1.調理用塩ビ手袋の使用自粛を通知
厚生省は6月14日、環境ホルモンの一つである可塑剤のDEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)を含む塩ビ製手袋を調理用に使わないよう都道府県と関係業界団体に対して通知を出しました。
これは、国立医薬品食品研究所などが98年度と99年度に調査した病院食やコンビニ弁当から、塩ビ製調理用手袋からとみられるフタル酸エステルのDEHPが高濃度で検出された調査結果を受けての措置です。
6月14日に開かれた食品衛生調査会の毒性・器具包装合同部会が決めたもので、その他にDEHPのTDI(耐容1日摂取量 生涯食べ続けても健康に影響がないとされる摂取量)を2000〜7000μg/50kg/日にすることも決まりました。
コンビニ弁当と一部病院食から高濃度で検出
今回の措置の基になった98年度と99年度の調査の概要を見ていきましょう。
〔98年度調査の概要〕
- 給食施設の定食、市販の弁当および食品(バター、牛乳、豚肉、牛肉、鶏肉、魚、ほうれんそう、ばれいしょ、ぶどう、りんご、精白米)の合計131検体について、フタル酸エステル類11種類、アジピン酸エステル1種類について調べた。
- 結果は、特に検出量が大きかったのが市販弁当中のDEHPで、15検体すべてから54〜1220ng/gの範囲で、平均254ng/gが検出された。一般食堂の定食では、6検体中4検体から12〜27ng/gが検出された。その他の食材でも一部で高濃度の検出例が見られたが、例数が少ないため、偶発的な汚染か食品の種類に特有なものかは判断できなかった。
- 今回検出されたレベルのDEHPを含む市販弁当(1食分の重量を400gとする)を体重50kgの人が摂取した場合、摂取量は0.43〜9.76μg/kg体重となる。これは、英国農水食糧省のTDI 50μg/kg体重の0.9〜19.5%に相当する。
表1 対象化学物質
フタル酸ジエチル(DEP) |
フタル酸ジ-n-プロピル(DPrP) |
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP) |
フタル酸ジ-n-ペンチル(DPeP) |
フタル酸ブチルベンジル(BBP) |
フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP) |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP) |
フタル酸ジ-n-オクチル(DNOP) |
フタル酸ジ-n-ヘキシル(DHP) |
フタル酸ジイソノニル(DINP) |
フタル酸ジイソオクチル(DIOP) |
アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHA) |
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〔99年度調査の概要〕
- 99年度厚生科学研究の概要
(1)分析対象(表1)
フタル酸エステル類11種類、アジピン酸ジエチルヘキシル(DEHA) 計12種類
(2)市販弁当1食からのDEHPの検出量
99年8〜9月に関西地区のコンビニエンスストア10チェーンで購入した幕の内弁当10検体
322μg〜4,306μg(平均1,768μg)
(3)定食1食からのDEHPの検出量
99年9〜11月に関西地区のレストラン10店舗で購入した定食10検体
6.9μg〜177.1μg(平均40.0μg)
(4)病院給食1日分からのDEHPの検出量
99年10〜12月に3病院で出された給食各1週間分、計63検体
27μg〜2,549μg(平均519μg)
- 2000年1月に採取した市販弁当製造工程中の食材の検査結果(表2、表3参照/省略)
(1)塩化ビニル製手袋で箱詰め作業をした弁当からは,箱詰前の食材を大きく上回る濃度でDEHPが検出された。
(例)調理直後 詰める直前 詰めた後
米 不検出→ 166ng/g → 8,990ng/g
(2)塩化ビニル製手袋を使用していない工場の製品及び手袋で直接触れずに器具を用いて詰められた食材は、DEHPの検出量が低かった。
