ピコ通信/第98号
発行日2006年10月23日
発行化学物質問題市民研究会
e-mailsyasuma@tc4.so-net.ne.jp
URLhttp://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

目次

  1. CS患者への対応求めて懇談会/公明党アレルギー対策PT、厚労省、文科省と
  2. シックスクール対応マニュアルの作成等求め東京都教育庁と交渉
  3. 愛知県と名古屋市 室内殺虫剤散布見直しへ/子どもの未来と環境を守る会名古屋
  4. EUとアメリカのリスクと規制に対する姿勢の違い
    日本の政策はどうか? NGOsはどうするか?/安間 武(化学物質問題市民研究会)
  5. 経産省化学物質政策基本問題小委員会第5回のトピックスと当会の意見
  6. 海外情報/マラリア対策のためのDDT使用は公衆の健康を脅かす
  7. 化学物質問題の動き(06.09.25〜06.10.22)
  8. お知らせ・編集後記


CS患者への対応求めて懇談会
公明党アレルギー対策PT、厚労省、文科省と

 9月29日、公明党アレルギー疾病対策プロジェクトチームとの懇談会が開催され、当会は呼びかけ団体として参加しました。
 昨年12月に4省(厚労、文科、環境、国交省)へ出した化学物質による健康被害者への対策の要望(ピコ通信88号参照)に関して、厚労省、文科省との交渉の場を設けてほしいと我々要望団体側が要請し、それに応えて開催されました。 公明党からは衆・参議院議員7名、患者側からは4団体・個人合わせて7名、厚労省からは健康局、医薬食品局、医政局等10人、文科省からはスポーツ・青少年局学校健康教育課4人が出席しました。
 懇談会という形を取ったために、患者側からの陳情の性格が強い会となり、省との十分な交渉ができなかったのは残念でしたが、いくつか成果もありました。

文科省の回答

要望1.全国実態調査を実施してほしい
文科省:サンプリング調査に今年度中に着手したい。場所は首都圏を予定している。

要望2.国としてシックスクール問題対応マニュアルを作成してほしい
文科省:行政・学校向けの対応マニュアル作成を進めている。日本学校保健会に委託している。今年度中に完成させたい。

要望3.シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議の進捗状況は?
文科省:現在休眠状態。厚労省による診断基準作成待ちの状態である。サンプル調査やマニュアル作成に関して、必要があれば開催する予定。

要望4.学校長・副校長・教職員等、学校関係者への研修体制を確立してほしい
文科省:研修会、連絡会議等で機会あるごとに衛生基準やCSへの対応について話をしている。今後も続けていく。

要望5.CS児童・生徒のために、副担任や訪問教育に必要となる教員の加配について、財政支援を行ってほしい。
文科省:予算削減の中、加配は難しい。

要望6.幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい
文科省:学校環境衛生の基準は幼稚園も対象となっている。

要望7.農水省通知「住宅地等における農薬使用について」の周知・徹底をはかってほしい
文科省:要望4への回答と同様

厚労省の回答

要望1.全国規模の疫学調査を実施し、発症者の実態を把握してほしい
厚労省:15年度〜17年度に研究を進め、一区切りした。18年度から2〜3年かけて新しい枠組みで進める。

要望2.化学物質過敏症を病気として正式に認めてほしい
厚労省:疾病の概念は学界が決めるもの。医学界においてコンセンサスがまだ得られていない状況にある。

要望3.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい
厚労省:難しい。

要望4.保育園、幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい
厚労省:幼稚園は文科省、保育園は雇用均等児童家庭局保育課が担当。

要望5.化学物質による被害者救済のための対策委員会を早急に発足させてほしい
厚労省:既存の連絡会議の枠組みの中で対応していく。

要望6.予防原則に立った化学物質の使用規制に関する総合的な法律を制定してほしい
厚労省:既存の法律で対応していく。

■文科省が作成中の対応マニュアルに要望を提出することに

 厚労省回答には、まったく前進がありませんでしたが、その中で、CSによる労災認定がされても、病名がないからと生活保護が得られないというケースが発生している(アトピッ子地球の子ネットワーク)という指摘に対して、労災と生活保護とをリンクするよう改善するとの回答が得られました。

