米国立環境健康科学研究所(NIEHS)
Environmental Factor 2009年10月
米国国家毒性計画(NTP)
携帯電話研究に関する最新情報を発表

ロビン・マカール(Robin Mackar)

情報源:NIEHS Environmental Factor, October 2009
NTP Provides Updates on Cell Phone Studiess
By Robin Mackar
http://www.niehs.nih.gov/news/newsletter/2009/october/spotlight-ntp.cfm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2009年11月32日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/emf/niehs_Oct_2009_Updates_Cell_Phone.html


 2009年9月14日、米国国家毒性計画(NTP)の毒性学者らが、NTPとNIEHS後援の携帯電話の使用による無線周波数エネルギーへの暴露に関連する研究の最新情報を発表するためにワシントンにやってきた。無線通信機器は2億7,000万人以上のアメリカ人によって使用されているが、これらの機器への長期的暴露の潜在的健康影響についてはほとんど知られていない。

 午前中、NTPの毒性学者マイケル・ワイド博士は、”携帯電話と健康に関する専門家会議:科学及び公共政策の問題点”でNPTの携帯電話無線周波数放射研究の概要を発表した。国際会議はピッツバーグ大学公衆衛生学教授デブラ L. デービス博士によって組織されており、部分的にNIEHSの支援を受けている。NIEHSの副長官クリス・ポーティエール博士は運営委員会の議長を務めた。主催者によれば、3日間の会議の目標はアメリカの研究課題を提案することである。

 ワイドは参加者らに3段階のNTPのげっ歯類研究について情報提供をした。3段階研究は次のように計画されている。
(1) 体温を過度に高めない磁界強度を調べるための一連のパイロット研究
(2) 2ヶ月間、様々な非熱放射磁場強度にげっ歯類を暴露させる亜慢性毒性研究
(3) 24ヶ月間、げっ歯類を暴露させる慢性毒性及び発がん性研究

 ワイドはまた、研究用の特別な電波反射箱を設計するために、NTPが国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)の専門家らとどのように作業をするかを討議した。携帯電話放射は1日に20時間10分間隔のオンオフ・サイクルで行われる。NTPは研究の全段階の完了と報告書の作成は2014年までと予測している。

 午後、会議参加者は、ダークセン・ビルディングの近くにある米上院の携帯電話と健康に関する公聴会に招待された。NTP副長官ジョーン・ブッチャー博士は公聴会で NIEHS、NTP 及びNIHを代表して証言した。”現在の科学的証拠は、携帯電話の使用と、どのような健康問題とも、決定的には関連付けていないが、入手可能な研究を評価している私たちや他の科学的団体は、携帯電話の使用に関連する低レベル無線周波数放射暴露による潜在的な健康リスクを調べるために、もっとよいデータが必要であると結論付けた”とブッチャーは述べた。

 ”ブッチャーは、NTP研究の概要を示したが、彼が指摘したことは、それは携帯電話放射への暴露による発がんリスクを含む潜在的な有害性を明確にするために設計されたもである。彼はまた、上院議員トム・ハーキンとアーレン・スペクターから出された多くの質問に答えた。ブッチャーの証言は下記から入手できる。
http://www.niehs.nih.gov/about/congress/docs/ntp-associate-directors-statement.pdf(22KB)

 NTPはまた、携帯電話に関するファクトシートを準備している。
http://www.niehs.nih.gov/health/docs/cell-phone-fact-sheet.pdf(2.1MB)

ロビン・マカール(Robin Mackar)は、NIEHS 通信・公共連絡室のニュース・ディレクターであり、Environmental Factorへの常連寄稿者である。


訳注:関連記事
Environmental Health Perspectives Volume 117, Number 11, November 2009 Forum / Conference, Hearing Call Up Cell Phone Use


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