ピコ通信/第123号
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国民生活センター
ベッドから発生する化学物質調査結果 10月23日、国民生活センターは「木製ベッドから発生する化学物質等−ホルムアルデヒドを中心に−」を発表しました。 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられる家具から発生するにおい、化学物質やシックハウスに関する相談中、ベッド類に関するものが多数あり、そのうち危害情報が半数以上を占めていることなどから、本調査を実施したものです。 家具から発生する化学物質の実態が分かる調査結果ですので、概要を紹介します。 詳細は国民生活センターの以下URLへ。 http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20081023_1.html ■目的 シックハウス症候群の原因と考えられているホルムアルデヒド等の化学物質の発生源のひとつに家具がある。 PIO-NETには、家具から発生するにおい、化学物質やシックハウスに関する相談が2003年度以降2008年8月末日までの登録分で1,045件寄せられている。その中でも、ベッド類に関するものが214件にのぼり、「目がチカチカして気分が悪くなった」「塗料のにおいがきつく頭痛や鼻づまりなどの症状が出た」などの危害情報が113件と半数以上を占めている。その他、2008年1月11日には、組立て式ベッドの使用によって、アレルギー性の気道炎及び蕁麻疹等を引き起こしたという事例が厚生労働省より報告されている。 そこで、比較的安価な(50,000円以下)組立て式木製ベッド(引き出し付、マットレスなし)7銘柄について、室内で使用したときに空気中のホルムアルデヒド等の化学物質の濃度が高くないのか、また、表示に問題がないのかなどを調べるとともに、ベッドの品質等について製造・販売者等にアンケートを実施し、消費者に情報提供することとした。 ■テスト実施期間 検体購入:2008年3月〜7月 テスト期間:2008年5月〜9月 ■テスト対象銘柄 厚労省の事例は、通信販売の比較的安価なシングルサイズの木製ベッドであった(引き出し付、マットレスなし)。 そこで、家具を扱っている大手通信販売サイトを調査し、その中から比較的安価な(50,000円以下)組立て式木製ベッド(引き出し付、マットレスなし)5 銘柄を選定した(次頁表 参照)。 さらに、全日本ベッド工業会のフレーム環境基準(注)のマークがついたもの1銘柄と、二段ベッド1銘柄も併せて、合計7銘柄をテスト対象とした。 注:木質材・接着剤・塗料等に関する、遊離ホルムアルデヒドの放散量の規制をしている。 ■PIO−NETより ベッド類の危害内容、危害程度 発生するにおいや化学物質に関するベッド類での危害内容は、「頭が痛い」「体調がすぐれない」「吐き気がする」の他、「せきが出る」「息苦しい」などの『呼吸器障害』も多く、これはシックハウス症候群の一般的な症状と一致する。 また、危害程度は、医者にかかっていない場合が最も多いが、治療期間が1 ヶ月以上の事例も2003 年度以降2008 年8 月末日までの登録分で11 件ある。
主な事例 【事例1】 子供にアレルギーがあるため、インターネットでホルムアルデヒド等の使用が少ない木製二段ベッドを見つけ、業者に電話したら「エコ塗装。大人が4人乗っても大丈夫」と説明された。5 日前に届き二階で開封したが、強い刺激臭があり窓を開けても消えない。頭痛がして二階に上がれないし、夜になると子供が喘息のような深い咳をするようになり、使えないので業者に電話したが「木のにおいだろう」と言われた。 【事例2】 1年前に買った子供用ベッドのにおいがひどく、目がチカチカし痒いので、耳鼻科と眼科に通院している。製造元に電話するとにおいのひどいスノコの部分を交換してくれると言ったが、自分としてはベッドごと取り替えてほしい。 【事例3】 一人暮らしの息子が通販でベッドを購入。配達が引越当日だったので、転居先に自分も手伝いに行っていて、開梱、組立てを手伝ったが、頭痛吐き気がして、部屋に置いておけない程であったので、アパートの共用部分である廊下に置いてある。すぐに業者に電話したら同じ苦情がその日に3 件あり返品を受けるので翌日引取に来ると言われた。約束の日に業者が来なかったので息子は返品できないと諦めているが、処分してしまった方がいいか。 【事例4】 カタログを見てシングルベッドを注文。2 週間程度このベッドに寝ていたが、咳き込みが続き、現在は寝室に入っただけでにおいがきつく、気分が悪くなるため別室で寝ており、通院している。販店は、新しいベッドと交換するというが、その品のにおいを購入前に確認はできないと言う。それではまた同様のことが起こりうるので困る。 【事例5】 14 日前に夫用のベッドが届いた。その日から夫が使用しているが、咳がひどくなり夫は病院に3 回行った。ベッドは1階の居間に近い部屋に置いているので、私にも鼻水がでる等の症状が出て病院に行った。ベッドは無臭だが、ベッドが来てから体調が夫婦共に悪く、ベッドを撤去してからは症状が夫婦共に和らいだ。
1.ベッドから発生する化学物質 設置1日後に、7銘柄中3銘柄で室内濃度指針値を上回るホルムアルデヒド濃度となり、うち1銘柄は指針値の7倍以上であり、2銘柄は15日経っても指針値を上回っていた。なお、これらの銘柄に使用されている材料は、ベッドのJIS規格には適合しないほどホルムアルデヒドの放散量が多いものであった。 設置6時間後、1日後では、7銘柄中1銘柄で室内濃度指針値を上回るアセトアルデヒド濃度であったが、3日後には指針値以下となった。 TVOC(総揮発性有機化合物)の暫定目標値を超えるものが3日後でも1銘柄あった。トルエンが全ての銘柄から検出されたが、いずれも指針値を超えることはなかった。また、キシレン、エチルベンゼンが検出された銘柄もあったが、いずれも指針値を大きく下回った。 換気により、一時的にはホルムアルデヒド濃度を減少させることはできるが、換気をやめると1時間後にはホルムアルデヒド濃度は換気前の70%にまで戻った。 2.ベッドから発生するにおい においの強い銘柄ほど、不快に感じる傾向にあった。また、長時間在室していられるかについては、2銘柄で、半数以上の人が「できれば在室していたくない」もしくは「在室していたくない」と評価した。 においの強いものはTVOCの室内濃度も高い傾向にあった。一方、ホルムアルデヒドの室内濃度とにおいには相関がなく、ホルムアルデヒドの濃度が高くてもにおいでは分からない。 3.表示 化学物質に関する注意表示はベッド本体の取扱説明書にしかないため、購入してからでないと分からない。 ■調査結果から分かること
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