国際がん研究機関(IARC) プレスリリース(2000年4月7日)
世界ノー・タバコ・デー 2001
受動喫煙はごめんだ:空気をきれいにしよう!


情報源:WHO Tobacco Free Initiative Homepage
World No-Tobacco Day 2001
Second-Hand Smoke: Let's Clear the Air
http://tobacco.who.int/en/advocacy/wntd2001b.html

掲載日:2000年12月1日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tobacco/kaigai/00/00_12_wntd2001_second_hand_smoke.html


 受動喫煙は人々の健康に重大な脅威を与える。20年間にわたり積み重ねた証拠により、現在、科学界では副次煙への暴露には安全なレベルなど存在しないということが常識となっている。

 受動喫煙は、肺がんや心臓病などのような生命を脅かす健康障害の原因となる。子ども達は心ならずもタバコの煙に曝されて呼吸器系の病気、中耳炎、喘息発作、乳児急死症候群(SIDS)等の被害を受ける。タバコの煙は室内の空気の汚染源ともなり、目の充血、喉の痛み、咳、頭痛を引き起こす。

 証拠は十分にある。行動を起こそう。

タバコ産業界の欺瞞に満ちた空気をきれいにしよう

 タバコ産業界は、非公式には認めるが、公式には否定するという、2つの顔を持っている。受動喫煙が有害であるという20年間にわたって積み重ねられた科学的な証拠があるにもかかわらず、またタバコ産業界側の科学者さえもそれを認めているにもかかわらず、受動喫煙が死や病気を招くということを、公式には否定している。しかし非公式には、受動喫煙がタバコ産業自体を滅ぼすことにもなりかねない非常に重要な問題であるということを認識している。

 1978年にタバコ産業界が秘密裏に実施した研究調査では、次のように結論付けた。
“喫煙者は自分が勝手に喫煙しているのだから被害を受けても知ったことではないが、喫煙者が非喫煙者に被害を及ぼしているのは別問題だ。受動喫煙の問題は、たばこ産業を滅亡に追いやる危険性がある。まだそのようにはなっていないが。”
八百長組織(Roper Organization)、1978年

 企業戦略の一つとしてタバコ産業界は、受動喫煙から人々を守るための規制や法律に対して一貫して反対してきた。タバコ産業界は、ロビィーストを雇い、合理的な科学研究を攻撃し、科学者を買収し、インチキな研究をでっち上げ、受動喫煙に関する疑義を作り出すために巨額の金を使っている。

 1998年にタバコ会社が数社集まって開いた会議のメモは、次のようなことを記している。
 “フィリップ・モリスの世界戦略は受動喫煙の議論を長引かせるために、国際的な規模で多くの科学者に根回しを行い、買収することである。”

我々は彼らの戦略を知っている。反撃しよう。

世界ノー・タバコ・デーを宣伝し、動員し、組織しよう

 世界保健機構(WHO)とそのパートナーは、受動喫煙に関する真実を声を大にして伝え、皆に知らせる責任がある。我々には、人々の健康を促進し、受動喫煙から人々を守る責任がある。

 我々は受動喫煙が重要な問題であるということを皆が認める環境を作らなければならない。このことは特に、政策決定者、メディア、地方行政官に対して必要である。マスメディア・キャンペーン、教育プログラム、及び、非政府組織(NGO)やプライベート・セクターや国連の機関を含む主要な組織とのパートナーシップを推進する必要がある。我々は、この問題にうち勝つために、真剣になって政策やプログラムを鼓舞しなくてはならない。公共の場や職場や家庭から喫煙を締め出すために、規制と教育の両方を推進しなくてはならない。

世界ノー・タバコ・デーは、あなたの手で、あなたのプロジェクトで

世界ノー・タバコ デー(WNTD)は世界保健機構(WHO)によって組織され、世界的な規模で行動されるが、キャンペーンを成功させ持続させるカギは、各地域での動員にかかっている。あなたの地域の女性団体、子ども支援団体、ビジネス団体、商業組合、消費者団体、地方行政府等と一緒に、受動喫煙に反対する行動をとって欲しい。あなたの地域で最もふさわしいと思われる方法を選び、あなたのプロジェクトを直ぐに立ち上げて欲しい。

空気をきれいにするコンペに参加しよう

 人々の健康に関する政策を決定する上で、地方行政府の果たす役割は大きい。WHOはタバコと受動喫煙に反対し、“空気をきれいにする”キャンペーンを始めるよう、世界中の市長に働きかけている。

 “空気をきれいにする”キャンペーンを最も成功させた市長達は国際的に表彰され、2001年5月31日にカナダのモントリオールで開催される世界ノー・タバコ・デー祝典にゲストとして招かれるであろう。この祝典でグロ・ハーレム・ブルントラント事務局長は市長達の達成した栄誉をたたえて特別な賞を授与するであろう。

 受動喫煙が2001年の世界ノー・タバコ・デー キャンペーンのテーマに選定されたが、タバコ規制も現在進められており、市長達は速やかにキャンペーンを立ち上げて、確実に成果が上がるようにしなければならない。あなたの市と市長が受動喫煙に対するキャンペーンに取り組めるよう彼らを支援して欲しい。どのような方法があなたの地域にふさわしいのか考えて欲しい。職場やレストラン、学校、病院、空港、政府の建物、市役所、議会。これらの場所を禁煙にすることが出来るだろうか。

人々の健康を守ろう

 WHOの191カ国のメンバーが2000年10月に集まって、 世界で始めての法的拘束力のある健康に関する条約を目指して、タバコ規制枠組み条約(Framework Convention for Tobacco Control - FCTC)の交渉を行う。この条約は、世界の国々や人々をタバコに起因する死や病気から守り、またそれによって発生するコスト防ぐためのものである。

 受動喫煙から人々を守ろうとするあなたやあなたの組織の行動は、FCTCでの国際交渉を成功させるために非常に重要なことである。

(訳:安間 武)

化学物質問題市民研究会
トップページに戻る