(例) ポテトサラダ 303ng/g
(3)塩化ビニル製手袋で食材に接触する模擬実験の結果
模擬実験において,DEHPの食材への移行が確認され,市販弁当中のDEHPのかなりの部分が塩化ビニル製手袋に由来することが認められた。
(4)その他のフタル酸エステル類について
DEHP以外のフタル酸エステル類については,摂取量が相対的に低いことから,現時点で具体的な対策を講じる必要はない。
(5)手袋の材質試験
塩ビ製(PVC製)と表示のあった1種類について材質試験を行った結果、410mg/g(41%)のDEHPが検出された。DEHAは15.5μg/g、DiNPは1261μg/g検出された。
EU基準の2倍以上のコンビニ弁当も
調理用手袋は、大量の弁当や給食をつくる際に、手づかみで盛りつける時に使われることが多く、薄手の使い捨て手袋が使われています。材質は、破れにくく使いやすいとされる塩ビ製がほとんどです。
99年度の調査結果で、病院食の最大濃度の食事を1日3回とったとすると、DEHPの1日摂取量が2,549μgとなり、EUが定めた体重50kgの人のTDI 1,850μgを上回ってしまいます。
また、コンビニ弁当の最大濃度4,306μgは、1食だけでEUのTDIの2倍以上にもなります。
DEHP以外のフタル酸類についてはDEHPに比べて低いので、対策は必要ないとされましたが、病院食における1日摂取量は、DEHAは平均で86μg、DiNPは62μg、BBPは4.7μg検出されています。また、コンビニ弁当の調査結果(表2)を見ると、BBP、DEHA、DiNPもDEHPほどではないにしても検出されており、原因を調べて、対策をとるべきではないでしょうか。
なぜ塩ビ手袋全体を禁止しないのか
塩ビの手袋からフタル酸エステルが溶け出すことは、これまでにも指摘されてきました。軟質塩ビにはフタル酸エステルなどの大量の可塑剤が使われているので、熱や油に触れると溶け出しやすいことは周知の事実です。(常温でも溶け出すことから、子どものおもちゃへの使用をやめるよう私たちは主張してきました。)
今回、DEHPを含む塩ビ手袋を調理用には使わないようにという通知が出たことで、メーカーや販売業者の間で製造・販売中止の動きが広がっています。ダンロップホームプロダクツ(大阪市)は、15日、食品調理用の塩ビ製手袋の販売を中止し、ゴム製やポリエチレン製の代替品に切り替えると発表。エステー化学も調理用に使われるごく薄タイプの塩ビ製手袋の製造・販売を中止し、ポリエチレン製に切り替えると発表しました。
塩ビ業界は「添加物が問題になっているもので、塩ビそのものの安全性が問われているわけではない」と反論しているそうですが(6月16日付 毎日新聞)、添加物抜きの塩ビはあり得ませんから、塩ビそのものの安全性が問われているのと同じということは、子どもにもわかります。
ただ、今回、「DEHPを含む塩ビ手袋」という限定付きなので、他の可塑剤を使った塩ビ手袋が使われる恐れはあります。そもそもDEHPが高濃度で検出されたのは、塩ビの可塑剤としてもっともよく使われているからで、なぜ、塩ビ手袋そのものを禁止にしなかったのでしょうか。他の可塑剤が増えれば、また同じことが繰り返されることになります。
DEHPのTDI値にびっくり
今回、DEHPのTDI(耐容1日摂取量)を2000〜7000μg/50kg/日(40〜140μg/kg/日)にすることも決められました。
ところが、この値は、
EUのTDI:37μg/kg/日、英国のTDI:50μg/kg/日、デンマークのTDI:5μg/kg/日
に比べて、最小値は近いにしても最大値は約3倍(デンマークと比べると、28倍!)にもなります。この「40〜140」の幅の大きさは何を意味するのでしょうか。この間に収まればオーケーということでしたら、食事からの摂取量はほとんどのケースが収まるはずです。大気からなどはごく少量と考えられますから、このTDIは、DEHPによる汚染を減らすことにはほとんど役立たずということになってしまいます。
