2012年10月25日 欧州労働組合研究所(ETUI) News
EU理事会が妥協案を採択
長期的な影響を考慮していない


情報源:European Trade Union Institute (ETUI) News, October 25, 2012
Workers protection and electromagnetic fields: Council adopts compromise
http://www.etui.org/en/News/
Workers-protection-and-electromagnetic-fields-Council-adopts-compromise


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2012年11月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/emf/121025_ETUI_emf.html


 10月4日、雇用・社会政策に関するEU各国大臣は、労働者の電磁界(EMF)曝露の保護に関する欧州法令の見直しに関し、非公式な合意(EU用語で”general approach”)に達した(訳注1)。理事会で達したこの妥協は、電磁界暴露の人の健康に関する長期的な影響を見るよう求める労働組合の要求を考慮していない。

 電磁界を生成する技術(例えば、携帯電話、病院でのMRIスキャン、パソコン等)の増大する使用とリスクにはまだ多くの不確実性がある。このことが、欧州連合が2004年にEMFに曝露する労働者のための最小限の要求と制限を規定するEMF指令を採択した理由である。この指令は2012年の中頃までに国内法への移行を義務付けていたが、医療技術分野からのロビーイングはもとより、新たな医学的証拠に対し賛否両論があったので延期され、これらの新たな議論によりEU規則の見直しという欧州委員会の修正提案(訳注:移行期限を2013年10月31日に延期)が提示されてた。

 EMF指令の見直しにはEUの共同決定手続き(co-decision procedure)(訳注2)の下に行なわれ、欧州連合理事会とともに欧州議会により採択されることが必要である。欧州議会では、フランスの欧州議会議員エリザベス・モリン-チャ−ティエル(欧州人民党(EPP)グループ)(訳注3)がラポルトゥール/報告者(rapporteur)(訳注4)である。(訳注:2011年11月14日付けのドラフト報告書を雇用・社会委員会に提出)。議会の総会における第一読会は2013年2月に行なわれることが予想される。

 欧州連合労働組合は、このEMF規則の修正案に強い立場をとってきた。一般に、欧州委員会提案は労働者の電磁波曝露の長期的な影響を考慮していないという事実を労働組合は批判してきた。

 理事会の最近の妥協案を検討したETUIのローラン・フォーゲルは次のように述べた。”EMF指令は、現在の欧州委員会の下で恐らく採択されるであろう健康と安全分野における非常に数少ない取り組みのひとつである。そのような観点から、理事会の妥協案は前向きであり、私はそれが欧州委員会により支持されることを期待する。来年の大きな課題は、労働者をEMFの長期的な影響から適切に保護することに関することである。労働組合は、科学的証拠に基づく新たな取り組みを要求する”。

更なる情報:

訳注1:関連情報
2012.10.11 電磁界情報センター:電磁界へのばく露から労働者を防護するためのEU指令に関するEU理事会からの公表

訳注2
共同決定手続き(ウイキペディア)

訳注3:EPPグループ
欧州人民党グループ(ウイキペディア)

訳注4:ラポルトゥール(報告者) 欧州議会(ウイキペディア)



化学物質問題市民研究会
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