2005年12月5日、化学物質問題市民研究会は化学物質過敏症支援センターほか36団体とともに、厚生労働省、文部科学省、環境省、国土交通省に対して化学物質過敏症対策に関する要望書を提出しました。(参照:4省への要望書(2005年12月5日提出)と要望団体リスト) 厚生労働省からは電話(1月16日)、環境省からは文書(12月19日付け)回答があ りました。 文部科学、国土交通省からは、回答がありません。 以下は厚生労働省の電話による回答です。
平成17年1月16日 厚生労働省健康局生活衛生課 手島裕明氏 要望1.全国規模の疫学調査を実施し、発症者の実態を把握してほしい これまでの厚生労働科学研究で得られた、疫学調査手法についての知見を踏まえ、調 査を実施していただきたい。 【回答】平成15年度から17年度で研究を行っているが、それが17年度で一区切りす る。18年度から2〜3年かけて、研究を新しい枠組みで進めていく予定。15,1 6年度分の調査研究報告は既に出している。 要望2.化学物質過敏症を病気として正式に認めてほしい ・医学界が認めていないことをその理由にしているが、その根拠は何か。どういう条件を満たせば、医学界が認めたと見なすのか。 ・化学物質過敏症の科学的究明が十分でないとしても、何らかの救済策を講じてほし い。現実に患者は存在し、日々苦しんでいるのだから、その救済は国としてなすべき ではないか。究明がなされるまでは何もできないというのでは、不作為の謗りを免れ ないのではないか。 【回答】疾病の概念は学界が決めるもので、国が決めるものではない。医学界におい ては、肯定的意見と否定的意見があってコンセンサスが得られていない状況にある。 保険の疾病名はマスターに記載したものを使うが、医師の判断で記載されていないも のも記載することが認められている。 要望3.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への 助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい 被害者は化学物質の被害から逃れて住む場所がなく、路頭に迷っている状況である。 キャンプ生活を余儀なくされている人もいる。 ・中長期間住める療養施設と、近くで農薬が撒かれる、外壁塗装工事が行われるなど の場合、一時的に避難できる施設を各地に建設してほしい。 ・NPO法人など民間が患者の要望に応じて建設した同様施設への助成をしてほしい。 ・療養・避難する発症者への支援を行ってほしい。 ・転地療養による効果について、厚労省の見解を示してほしい。 【回答】今の時点では、厚生労働省は対応できない。 要望4.保育園、幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい 学校においてはシックスクール対策が徐々に進んできているが、保育園・幼稚園等の 社会福祉施設においては、ほとんど取られていないのが現状である。予防策と既に発 症した子どもへの対策を早急に講じてほしい。 【回答】幼稚園については文科省に。保育園については、雇用均等児童家庭局保育課 にきいてほしい。 要望5.化学物質による被害者救済のための対策委員会を早急に発足させてほしい 以上要望した被害者救済のためには、関連省庁も交えた対策委員会が必要である。今 ある関係省庁連絡会議を発展させて、患者、支援団体も含めた対策委員会を早急に発 足させてほしい。 【回答】既存の連絡会議の枠組みの中で対応していきたい。連絡会議のとりまとめ は、健康局生活衛生課。 要望6.予防原則に立った化学物質の使用規制に関する総合的な法律を制定してほしい 化審法によって新規化学物質は安全性が審査されて市場に出ているというが、現に私 たちはその被害を受けている。また、新規以外の化学物質についてはほとんど審査さ れていない。さらに、農薬取締法、薬事法、食品衛生法、消費生活用製品安全法など の法律はあっても縦割り・限定的・基準が緩い等の理由で、私たちの安全は守られて いない。よって、私たちの安全を有害化学物質から守る総合的な法律を制定してほしい。 【回答】化審法において新規輸入・使用化学物質については規制している。既存の化 学物質については、ジャパンチャレンジプログラムによって安全性情報を収集。関係 省庁で取り組みを進めていく。 |