2011年5月12日
WHO 事務局長への手紙
環境病 MCS と EHS の認知
署名付き最終版

PDF版

情報源:SPAIN:NATIONAL COMMITTEE FOR THE RECOGNITION OF MULTIPLE CHEMICALSENSITIVITY
http://www.asquifyde.es/pagina.aspx?pagina=111
Letter to WHO the Director General Dr. Margaret Chan on May 12, 2011
http://www.asquifyde.es/uploads/documentos/OMS-DRA.%20CHAN%20ENGLISH44.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
Translated by Takeshi Yasuma
Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年5月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/cs_kaigai/WHO/110512_Letter_to_WHO_final_jp.html

2011年5月12日
中枢感作、多種化学物質過敏症、電磁波過敏症
慢性疲労症候群、線維筋痛症のための世界デー

件名:環境病MCSとEHSの認知
世界保健機関
事務局長
マーガレット・チャン博士

親愛なるチャン博士
 1952年、アメリカのアレルギー学者セロン・ランドルフ博士は多種化学物質過敏症を明らかにしました。それ以来、この疾病は、それに罹った多くの人々と、その存在によって引き起こされた社会的な警告に示されるとおり、単にまれな症例ではなく、新たに出現している病気であり、人の健康に対する明白な脅威となっています。

 多種化学物質過敏症は、それ自身が単独に存在することはほとんどありません。患者の多くが、電磁波過敏症、慢性疲労症候群、線維筋痛症などを併せ持っています。これらの4つの病理は、医学界及び科学界では、相互に作用する重複する症状を示す"複合中枢感作疾患"として認識されています。慢性疲労症候群と線維筋痛症は、国際疾病分類(ICD 10)に含まれています。

 多種化学物質過敏症と電磁波過敏症は、日常の化学物質製品や電磁放射への最小の曝露でも反応して、多種の全身症状を伴う後天的器質疾患です。慢性的であり曝露によって引き起こされる症状には、呼吸器系、消化器系、心臓血管系、内分泌系、免疫系、皮膚系、神経系の疾患を伴う疲労があります。しかし、多種化学物質過敏症と電磁波過敏症は ICD 10 に含まれていません。

 多種化学物質過敏症と電磁波過敏症の両方はともに、多くの機会に患者らの不具合の特性や職業的要因を認識しつつ、患者の存在、医学的診断、及び、法的事実認定を通じて、目に見えるようになってきました。

 世界保健機関(WHO)と密接に関係する国際労働機関(ILO)は、その医学百科事典に多種化学物質過敏症の能力影響を反映し、定義し、認めています。

 したがって、多種化学物質過敏症と電磁波過敏症を国際疾病分類に含めることは、非常に重要なことです。この方法により、これらの疾病に罹っている人々は、世界人権宣言に述べられている健康ニーズ、健康管理、及びその他の関連する諸権利に関する認知という基本的な権利を得ることができるようになります。

 これは患者にとっても、健康関連問題に関する世界最高の代表であるあなたの機関にとっても、歴史的な機会であります。多種化学物質過敏症と電磁波過敏症の認知は、私たちの地球の環境問題に密接に関連し、絶えず増大している公衆健康問題に私たちが取り組むことを可能にするでしょう。

 上述した全ての理由により、下記署名者は、これらの疾患を認知するためにあなたが速やかな措置を取ることを要求します。

 私たちは、多種化学物質過敏症と電磁波過敏症が疾患として連続番号でICD 10に含まれるべきであると信じます。それらはまた、関連する分類コード(ICF 機能障害と社会的不利に関する国際分類)やIND(国際疾病分類)など)にも割り当てられるべきです。

 さらに、それらの疾患はしばしば職業上の原因により発症するのだから、双方の病理を職業病のリストに含めるようILOを説得するための措置がとられなくてはなりません。

 ドイツ((T78-4)、オーストリア(T78.4)、日本(T65.9)などの国は、すでに多種化学物質過敏症を国のICD 10 のコードに割り当てています。まだICDに含めていない国についても、この問題の特性、すなわち、環境毒素として働く化学的要因、物理的要因、及び電磁界放射への曝露に対応した特定のコードが多種化学物質過敏症と電磁波過敏症に付与されることを私たちは提案します。そのような独自のコードを持つことは臨床的及び法的管理を容易にし、福祉、健康管理、社会、職業及び法律の分野、そして家族の中でのこれらの疾病の認識にプラスの影響を与えるでしょう。

 この文書に署名した専門家はもちろん、これらの疾患を病む人々、及び、彼らの健康のために、環境のために、職場の健康と安全のために働く科学者、協会及び組織は、この請願の背景にある現実の堅固さと説得力のある特性のために、そして、現在、脆弱な状況にある人々がますます増加していることに対応するために、この請願は受け入れられるべきであると信じます。

敬具

署名者
(日本を含む28カ国からの200人以上の健康問題専門家と、健康と環境を懸念する240以上のNGOsや財団法人からの賛同者/団体のリストは、下記のオリジナルの請願書をご覧ください。)
http://www.asquifyde.es/uploads/documentos/OMS-DRA.%20CHAN%20ENGLISH44.pdf

日本からは CS 患者及び支援の NGOs 16団体と専門家12名の賛同をいただきました。



化学物質問題市民研究会
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