 また、コーディネーターの上田勇議員が「今ある民間の避難施設を研究施設として扱い、助成できないか」と提案し、検討するとの回答が得られました。

 一方、文科省については、対策について前進が見られました。
 「現在進められているという対応マニュアル作りに、盛り込んでほしい内容を患者側から要望したい」と当会が発言したところ、文科省は承諾しました。そこで、遅くとも11月中旬には要望内容をまとめて提案することにし、現在準備を進めています。素案を提示してそれに対する意見を募集して、一つにまとめて出したいと考えています。
 文科省の対応マニュアル内容に関する要望提出に参加希望の方は、事務局までメール、FAX等で連絡してください。(安間節子)


シックスクール対応マニュアルの作成等求め
東京都教育庁と交渉

 9月20日、東京都教育庁において化学物質過敏症の児童・生徒をもつ東京都内の保護者有志5名と当会は話し合いを持ちました。
 これは、昨年12月の要望書提出、3月の交渉、7月の再要望書と事例集提出に続く動きです。

 昨年12月1日、化学物質過敏症の児童・生徒をもつ東京都内の保護者有志8名と当会は、東京都教育委員会に「化学物質過敏症(CS)の児童・生徒の教育に関する要望書」を提出しました(ピコ通信88号)。そして、泉谷つよし都議会議員の協力のもと、3月16日に東京都教育庁学務部学校健康推進課と交渉を持ち、7月12日、「化学物質過敏症の児童・生徒の教育に関する要望書−その2」を事例集とともに提出しました。

要望書−その2 内容

1.「都立学校における室内化学物質対策の手引き」には、既に発症した児童・生徒への対応についての記述がありません。「手引き」中に追加するか、別に対応マニュアルを作成して下さい。

 埼玉県の「県立学校のシックスクール問題対応マニュアル」の中の、「化学物質に過敏に反応する児童生徒等への配慮」「シックスクール問題に関するQ&A」のような、詳しい対応マニュアルを作成して下さい。
 今回提出する事例データを見ていただければ分かるように、自治体、学校、管理者、担当教諭・職員によって対応がまったく異なります。CS児童・生徒と保護者は毎年毎年、「理解していただける管理者・先生に当たる"クジ"を引くようなもの」という経験を繰り返し、右往左往しているのが現状です。学校長・副校長・教諭・職員が変わる度に、また一から説明して適切な対応を何度もお願いしなければならないのが現状なのです。
 どうか、このような負担が減って、どの児童・生徒もどこの学校でも同じように適切な対応を受けられるよう、CS児童・生徒への対応の基本となるマニュアルを作成してください。

2.上記対応マニュアル作成に際してはCS児童・生徒の保護者の意見を聞いて下さい。

3.教職員へのCSについての研修を、定期的に行って周知・徹底させてください。

 対応マニュアルができたとしても、それを実際に使うのは現場の管理者、教諭、職員です。きちんとした対応をするよう、毎年研修をする体制をつくってください。
 マニュアルが出来るまでの間も、学校の管理者、教諭、養護教諭、職員に化学物質対策の研修・啓発をお願い致します。CSの症状には個人差が大きく、反応するものも症状も様々ですので、個々にきめ細かい配慮が必要です。そのため、関係者の理解が不可欠です。

■ようやくマニュアル作成表明

 今回の話し合いで、都側は、
・提出された事例集について、対応状況について学校側(都立)の聞き取りをしたい。
・年明けを目途に、基本的な知識をつけるための学校向けリーフレットのようなものを作りたいと考えている。年度内には完成させたい。いきなり埼玉県レベルのものを作るのは難しいので、積み上げていきたい。
 次回話し合いは年明けにすることになりました。その前に、こちら側から対応マニュアルの提案をしたいと考えています。
(安間節子)

