EHP 2011年3月30日 リサーチ・アーティクル
食品容器と
ビスフェノールA及びフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)への曝露
食事管理から得られた結果

アブストラクト

情報源:Environmental Health Perspectives, 30 March 2011
Research Article
Food Packaging and Bisphenol A and Bis(2-Ethylhexyl) Phthalate Exposure:
Findings from a Dietary Intervention
Abstract
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/fetchArticle.action?articleURI=info%3Adoi%2F10.1289%2Fehp.1003170#top

Ruthann A. Rudel,1* Janet M Gray,2,3 Connie L. Engel,2 Teresa W. Rawsthorne,4 Robin E. Dodson,1 Janet M. Ackerman,1 Jeanne Rizzo,2 Janet L. Nudelman,2 Julia Green Brody 1
1Silent Spring Institute, Newton, MA 02458
2Breast Cancer Fund, San Francisco, CA 94109
3Vassar College, Poughkeepsie, NY 12604
4AXYS Analytical Services, Sidney, British Columbia V8L 5X2, Canada

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年4月1日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehp/11_03_ehp_Food_Packaging_BPA.html


エグゼクティブ・サマリー
背景:ビスフェノールA(BPA)及びフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)は、食品容器包装のためのプラスチックと樹脂で使用される(訳注1)高生産量化学物質である。それらは動物といくつかのヒト研究によれば内分泌かく乱と関係している。ヒト曝露源は推定されているが、全曝露に対する摂食曝露の相対的な寄与(割合)は実験的には調査されていなかった。

目的:食品容器包装の曝露への寄与を評価するために、”新鮮な食品”による摂食管理する前、最中、後に、尿中のBPAとフタル酸エステル類の代謝物を測定した。

方法:自己申告ベースで缶詰と容器食品を利用している5家族20人の参加者を選んだ。参加者は彼らのいつもの食事をした後3日間、缶詰又はプラスチック容器に入っていない”新鮮な食品”をとり、その後再び通常の食事に戻った。2010年1月の8日間、夕方の尿サンプルを採取し、摂食管理前、摂食寒露中、摂食管理後に分けて、それぞれを混ぜた。時間を通じての尿レベルの変化を評価するために、繰り返し測定のための混合影響モデルとウィルコクソンの符号順位検定(訳注2)を使用した。

結果:尿中のBPAとフタル酸エステル類の代謝物のレベルは”新鮮な食品”による食事管理中に著しく減少した(例えば、BPA:食事管理前幾何学平均3.7 ng/mL/食事管理中1.2 ng/mL、MEHHP:BPA:食事管理前幾何学平均57 ng/mL/食事管理中25 ng/mL)。食事管理によりBPAの幾何学平均は66%、DEHP代謝物幾何学平均は53-56%減少した。最大減少はBPAが76%、DEHPが93-96%であった。

結論:BPA とDEHP の曝露は、参加者の食事が限定した容器に制限されると著しく減少した。


訳注1:フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)/ウィキペディア
 一般には略号DEHPが使用される化学式C6H4(CO2C8H17)2の有機化合物である。DEHPは可塑剤としてポリ塩化ビニルの製造に広く使用されている。 プラスチックには1%から40%のDEHPが含有される。また油圧油やコンデンサーの誘電体としても利用され、サイリュームの溶媒にも使用されている。
 DEHPは食物や水から吸収される可能性があり、牛乳やチーズから相対的に高いレベルで検出される。またプラスチックに接触することで飲食物等に移動してくる可能性がある。
日本では 2002年に厚生労働省より、食品用の器具や容器包装およびおもちゃについてDEHPを原材料とするポリ塩化ビニルの使用を禁止する通知が出された。

訳注2:ウィルコクソンの符号順位検定/ウイキペディア

訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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