アメリカン・クロニクル 2009年1月21日
ドイツ 世界で初めて多種化学物質過敏症(MCS)を
身体的疾病として認める

情報源:American Chronicle January 21, 2009
GERMANY IS THE FIRST COUNTRY TO RECOGNIZE
MULTIPLE CHEMICAL SENSITIVITY ( MCS)
AS A PHYSICAL DISEASE
Christiane Tourtet B.A.
http://www.americanchronicle.com/articles/view/88560

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2009年2月8日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/cs_kaigai/mcs_Germany_to_recognize_090121.html


 多種化学物質過敏症(MCS)はまた、有毒化学物質傷害、環境過敏症、などとも呼ばれ、アメリカの人口の16%が影響を受けており、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、デンマーク、フィンランド、イギリス、フランス、スウェーデン、アイルランド、イタリー、スペイン、スイス、日本、中国、パキスタン、インド、さらにもっと多くの国で、警告を発すべき速度で日々増加しており、世界的な環境健康危機となっている。

 多種化学物質過敏症(MCS)は、ドイツ医学文書情報研究所(DIMDI)により、国家ヘルスケア・システムの中で公式に身体的な病気として認められており、世界保健機関(WHO)国際疾病分類のドイツ版、コード T 78.4、第19章、傷害、中毒、及びその他の有毒物質に起因する疾病、ICD-10-GM、それは連邦保健大臣の命令によるドイツ連邦共和国社会保障コードVの下にあるが、その中で分類されている。

 環境病であり、低レベルの有毒物質暴露によって引き起こされる、又は農薬、殺虫剤、燻蒸剤、溶剤、シックビルディング、及び環境中の非常に多くの化学物質などの有毒物質への急性暴露によって引き起こされる多種化学物質過敏症(MCS)は、世界中の多くの国で、多くの医師、科学者、研究者、及び多くの政府機関により、ますます認められるようになってきている。

 多種化学物質過敏症(MCS)を発症した人は、環境中のわずかな化学物質に暴露しても、生涯にわたり脅かされることがあり得る、苦痛や衰弱性の過敏症状を経験し、通常、深刻な食物不耐性をもたらす。疾病が進行すると、彼らは実質的に環境中の何にでも反応するようになる。


訳注
”ドイツがMCSを認知した”という”ニュース”は特に新しいことではないが、その解釈については議論があるようである。
 2008年11月 オーストラリア NICNAS/OCS 報告書案 『多種化学物質過敏症(MCS)の科学的レビュー 主要な研究の必要性を特定する』 では次のように述べている。
6.4 ドイツ政府
 ドイツは、しばしば”公式にMCSを認めている”唯一の国であるといわれているが、それは、2000年11月にドイツ医学文書情報研究所(DIMDI)によって刊行されたドイツ語版『疾病及び関連健康問題の国際統計分類(ICD-10-SGB-V)』のアルファベット順インデックスにMCSが含まれているからである。

 MCSは、ICD-10-SGB-Vのアルファベット順インデックスに含まれている一方、重要なことは、このインデックスが何人かのドイツ臨床医によって用いられた診断の句(phrase)の収集であり、ドイツにより”公式に認められた”リストではないということである。臨床医により使用された又は認められた全ての句(phrase)というわけではない。

 MCSの症例に関し、句(phrase)は明確な疾病の実体を表していないので、いくつかの句(phrase)には唯一の疾病コードが割り当てられていない。ドイツ医学文書情報研究所(DIMDI)は、MCSが ICD-10-SGB-V アルファベット順リストに含まれていても、このことはMCSが疾病として認められたことを示唆するものではないと述べている(M. Schopen, DIMDI, Personal Communication, 2004)。



化学物質問題市民研究会
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