![]() ピコ通信/第98号
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CS患者への対応求めて懇談会
公明党アレルギー対策PT、厚労省、文科省と 9月29日、公明党アレルギー疾病対策プロジェクトチームとの懇談会が開催され、当会は呼びかけ団体として参加しました。 昨年12月に4省(厚労、文科、環境、国交省)へ出した化学物質による健康被害者への対策の要望(ピコ通信88号参照)に関して、厚労省、文科省との交渉の場を設けてほしいと我々要望団体側が要請し、それに応えて開催されました。 公明党からは衆・参議院議員7名、患者側からは4団体・個人合わせて7名、厚労省からは健康局、医薬食品局、医政局等10人、文科省からはスポーツ・青少年局学校健康教育課4人が出席しました。 懇談会という形を取ったために、患者側からの陳情の性格が強い会となり、省との十分な交渉ができなかったのは残念でしたが、いくつか成果もありました。 文科省の回答 要望1.全国実態調査を実施してほしい 文科省:サンプリング調査に今年度中に着手したい。場所は首都圏を予定している。 要望2.国としてシックスクール問題対応マニュアルを作成してほしい 文科省:行政・学校向けの対応マニュアル作成を進めている。日本学校保健会に委託している。今年度中に完成させたい。 要望3.シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議の進捗状況は? 文科省:現在休眠状態。厚労省による診断基準作成待ちの状態である。サンプル調査やマニュアル作成に関して、必要があれば開催する予定。 要望4.学校長・副校長・教職員等、学校関係者への研修体制を確立してほしい 文科省:研修会、連絡会議等で機会あるごとに衛生基準やCSへの対応について話をしている。今後も続けていく。 要望5.CS児童・生徒のために、副担任や訪問教育に必要となる教員の加配について、財政支援を行ってほしい。 文科省:予算削減の中、加配は難しい。 要望6.幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい 文科省:学校環境衛生の基準は幼稚園も対象となっている。 要望7.農水省通知「住宅地等における農薬使用について」の周知・徹底をはかってほしい 文科省:要望4への回答と同様 厚労省の回答 要望1.全国規模の疫学調査を実施し、発症者の実態を把握してほしい 厚労省:15年度〜17年度に研究を進め、一区切りした。18年度から2〜3年かけて新しい枠組みで進める。 要望2.化学物質過敏症を病気として正式に認めてほしい 厚労省:疾病の概念は学界が決めるもの。医学界においてコンセンサスがまだ得られていない状況にある。 要望3.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい 厚労省:難しい。 要望4.保育園、幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい 厚労省:幼稚園は文科省、保育園は雇用均等児童家庭局保育課が担当。 要望5.化学物質による被害者救済のための対策委員会を早急に発足させてほしい 厚労省:既存の連絡会議の枠組みの中で対応していく。 要望6.予防原則に立った化学物質の使用規制に関する総合的な法律を制定してほしい 厚労省:既存の法律で対応していく。 ■文科省が作成中の対応マニュアルに要望を提出することに 厚労省回答には、まったく前進がありませんでしたが、その中で、CSによる労災認定がされても、病名がないからと生活保護が得られないというケースが発生している(アトピッ子地球の子ネットワーク)という指摘に対して、労災と生活保護とをリンクするよう改善するとの回答が得られました。 また、コーディネーターの上田勇議員が「今ある民間の避難施設を研究施設として扱い、助成できないか」と提案し、検討するとの回答が得られました。 一方、文科省については、対策について前進が見られました。 「現在進められているという対応マニュアル作りに、盛り込んでほしい内容を患者側から要望したい」と当会が発言したところ、文科省は承諾しました。そこで、遅くとも11月中旬には要望内容をまとめて提案することにし、現在準備を進めています。素案を提示してそれに対する意見を募集して、一つにまとめて出したいと考えています。 文科省の対応マニュアル内容に関する要望提出に参加希望の方は、事務局までメール、FAX等で連絡してください。(安間節子) |
シックスクール対応マニュアルの作成等求め
東京都教育庁と交渉 9月20日、東京都教育庁において化学物質過敏症の児童・生徒をもつ東京都内の保護者有志5名と当会は話し合いを持ちました。 これは、昨年12月の要望書提出、3月の交渉、7月の再要望書と事例集提出に続く動きです。 昨年12月1日、化学物質過敏症の児童・生徒をもつ東京都内の保護者有志8名と当会は、東京都教育委員会に「化学物質過敏症(CS)の児童・生徒の教育に関する要望書」を提出しました(ピコ通信88号)。そして、泉谷つよし都議会議員の協力のもと、3月16日に東京都教育庁学務部学校健康推進課と交渉を持ち、7月12日、「化学物質過敏症の児童・生徒の教育に関する要望書−その2」を事例集とともに提出しました。 要望書−その2 内容 1.「都立学校における室内化学物質対策の手引き」には、既に発症した児童・生徒への対応についての記述がありません。「手引き」中に追加するか、別に対応マニュアルを作成して下さい。 埼玉県の「県立学校のシックスクール問題対応マニュアル」の中の、「化学物質に過敏に反応する児童生徒等への配慮」「シックスクール問題に関するQ&A」のような、詳しい対応マニュアルを作成して下さい。 今回提出する事例データを見ていただければ分かるように、自治体、学校、管理者、担当教諭・職員によって対応がまったく異なります。CS児童・生徒と保護者は毎年毎年、「理解していただける管理者・先生に当たる"クジ"を引くようなもの」という経験を繰り返し、右往左往しているのが現状です。学校長・副校長・教諭・職員が変わる度に、また一から説明して適切な対応を何度もお願いしなければならないのが現状なのです。 どうか、このような負担が減って、どの児童・生徒もどこの学校でも同じように適切な対応を受けられるよう、CS児童・生徒への対応の基本となるマニュアルを作成してください。 2.上記対応マニュアル作成に際してはCS児童・生徒の保護者の意見を聞いて下さい。 3.教職員へのCSについての研修を、定期的に行って周知・徹底させてください。 対応マニュアルができたとしても、それを実際に使うのは現場の管理者、教諭、職員です。きちんとした対応をするよう、毎年研修をする体制をつくってください。 マニュアルが出来るまでの間も、学校の管理者、教諭、養護教諭、職員に化学物質対策の研修・啓発をお願い致します。CSの症状には個人差が大きく、反応するものも症状も様々ですので、個々にきめ細かい配慮が必要です。そのため、関係者の理解が不可欠です。 ■ようやくマニュアル作成表明 今回の話し合いで、都側は、 ・提出された事例集について、対応状況について学校側(都立)の聞き取りをしたい。 ・年明けを目途に、基本的な知識をつけるための学校向けリーフレットのようなものを作りたいと考えている。年度内には完成させたい。いきなり埼玉県レベルのものを作るのは難しいので、積み上げていきたい。 次回話し合いは年明けにすることになりました。その前に、こちら側から対応マニュアルの提案をしたいと考えています。 (安間節子) お知らせ: 「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究-2」は、次号に掲載します。 |