ピコ通信/第88号
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12月5日 4省に対して化学物質過敏症対策の要望書を提出
2005年12月5日、化学物質問題市民研究会は化学物質過敏症支援センターほか36団体とともに、厚生労働省、文部科学省、環境省、国土交通省に対して化学物質過敏症対策に関する要望書を提出しました。提出にあたっては上田いさむ衆議院議員に協力をお願いし、2月頃、4省との話し合いを持つ予定です。 今号では要望書の概要を紹介し、今後の動きについては順次報告します。 (要望書は当会のウェブサイトに掲載しています:4省への要望書と要望団体リスト) ■厚生労働省への要望書(概要) 要望1.全国規模の疫学調査を実施し、発症者の実態を把握してほしい 要望2.化学物質過敏症を病気として正式に認めてほしい ・医学界が認めていないことをその理由にしているが、その根拠は何か。どういう条件を満たせば、医学界が認めたと見なすのか。 ・化学物質過敏症の科学的究明が十分でないとしても、何らかの救済策を講じてほしい。 要望3.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい 被害者は化学物質の被害から逃れて住む場所がなく、路頭に迷っている状況である。キャンプ生活を余儀なくされている人もいる。 要望4.保育園、幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい 学校においてはシックスクール対策が徐々に進んできているが、保育園・幼稚園等の社会福祉施設においては、ほとんど取られていないのが現状である。 要望5.化学物質による被害者救済のための対策委員会を早急に発足させてほしい 要望6.予防原則に立った化学物質の使用規制に関する総合的な法律を制定してほしい ■文部科学省への要望書(概要) 要望1.化学物質過敏症(以下CS)の児童・生徒の全国実態調査を実施してほしい 要望2.国としてシックスクール問題対応マニュアルを作成してほしい 一部自治体においては、シックスクール問題対応マニュアルが作られてきている。国においても作成しているとのことだが、その進捗状況を示してほしい。 要望3.シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議の進捗状況について示してほしい 要望4.学校長・副校長・教職員等、学校関係者への研修体制を確立してほしい 要望5.CS児童・生徒のために、副担任を置いたり、訪問教育を行う場合に必要となる教員の加配について、当該教育委員会へ財政支援を行ってほしい。また、通信制・インターネットを使った授業なども実施してほしい。 要望6.幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい 要望7.農水省通知「住宅地等における農薬使用について」(平成15年9月16日付け 15農安第1714号消費・安全局長通知)の周知・徹底をはかってほしい 学校敷地内において、この通知が守られていない実態があり、CS児童・生徒は苦しめられている。周知・徹底のための方策を示してほしい。 ■環境省への要望書(概要) 要望1.化学物質過敏症を疾病として認めること また、化学物質過敏症に関する研究の昨年2月の報告書発表後の進捗状況と、今後の見通しについて示されたい。 要望2.公園や街路樹、庭等に撒かれる農薬等の薬剤による被害防止対策を徹底すること公園や街路樹、庭等に撒かれる農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤等)によって、化学物質過敏症(CS)を発症する者が後を絶たない。また、すでに発症した者も、これに非常に苦しんでいる実態がある。農水省の通知の周知・徹底をはかり、有効な対策を講じてほしい 要望3.野焼きの取り締まり強化と周知徹底をはかること 化学物質過敏症患者は、野焼きにひじょうに苦しめられている。農家の野焼きは自然物については禁止されていないが、稲わらやもみがら焼きの煙に、ぜん息などの原因となる化学物質が含まれていることが明らかになっている。よって、農家の野焼きはすべて禁止してほしい 要望4.印刷工場、化学工場、機械工場、クリーニング店等からの有害ガス・悪臭等による被害対策を講ずること ■国土交通省への要望書(概要) 要望1.改正建築基準法を満たしても発症者が出た住宅の実態調査を実施してほしい 改正建築基準法を満たしているにもかかわらず、発症している例が見受けられる。国として実態調査を実施し、建築基準法の見直しを行ってほしい 要望2.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい ・中長期間住める療養施設と、一時的に避難できる施設を各地に建設してほしい ・民間が患者の要望に応じて建設した同様施設への助成をしてほしい |