INSIDER 2022年11月9日
テフロン加工のフライパンにひっかき傷を付けると、
何千ものマイクロプラスチック粒子が放出される
可能性があることを研究が示唆

アンドレア・マイケルソン|コミュニケーションコーディネータ
情報源:INSIDER Nov 9, 2022
A single scratch on a Teflon nonstick pan can release
thousands of microplastic particles, study suggests

By Andrea Michelson:a communications coordinator
https://www.insider.com/microplastics-from-nonstick-cookware-may-end-up-in-food-2022-11

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2023年1月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/news/221109_INSIDER_A_single_scratch_
on_a_Teflon_nonstick_pan_can_release_thousands_of_microplastic_particles.html


  • テフロンコーティングが壊れたり傷ついたりすると、数千から数百万のプラスチック粒子が放出される可能性があることを研究が示唆している。
  • コーティングから、マイクロプラスチックと永遠の化学物質としても知られる PFAS が脱落する可能性がある。
  • PFAS への暴露は、肝臓病や腎臓がんなどの健康リスクに関連している。
 焦げ付き防止の調理器具は、以前から有害な「永遠の化学物質」に関連していたが、新しい研究により、フライパンのひとつのひびから漏れるプラスチック粒子の数が明らかになった。

 グローバル環境修復センター(Global Centre for Environmental Remediation (GCER))の研究者らによる研究によると、テフロン コーティングの表面のひとつの傷は 9,000 以上のマイクロ及びナノ粒子を放出し、有害な化学物質で食品を汚染する可能性がある。

 ほとんどの焦げ付き防止調理器具は、微量のパーフルオロアルキル及びポリフルオロアルキル物質類(略して PFAS)を含んでいる。特定の PFAS への暴露は、肝臓疾患、慢性腎臓疾患、高血圧、一部のがんなどの健康リスクを高めることに関連している。

 テフロンでコーティングされた調理器具は、2013 年までは PFOA (パーフルオロオクタン酸) と呼ばれる化学物質を用いて作られていたが、2013 年に画期的な研究で、暴露レベルが高い人で腎臓がんや精巣がんの発生率が高いことが判明した。 現在、テフロンは新世代の PFAS で製造されており、その中には同様の健康リスクに関連しているものもある。

 この研究結果は、テフロン加工のコーティングに小さなひびが入っただけでも、潜在的に有害な何千もの粒子を放出する可能性があることを示している。

 これらの粒子の一部は必然的に食品に含まれるため、キッチンで安全な調理器具を選択することが重要であると研究者らは結論付けている。 セラミックコーティングされた調理器具は、テフロンに代わる PFAS フリーの代替品として人気が高まっている。

 オーストラリアのフリンダース大学理工学部のユーホン・タン教授は、”これは食品汚染を避けるために調理器具の選択と使用に注意しなければならないという強い警告を与えている”と同大学のプレスリリース中で述べた。

キッチンのテフロン調理器具から何百万もの粒子が放出される可能性がある

オーストラリアを拠点とする研究チームは、焦げ付き防止の調理器具から放出される可能性のある粒子を数えるアルゴリズムを開発した。

 彼らのアルゴリズムと分子イメージングを使用して、彼らは食事の調理にかかる時間内に、フライパンの壊れたコーティングから数千から数百万のテフロン マイクロプラスチックとナノプラスチック (最大 230 万) が放出される可能性があると推定した。

 ニューキャッスル大学の研究者であるチェン・ファンは、”PFAS が大きな懸念事項であるという事実を考えると、私たちの食品に含まれるこれらのテフロン微粒子は、調査が必要な健康上の懸念事項である”と上述リンダース大学レスリリース中で述べた。

 キッチンで注意を払うのはなおさらのことであると研究者らは言う。 ほとんどの焦げ付き防止加工のフライパンには、テフロン製の調理器具から潜在的に有害なガスが放出されるのを避けるために、中程度以上に加熱しないようにとの指示がある。



化学物質問題市民研究会
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