お知らせ
 「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究-2」は、次号に掲載します。


愛知県と名古屋市 室内殺虫剤散布見直しへ
子どもの未来と環境を守る会名古屋

■公共施設における農薬・薬剤散布

 昨年春から、愛知県と名古屋市へ、公共施設の農薬・薬剤散布について見直しを図るよう働きかけを始めました。きっかけとなったのは、東山動物園の園内の広範囲にわたる樹木への農薬散布と、名古屋市科学館のほぼ全館における室内殺虫剤散布でした。いずれも多くの子どもたちが訪れる施設です。
 その後も、子どもの行く予定となった様々な施設で同様の農薬や殺虫剤の散布が行われていることを知り、これは、決して農薬に過敏なわが子だけの問題ではない、多くの人が訪れる公共の施設で、市民や利用者に全く知らされることなく、農薬や薬剤の散布が、害虫等の発生の有無にかかわらず、安易に行われていること自体が非常に問題であると強く感じました。害虫の発生が全くなかった施設でも全館に散布しているところがありました。
 学校、幼稚園、保育園でも樹木消毒のための農薬散布が、保護者に知らされることなく行われています。名古屋市の小中学校、保育園の半数近くで、幼稚園は8割近くで樹木消毒を実施していました。また、害虫駆除のための室内殺虫剤散布を行っているところもあります。名古屋市の教育委員会は、業者に委託して、害虫の発生状況に関わらず、全小学校の給食室、配膳室等にピレスロイド系と有機リン系の殺虫剤を散布していました。

■室内殺虫剤の問題点

 屋外、屋内問わず、農薬・薬剤散布には様々な問題があり、できる限り物理的防除に取り組むべきであること、また、やむをえず散布をする場合に健康被害防止を徹底すべきであることは言うまでもありませんが、屋内での薬剤散布は、屋外とは異なり、さらに多くの問題を含んでいます。
 まず、屋内の衛生害虫駆除に使用される薬剤は、農薬ではなく、医薬品、医薬部外品となっていますが、その成分はほぼ農薬と同様であり、屋外の場合、例えば有効成分濃度が50%のものを数百倍から数千倍に希釈して散布するのに対し、屋内では、有効成分の濃度は数%から20%程度であっても、他にも溶剤や界面活性剤等の有害成分を含む薬剤を数倍から数十倍に希釈して散布しており、散布薬剤の濃度は屋外より高濃度となっています。
 また、屋内では、屋外と異なり、散布後の薬剤が日光や雨にさらされないため、分解されにくく、1ヶ月から2ヶ月以上と長期間にわたって残留します。1年後も室内塵の中に残留していたという報告もあり、定期散布を行っている施設では、換気の条件等によっては散布薬剤による室内空気汚染が常態化している可能性もあります。
 残効性を狙った処理(残留噴霧、塗布)の場合、薬剤が一定期間効果を発揮するように施工されますし、室内を締め切って処理する空間噴霧の場合、薬剤が霧状になって空中に漂った後、家具の裏や隙間などに落ちていくため、施工後すべてをふき取ることは難しく、いずれにせよ、残留薬剤が徐々に気化するなどして室内の空気を汚染します。

■室内殺虫剤散布も利用者への周知徹底を

 屋外の農薬散布については、平成15年に農水省が通知「住宅地等における農薬使用について」を出し、農薬散布にあたっては、近隣や学校への周知を行うよう指導しています。全体への周知は進んでいませんが、自治体によっては事前の周知を行うように変わってきているところもあります。
 屋内衛生害虫駆除のための殺虫剤散布の場合、実は、昭和58年の厚生省環境衛生局の「建築物における衛生的環境の維持管理について」という通知(環企第28号)に、駆除の日時や方法等を利用者に周知徹底するように示されています。しかし、ほとんどの施設では、職員への周知は行われていても、不特定多数の利用者への薬剤散布情報の周知が行われていません。平成15年の建築物衛生法の改正の際も、利用者への周知徹底について施行規則や基準等に明示されませんでした。
 休館日に散布するから(周知の必要がない)という施設が多く、散布翌日に何も知らずに多くの人が来場し、仮に頭痛や吐き気、全身倦怠感、あるいはアレルギーの悪化など、健康影響を受けた人がいたとしても、散布事実を知らされなければ、薬剤の影響の可能性を疑ってみることすらできません。
 公共の施設には、遠方からの来訪者が多い施設もあり、どう周知するのかも問題です。ホームページでの周知のほか、屋内の散布薬剤が長期にわたって残留することも考慮すると、一定期間の事後の周知(看板やチラシの掲示)も実施すべきでしょう。