つまり、現状追認の基準ということです。せっかく、塩ビ手袋禁止(に近い措置。自粛通知だそうです)を実施したのに、どうして要らないおまけをつけてくれるのでしょうか。
(安間/化学物質問題市民研究会)
(単 位)
m:ミリ 1000分の1、μ:マイクロ 100万分の1 n:ナノ 10億分の1、 p:ピコ 1兆分の1
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3.米軍PCB廃棄物輸送問題/カナダからの情報(下)
(ハイグレード・マガジン誌2000年5/6月号)
「さまよえる廃棄物 −PCB焼却炉に対する北部農民の戦い−」
カークランド・レイクPCB処理センター計画
TCI(トランス・サイクル・インダストリーズ)が挫折した結果、カークランド・レイクを国の新しいPCB処理センターにするというカークランド・レイク市の計画が注目され出した。現在、この問題に関与しているグループは”オンタリオ農業連盟(OFA)”である。オンタリオ州全体にわたるこの農民組織は、この地域にPCB焼却炉を建設しようというベネット・エンバイロメンタル社の計画に対し、正式に反対を表明した。OFAは州当局に対し、新たなPCB焼却炉の建設については、PCBの焼却による影響が完全に調査されるまで認可を棚上げにするよう求めた。
ベネット・エンバイロメンタル社のCEOであるジョン・ベネットはこのニュースによりガードを固めて、次のように述べた。「私はなぜ彼らが不安がるのか分からない。彼らは我々がしようとしていることを理解していないに違いない」。
これに対して、OFAの会長であるジャック・ウイルキンソンは、「我々の懸念は、PCB処理にあたって焼却よりも優れた技術を用いた他の方法があるのではないかということである。何故600〜800キロも離れた所から、あるいは何故はるばる日本からカークランド・レイクまで、輸送のリスクを冒してまで運んで来なくてはならないのか。何故PCB処理のリスクをこの農業国に持ち込むのか。ベネット社のプロフィールが、いかに広範囲に輸送が行われようとしているかを示している。ベネット社は”低価格で親身な解決”をする会社なので、メキシコのような遠い所からでも汚染した土壌を運ぶ顧客がある」と述べた。
戦う農民達
OFAの立場は、地域の農民達と共に再びカークランド・レイクのビジネス共同体と対決することである。過去10年間、中部テミスカミングの豊かな酪農と穀物栽培地域の農民達は、カークランド・レイクの近くにあるアダムス鉱山の廃鉱を北アメリカのごみ捨て場の一つにしようとする計画に反対する戦いを続けてきた。
農民達は計画されているごみ捨て場からの地下水の汚染を懸念している。アダムス鉱山には地下水の深さに多くの坑道が掘られている。農民達は坑道を通る地下水が、自分たちの地下水を汚染すると言っている。ごみ捨て場の提案者であるノートル開発会社には、坑道壁に防護ライニングを張る計画はない。ごみ捨て場設置に反対する人々は態度を硬化させた。
農民達がごみ捨て場設置に怒っているのに、カークランド・レイク市当局は他の廃棄物処理施設をも誘致しようと、全面的にこの計画を推進している。ジャック・ウイルソンは焼却炉計画は現在闘争中の一部であるとして、「農民達の心配事である地下水と安全についてまともに取り上げてもらえないので、ごみ捨て場に対する取り扱いについては大いに不満がある。現在、我々の所には他の廃棄物処分場もあり、それにもリスクがあると確信している。”ごみ捨て場を作って何が悪い”と言われて、我々は切り捨てられるだけだ」と述べた。
「焼却ではなく熱処理」とベネット社長
TCIがPCBリサイクルセンターを建設(ハイグレード誌1999年9月/10月号参照)するために1997年にカークランド・レイクに来てから、カークランド・レイク市はアーチャー・ドライブに産業廃棄物処理のための”環境パーク”を建設するという産業地域構想を推進してきた。もし全てが構想通りに行けば、ベネット社はTCIの隣人としてタイヤ・リサイクル/焼却プラントを建設することになる。(「焼却と言うな」とジョン・ベネットが注意した。「焼却という言葉は人々を惑わす。タイヤは細分されて熱処理されるのだ」と) カークランド・レイク市長のリチャード・デントンはこの新しい”環境産業”構想の推進者である。愛想の良い家庭医であるデントンは、アダムス鉱山ごみ捨て場計画に反対したために、皮肉にも市長に選出された。近隣の地域をなだめるためにデントンは、「カークランド・レイクがうまく行けば地域全体がうまく行く」と言った。
