によるがんを否定する論文が10ぐらい出てくる。どこからか指令が出ているようですが、それらは全部インチキです。発がん作用としては、他の要因と結びついてがんを増やすプロモーターの作用です。
 フッ素はダウン症の子どもを60%ぐらい増やしています。ダウン症は自然に取り入れるフッ素によっても起こりますが、それは生きるためにやむをえないことで、わざわざ水に入れて増やすことはありません。何十年も水道に入れておきながら、今頃になって、「母性毒性の研究不十分」と言っています。
 また、老人骨折を25%増やします。血中に毒性のフッ素イオンが入ると、大事なカルシウムを使ってフッ化カルシウムにして無毒化します。カルシウムは手足の骨から持ってくるので骨折しやすくなります。さらに、フッ素が脳をやっつける、知能程度を下げるらしいことがわかってきました。アルミと同じです。水道のごみをとるためのアルミニウム製剤とフッ素を結合したら、脳の中に入りやすくなります。出産の減少、寿命が短くなるというデータもあります。子どもの永久歯が出にくくなるので、他の骨の発育にも影響しているのではないかと思われます。

水道水のフッ素化を阻止しよう
フッ素は食べ物からも入ってきます。欧米では0.5mg、日本では1.5mgです。日本では余計にとっているのだから、水道に入れるわけにはいきません。広州では食べ物から3mg以上も摂っていたので子どもがほとんど斑状歯になりました。魚の骨や皮、お茶の葉などに多く含まれています。
 水道に入れると、それを使った食べ物からも入るので2〜2.5倍も体内に入ってきます。日本では水に入れなくても、0.3ppmぐらいすでに含まれています。水道の水質基準は0.8ppmで、高過ぎます。宝塚などでは0.6ppmでも斑状歯が出ました。
 フッ素は安全ということで、歯磨き剤にも入れ、フッ素洗浄、錠剤などにどんどん入れています。フッ素洗口は9,000ppmにもなっ て、歯が溶けます。これはWEO(世界保健機関)では原則禁止ですが、日本ではそれを無視してやっています。
 WHOはアメリカの傀儡(かいらい)で、フッ素化をおしつけようとして、反対するのは無学なバカな連中だと報告書に書きましたが、どちらがパカだったのか。ローマは水道の鉛管の鉛中毒で滅びましたが、アメリカはフッ素の水道で滅びるのではないでしょうか。アメリカが21世紀に批判されるのは、原爆、枯葉剤、フッ素の3つだと思います。
 推進派が使っている日本の平均虫歯本数は3.1というデータは古いもので、今はもっと減っています。外国では軽度のものは換算していないのを適用すると、さらに30%減ります。そうすると、日本は世界的に少ない部類に入ります。日本の虫歯が多いという根拠は統計上のインチキなデータによるものです。
 予防歯科の人たちは、フッ素がだめなら行き場がなくなるので、いろいろなデータを無視して、水道水のフッ素化を進めようとしています。
 学校の水道は、教育委員会の判断だけで入れられる恐れがあるので危険です。今の自由公政権では水道水フッ素化が通ってしまう恐れがあります。そんな動きが出てきたら、全国的な運動を起こしますので、その時はよろしくお願いします。
 虫歯予防は、物を食べた時、口をすすぐか歯を磨くことと、正しい食生活をする。それだけで十分減らせます。ただ1、2本以下に減らすのはかなりむずかしいようです。
 「フッ素は避けがたい迷惑」で、少ないほどいいというのが結論です。

インフルエンザ・ワクチンはそもそも効かない
 インフルエンザ・ワクチンは他のワクチンと違って、基本的にまったく効きません。脳障害、脊髄障害というような害作用があるだけです。今大阪大学の若手研究者とともに、文献を調べ直して、まったく効かないという結論の本を出す予定です。運動によって義務接種はやめさせましたが、体制科学なので簡単には抑らえれません。
 アメリカでは、統計に子どもの副作用が出ていませんが、アメリカの医者に開いたところ、子どもの予防接種のガイドラインにインフルエンザが入っていません。危なくてできないというのです。60歳以上の老人には、反応が鈍いため副作用が出にくいのでやっています。

 アメリカで、インフルエンザの患者にアスピリンを与えたらライ症候群という脳障害を起こすことが7、8年前にわかって、今はインフルエンザで脳炎を起こす人はいなくなりました。日本では1,000人くらい死んでいますけれども、その情報を知らされていないからです。解熱剤もよくありません。
 70歳以上の人はスペイン風邪の免疫記憶があるように、人間はあとになっても最初にかかった型の免疫しかつくらないので、いくら新しいワクチンを接種しても効かないのです。これを私は「初恋の想い出現象」と言っています。94年、WHOのヨーロッパのワクチン研究センターが効果を調べた調査でも、ほとんど効いていません。また、インフルエンザの死亡率は直線的に低下していて、サルフア剤、抗生物質、ワクチン、どれも死亡率低下には関係がありません。住環境や栄着がよくなったのが低下の要因です。
 インフルエンザにはまずかからないようにする、かかったら徹底的に暖かくして治す。国にどうこうしろというより、自分で対処すればよいのです。(まとめ花岡)

化学物質問題市民研究会
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