■市議会での議員の質問と要望書の提出

 科学館をはじめ名古屋市の施設の殺虫剤散布の件で、名古屋市の環境薬務課に問い合わせ、見直しを要望してきましたが、いずれも、建築物衛生法の改正の内容等を指摘すると、ほとんどすべての施設が見直しを検討し、少なくとも、一般客の入室する部屋や事務室等については、散布をやめる、毎月実施していた定期散布はやめるなど、散布を減らす方向で対応しています。また、ベイト剤(食毒剤)を導入、散布は機械室等ごく一部に限るとし、散布がかなり減少した施設もあります。
 しかし、害虫駆除を規定している法律の数も多く、様々な施設で散布が行われているため、各施設に個別に働きかけていくことなど不可能であり、公共施設における農薬・殺虫剤の散布の見直しは、自治体が率先して実践すべきことです。
 この問題を議員に訴え、本年3月6日の市議会で質問していただきました。市施設における薬剤散布の見直しに関する質問に対して、健康福祉局長が、今後、特定建築物はもちろん、それ以外の市施設についても、文書や指導、ホームページ等で指導を図っていくと回答しました。また、教育長からは、小学校の給食室等での殺虫剤の一斉散布について、今後は、固形薬剤を置くなどして薬剤散布を減らしていくと回答がありました。
 議員の質問は時間等の制約もあり、屋内の殺虫剤散布に関するものに限られたため、屋外の農薬散布についても同様の問題があることから、本年3月28日、複数の団体・個人が要望団体となり、議員の立会いの下、名古屋市と愛知県へ、公共施設の農薬・薬剤散布の見直しに関する要望書を提出しました。

■朝日新聞の記事
 「殺虫剤散布 進む見直し:愛知県・名古屋市の公共施設」


 以前東山動物園の農薬散布について取材を受けた記者の方にお願いし、見直しを始めた施設に対する取材をしていただき、要望書提出に合わせて、朝日新聞地方版の3月29日付夕刊に記事が掲載されました。
 記事が掲載されてから、デパートやホールを有する民間の施設等に見直しを要望すると、すぐに検討するとの回答をいただくことができるようになりました。
 その後、名古屋市は4月に、愛知県は8月に、それぞれ市有施設、県有施設を所管するすべての部局に対して、屋内の害虫駆除に関して、法改正の内容(調査の実施と適切な防除)と、利用者への周知徹底について通知を発出しました。
 ただし、通知を出しただけでは変わらない可能性もあります。業者への指導の徹底、管理者への周知、意識改革等、どのように取り組むのか、本当に見直しが進むのか、県や市に、施策としての全庁的な取り組みを求めて、今後も働きかけを継続していきます。



経産省化学物質政策基本問題小委員会
第5回のトピックスと当会の意見


 2006年9月27日に開催された第5回小委員会を傍聴したので、事務局の説明及び討論の概要を紹介します。第1回と第2回の内容については94号(06年6月発行)、第3回については95号(06年7月発行)、第4回については97号(06年9月発行)をご覧ください。

■第5回の議題
(1)前回の議論を踏まえた論点整理
(2)リスク管理等について
(3)その他

■プレゼンテーション
1.リスク評価における暴露評価の手順と検証(独立行政法人産業技術総合研究所)