しかし、ジャック・ウィルソンの憤りは鎮まらず、「何故カークランド・レイクが、北アメリカのPCB廃棄物埋め立てのためのごみ捨て場となることになったのかは分からない。しかし、農民には自分たちにリスクを与えるかもしれないことについて意見を言う権利がある。カークランド・レイクが進めようとしているビジネス共同体構想は我々の生活に重大な影響を与える」と述べた。
プラント操業担当重役の一撃
ジョン・ベネットは明らかに地域の酪農家達との争いに巻き込まれることは望んでいないとし「人々は我々がしようとしていることの恩恵を見る必要がある。我々はクリーンな会社であるし、我々と一緒にやっていく全ての会社はクリーンな会社だ」と述べた。
ベネット社の装置の核心は二重式熱酸化装置(Dual Chamber Thermal Oxidizing Unit)である。この装置は、PCBや土壌、煉瓦、コンクリートに浸み込む他の有機化合物を焼却するよう設計されている。ベネット社は同様なプラントをケベック州サグエネリー地区のセント・アームブルーズで操業している。レクプレ・ソルというそのプラントはカークランド・レイクに建設しようとしているものの半分のサイズである。「我々は要求よりも10倍の処理効率で操業している。今まで、この装置によるトラブルは皆無である」とレクプレ・ソルのベネット社員は述べた。
このような見解に対し、地域の環境団体の連合組織であるテミスカミング環境行動連合(TEAC) は反撃した。TEACのメンバーはPCB焼却技術を攻撃したパンフレットを地域中に配布した。ベネットはこのようなキャンペーンはフェアーでないとして「環境関連の人々が明らかにしたことは些細な事柄だけだ」述べた。この”些細な”事柄にはケベック州の環境庁と行った下記に示す多くの論争が含まれる。
- 危険な廃棄物の違法な保管に対する通告(1997年8月1日)
環境庁は保管庫内の空気中の汚染物質のレベルを指摘し、”換気濾過装置が不適切”と述べた。
- 粉砕装置は適切な認可を受けていない(1999年2月26日)
- 5件の違反事項の指摘(1999年7月27日)
地方紙レ・クオティディンの数々の記事が下記のようなプラントのトラブルについて指摘している。
- 数百トンの毒性物質がPCBに汚染されたセメント塊としてセント・アームブルーズのレクプレ・ソル(RS)で違法に保管されていた。(1998年1月13日)
- レクプレ・ソルに対する苦情申し立て−プラントから黒煙が発したとの報告について係争中(1998年1月27日)
- レクプレ・ソルが法的執行に直面(1999年6月18日)
おそらくケベック州に於けるベネット社の威信を損なう最も痛烈な一撃は、プラント操業担当重役ジーンポール・ボーチャードの辞任であった。セント・アームブルーズ市民の猛烈な反対に耐えられるのは彼1人であると見なされていたので、彼の辞任は非常な驚きを与えた。
公開された手紙の中でボーチャードは会社を辞める理由を述べている。彼はプラントの運転再開にあたって、「プラントの若干の変更とチェックが最初になされるべき」とした上で、再開の決定に懸念を示した。また、「従業員は十分な訓練を受けていない」とも述べた。ボーチャードはまた、もしプラントに変更を加えていれば起こらなかったかもしれないいくつかの事故について語った。
「PCB焼却技術には本質的欠陥」とカーマン氏
TEACはこれらのニュースをテミスカミング地域に回覧した。さらに彼らはアメリカのPCBの専門家たちにアドバイスを求めた。それら専門家たちの1人がネイル・カーマンで、彼はテキサス州の元焼却炉検査員であった。カーマン氏(彼は現在シエラ・クラブで大気汚染反対の運動をしている)は何故、彼がPCBの焼却に反対するようになったかについて次のように説明した。
