News-Medical 2019年2月18日
難燃剤入りソファーを使用している家庭の子どもたちは、
血液中に高濃度の準揮発性有機化合物を持っている


情報源:News-Medical, February 18, 2019
Children from homes with flame-retardant sofa have high SVOC concentration in their bloods
Reviewed by James Ives, MPsych
https://www.news-medical.net/news/20190218/Children-from-homes-
with-flame-retardant-sofa-have-high-SVOC-concentration-in-their-blood.aspx


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年3月2日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/flame_retardants/190218_News-Medical_
Children_from_homes_with_flame-retardant_sofa_have_high_SVOC_concentration_in_their_blood.html

 デューク大学の研究者を中心とする新たな研究によれば、ビニル床材又は難燃剤入りソファーを使用している家に住む子どもたちは、これらの物質が存在しない家の子どもたちに比べて、潜在的に有害な準揮発性有機化合物(SVOCs)をより高い濃度で血液中又は尿中に持っている。

 研究者らは彼らの発見を2019年2月17日(日)にワシントン D.C.で開催されたアメリカ科学振興協会(AAAS)の年次総会で発表した。

 彼らは、難燃剤ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)を詰め物中に含むソファーが居間にある家に住む子どもたちは、血漿中に濃度が 6倍高い PBDEs を持っていることを発見した。

  PBDEs への暴露は、実験室のテストで、神経系発達の遅れ、肥満、内分泌及び甲状腺かく乱、がん、その他の疾病に関連付けられている。

 全面的にビニル床材の家の子どもたちは、ビニル床材を使用していない家の」子どもたちより 15倍高い濃度でフタル酸ベンジルブチル代謝物を尿中に持っていることが発見された。

 フタル酸ベンジルブチルは呼吸器系障害、皮膚炎、多発性骨髄腫、及び生殖障害に関連付けられている。

”準揮発性有機化合物(SVOCs)は、電子機器、家具、及び建材中で広く使用されており、ほとんど全ての屋内環境中で検出することができる”と、デューク大学環境部門ニコラス校の環境化学者であり、研究を率いたヒーサー・ステイプルトンは述べた。”それらへの人間の暴露は広範であり、特に屋内でほとんどの時間過ごす幼児は家庭内ダスト中で見出される化学物質により多く暴露している”。

 ”それにもかかわらず、子どもたちの準揮発性有機化合物(SVOCs)への全体的暴露に対する特定の製品と物質の相対的寄与に関する研究がほとんどない”と彼女は言及した。

 そのギャップに対応するために、2014年にステイプルトンとデューク大学、疾病管理予防センター、及びボストン大学からの同僚らは、190家族の203人の子どもたちを対象に、準揮発性有機化合物(SVOCs)への家庭内曝露の3年間研究を開始した。

 ”我々の主要な目標は、特定の製品と暴露との間の関連を調べることであり、どのようにしてその暴露が起こるのか、・・・呼吸、皮膚接触、又はうっかりしたダスト吸入・・・を決定することである”とステイプルトンは述べた。

 その目標に向かって、研究チームは、ふき取りサンプル、各子どもたちの尿及び血液とともに、子どもたちの家の屋内空気、屋内ダスト、及び家具から採取した充填物(フォーム)を分析した。

 " 我々は、フタル酸エステル類、有機リン類エステル類、臭化難燃剤、パラベン、フェノール、抗菌剤、及びパーフルオロアルキル及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)への暴露の 44 バイオマーカーを定量化した"と、ステイプルトンは述べた。

 テイプルトンは、アメリカ科学振興協会(AAAS)年次総会の科学セッション”Homes at the Center of Chemical Exposure: Uniting Chemists, Engineers and Health Scientists (化学物質暴露の中心としての家)”で、彼女のチームの発見をHomes as Sources of Synthetic Chemical Exposure(合成化学物質の暴露源としての家)として発表した。

 彼女は、環境科学・政策部門研究准教授のケート・ホフマン、研究助手エミナ・ホジック、及びデューク大学博士課程の学生ジェシカ・ルバスール、ステファニー・ハンメル、及びアリソン・フィイリップスらとともに研究を実施した。

出典:https://www.duke.edu/


化学物質問題市民研究会
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