◆暴露情報レベルに応じたリスク評価手順
(1) 実測値データ多い:推定値と実測値の比較による検証
(2) 実測値データ少ない:排出量からモデルで推定
(3) 排出量データ少ない:物質フローから排出量を推定
(4) 製造・使用量データ少ない:同上

◆推定値と実測値の比較による検証
ベンゼン、フタル酸エステル(DEHP)、鉛を例に、基本的には合致という説明

◆当研究会の意見
・リスク評価において暴露データがないために推定に基づいている部分が多く、論理は科学的でも推定データに大きく依存したリスク評価は必ずしも科学的とはいえず、限界があると考える。
・推定値を実測値で検証しているとしているが、十分な実測値のデータ収集ができるものは限られているのではないか?

◆質疑
Q:人数、時間、将来どの位の物質数を評価できるか?
A:1物質2億円くらい(ハザード試験を含む)で、1物質2〜3年かかる。
産総研はスタッフ50〜60人でこれまでに30物質評価したが、今後は5年で2000物質(ハザード試験は含まない)できる。

◆当研究会の意見
・1物質2億円の根拠は? 30物質の平均値か?高いことを強調し過ぎていないか? ・今まで、30物質しか評価できなかったものを5年で2000物質評価できるということは、評価手法が今までとは異なり、簡便な手法を想定しているのか?
・簡便な手法を採用する場合には、その手法を開示し、人の健康と環境を守ることができることを示すべきである。

Q:暴露データが少ない場合にはどうしているのか?
A:データがあり暴露経路が類似の物質から推定する。消費及び廃棄の段階についてはこれから調査していく。

2.企業の化学物質のリスク管理について
(住友化学株式会社)
◆化学物質のリスク評価
リスク= ハザード×曝露量
(1)ハザードの把握:毒性試験(哺乳動物・環境生物) (2)曝露量の把握:環境挙動試験・モニタリング・シミュレーション

◆リスク管理の課題と対策(省略)

◆質疑
Q:複合汚染についてはどのように評価しているか?
A:一部で行っているが容易ではない。これからである。相加的だが、相乗的という意見もある。

◆当研究会の意見
現実の世界では、単一の物質による暴露ではなく、多くの物質による複合暴露である。このような暴露について評価できない現状では、少なくともハザードの高い物質についてはリスクベースではなく、ハザードベースで規制すべきである。

■第5回委員会における論点(案)について
1.テーマ:リスク管理等
2.検討すべき論点(事務局案)
(1)バランスのとれたリスク管理のあり方とはどうあるべきか
  自主管理によるリスク管理と法的枠組による管理
(2)サプライチェーンの各段階でリスク管理を進めるに当たりどのような仕組みが必要か
(3)事業者によるリスク評価・管理を促進するためにサプライチェーン上でどのような情報をどのような方法で伝達すべきか

◆委員の発言
・自主管理と法規制は国家社会のポリシーによるもので対立的ではない。
・社会的に発展段階では規制、現在のような高度社会では自主管理。
・(化審法では製造・輸入数量の国内総量が10トン以下の物質については人や動植物への毒性の有無が明らかでなくても製造・輸入を可能とする特例措置があるが、このような)10トン以下の物質でエームズ試験により非常に強い変異原性が認められる物質がある。
・ハザード情報が重要である。日本における現時点でのGHSの表示対象は100物質くらいで、欧米と比べると対象物質が限定的である。

◆質疑
Q:Japanチャレンジプログラムの既存物質データ収集は1000トン以上の物質が対象であるが、それ以下の物質についてどの程度実施できるのか?
A:(経済産業省)量の多いものから実施しているが、(1000トン以下のものについては)どこまでできるのか産業界と相談しながら進めている。

◆当研究会の意見
・1000トン以下の物質について、人の健康と環境の保護を第一とせず、産業界の都合に合わせてデータ収集するというのはおかしい。
・化審法での新規物質の審査基準である10トン以上を既存物質にも適用することを前提とすべきである。

(文責:安間 武)


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る