2000年10月13日 タバコ公聴会に対するWHO 事務局長の表明 情報源:Statement WHO/6 13 October 2000 WHO DIRECTOR-GENERAL'S RESPONSE TO THE TOBACCO HEARINGS http://www.who.int/genevahearings/hearingsdocs/dghearingsen.rtf
掲載日:2000年11月11日
タバコ規制枠組み条約(FCTC)について意見を述べたいと考える全ての団体に対し、私は意見を提出するよう呼びかけたが、WHOに対し500通を越える意見書の提出があり、それらは直ちにWHOのウェブサイトで公開された。世界の160以上の組織の代表者が、現在ジュネーブで証言中である。彼らは、多国籍タバコ企業、国策タバコ会社、タバコ会社グループ、公衆衛生機関、女性グループ、地域の組織・団体、学会・研究所、からの代表者達である。 人々の健康を守ることを使命と考える全てのグループは、喫煙による現在及び将来の、特に発展途上国の、人々への影響について極めて深刻な懸念を表明している。彼らは早急に断固とした措置をとるよう主張した。それとは対照的に、多くのタバコ会社は“穏当”で“適切”な措置は何かということに論点を集中している。中にはWHOの役割や、人々の健康に与えるタバコの影響を減少させるためのFCTCのやり方を問題にする会社もある。さらに、いくつかのタバコ会社は、受動喫煙が健康に対し脅威を与えるということを未だに否定し続けている。
一般的に、タバコ会社は、若者や成人のタバコ消費の削減に対し非常に限られた効果しか期待できないと言われる政策や措置は支持すると表明してきた。しかし、WHOや世界銀行や公衆衛生の専門家達が、効果の測定が可能で持続性のあるタバコ対策であると認めた調停案には反対している。
加盟各国がFCTC及び各国の法と政策に織り込むべき措置について審議するにあたり、これらの調停案を十分考慮することを希望する。
多くの証言において、タバコ産業の一部であるタバコ会社は、政治的、財政的、及び人権に関する問題に焦点を絞り込んでいる。 発展途上国からの他のグループは、農村共同体におけるタバコ栽培農家に与える影響について異なった見解を示している。いくつかのグループは、タバコ栽培農家の将来の生計についての不安を述べている。それらの不安は理解できるけれども、それらを正当化するだけの証拠はない。 しかし、長期のタバコ需要の減少が及ぼすタバコ製品供給への影響については、注意深く調査する必要がある。この調査は、打撃を受ける恐れのある地域や国を特定するのに役立つであろう。またこの調査に基づき、今後、20〜30年の間の予想される困難を最小限に抑えるための選択肢が示されることになるであろう。FAO、世界銀行、米国農務省、カナダIDRC、スウェーデンSIDA、及び WHO が共同でこのような作業を実施中である。 公聴会において、いくつかのタバコ会社は市場開拓の方針を“妥協点”に向けて軌道修正したと証言した。いくつかの会社は“穏当な会話”を望み、“現実的な解決”をしたいと表明した。WHOは、各国政府はこの提案が実際、何を意味するかということについて注意した方がよいと考えている。我々が留意しなくてはならない根元的な問題は、タバコは常習者の半分を殺す、唯一の合法的消費製品であるということである。
入手した資料に基づき、WHOはタバコによる健康への被害を減少するために、次の4つの方法があると考えている。
WHOはこの4つの方法に取り組み、それらを実現するための広範で効果的な措置を支援する。最初の3つの措置は既に多くの国々で取り入れられており、健康に対する効果を上げている。タバコ会社が“より害が少ない”と称するタバコ製品の改良による効果を得るためには、少し時間がかかるし、主要なタバコ会社も公に認めているように、安全なタバコなど未だ存在しない。
我々の分析によれば、WHO及びほとんどの加盟国と、タバコ会社との間にはその立場において、際だった相違がある。我々WHOは、タバコの使用を減少させることに効果があると分かっている措置は、直ちに実施するよう主張している。我々は、これらの措置がタバコ会社に妨害されることなく実施できることを切に望む。
このような明白な立場の違いについて我々は懸念しているが、我々はタバコ会社が、タバコの有害性を減少させるためにどのような提案を行おうとしているのか耳を傾けるということを約束した。
医学博士 グロ・ハーレム・ブルントラント
(訳:安間 武)
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