「PCBの焼却技術には本質的な欠陥がある。焼却炉は非常な高温で運転され、そこでは非常に腐食性の高い物質も焼却される。高温下の”応力ひずみ”により装置はいずれ壊れるが、それが起きれば焼却ガスが漏れ出す」。カーマンはこれらのガスにはPCBやダイオキシンが含まれていると述べている。これらの化学物質は環境に放出され食物連鎖により蓄積される。「ダイオキシンは非常に毒性の強い有機合成物である」とし「農民には心配する真の理由がある。彼らはこれらの毒物により牛乳が汚染することを望まない」とカーマンは述べている。
しかしながらジョン・ベネットは、ダイオキシンは彼の会社が用いている焼却プロセスでは発生しないと主張している。「巻きタバコの塩素処理された紙が燃える時の方が我々のプラントからよりも多くのダイオキシンが発生する。そして我々を非難する会議に出てくる人々は喫煙しているではないか。それは本当に不愉快だ」とベネットは述べている。ジョン・ベネットは彼の会社の装置は焼却試験を受けており、それによれば99.9999% の焼却効率を有すると主張している。
カーマンはそれに対して、「それは車の取引と同じだ。焼却試験は車のディーラが扱う新車のようなもので、新車の時は良く走る。本当に必要なことはプラントを操業する日々、排ガス試験を行うことだ」。
カーマンは焼却に取って代わる技術が市場にあると言う。例えばオンタリオ州にあるエコ・ロジック社(ハイグレーダ誌1999年9月・10月号参照)は焼却よりも遙かにリスクの少ない技術を提供している。「例え、最高の技術による焼却炉が洗浄/冷却装置と警報装置を持ったとしても未焼却のPCBやダイオキシンが排ガス中に含まれる。また輸送中や荷下ろし中にPCB液がこぼれれば、毒性ガスを発生させることになる」。
しかし、ジョン・ベネットは「人々はPCBについてよく知らないので混乱している。何故人々はPCBのあら探しだけをするのか」と述べている。元モンサント社の主任技師であったベネットはPCBのことはよく知っているとして「わがモンサント社は1977年に中止するまでPCBを製造していた」と述べた。
PCB処理には興味がないと言うが
グリーンピースのような環境保護のヘビー級を係争に巻き込んだTCIの状況を鑑み、ジョン・ベネットは彼の会社の衰退を明らかに心配していた。「私は事態を混乱させたと非難されている。TCIは我々の良き隣人になろうとしているのに」と彼は述べた。
TCIはPCBに汚染された金属を再生した後、濃縮したPCBを焼却するために外部に搬出しなければならない。現在、濃縮PCBは4000km 離れたアルバータ州のスワン・ヒルの焼却炉に搬送されている。焼却炉がすぐ近くにあれば、汚染土壌に濃縮PCBを混ぜて焼却処理するのがベネットにとって理にかなっているではないだろうか?「とんでもない。濃縮PCBの処理の許可を我々は得ていない。その許可を申請するつもりもない」とジョン・ベネットは述べた。
しかし、ベネット社のホームページに投稿したデントン市長の妻のエリザベス・デントンの手紙は全然違うことを主張していた。「何故、彼はカークランド・レイクを重用視するのか尋ねると、彼(ジョン・ベネット)はTCIが彼を招いたからだと述べた。アルバータのスワン・ヒルにある焼却炉は来年中に閉鎖されることになっていたので、TCIはPCBスラッジを処理する新しい設備を探していた。
ベネット氏はTCIからのPCBスラッジをベネット社が焼却する汚染土壌に加えることは容易なことだと述べた。その焼却は彼がここに建設しようとしている焼却設備で行うことが出来る。ベネット氏はさらに、焼却処理された土壌はアルカリ性であり、アダムス鉱山に捨てられた廃棄物に覆いかけるのにちょうど良いと述べた。ベネット氏は彼の会社がこの地域に来るようTCIに誘われたことを認めたが、それはTCIが環境関連の企業を”環境工業団地”に来るよう誘っただけだと述べた」。
ベネットは、「ベネット社とTCIは、たぶん研究所や共通のセキュリティ・システムを隣人として共有するかもしれないが、ベネット社は現在スワン・ヒルに搬送されている濃縮PCBについては興味がない」と主張している。そしてさらに、秋までに建設工事を着工したいと述べた。農民達は彼の行く手にどのくらいの障害物を置いて抵抗するのであろうか。
(安間)