米国立環境健康科学研究所ジャーナル
EHP 2009年4月号 サイエンス・セレクション プールの要因を拡大 ぜん息と水泳の関連を評価するための調査が必要 情報源:Environmental Health Perspectives Volume 117, Number 4, April 2009 Science Selections Widening the Pool of Factors Studies Needed to Assess Asthma-Swimming Link http://www.ehponline.org/docs/2009/117-4/ss.html#wide 関連論文:Environmental Health Perspectives Volume 117, Number 4, April 2009 Childhood Asthma and Environmental Exposures at Swimming Pools: State of the Science and Research Recommendations http://www.ehponline.org/docs/2008/11513/abstract.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2009年4月9日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehp/09_04_ehp_asthma-swimming_link.html 著者らは、プールの周辺での化学物質への吸入暴露を適切に特性化するためにもっと詳細に測定されなくてはならないいくつかの変数を明確に述べた。このレビューは、今日までに調査されている限定された数の消毒副生成物(DBPs)だけでなく、プール周辺におけるもっと多くの数の化学物質の包括的な評価を求めている。以前の疫学調査は重要な消毒副生成物のひとつとして三塩化窒素(トリクロラミン)(訳注3)を示唆していたが、2007年のある調査はプール周辺の大気中に以前は不明であった揮発性消毒副生成物を明らかにした。 プール周辺の化学物質への暴露の頻度と程度もまた調査されなくてはならない。今日までの研究では、プールが屋内か屋外か、特定の消毒処置か、子ども達は水泳をするのか又は単に屋内プールにいるだけなのか、水泳の累積期間、などの単純な指標だけが用いられてきた。しかし、呼吸数と肺に到達する消毒副生成物の量を評価するために、もっと詳細で確認された活動レベルの評価が必要である。これらのデータを得るために、著者らは、今後の調査では参加者らがプールの使用と活動レベルを報告する質問票を使用することを勧告している。 著者らはまた、、国際子どもぜん息アレルギー調査の質問票を用いた厳格で再現性のある方法でぜん息症状を定義する調査の必要性を指摘している。以前の調査はしばしば臨床的診断を用いていたが、ぜん息は単一の信頼性ある診断テスト基準がない不均一の疾病なので、この方法は疫学調査には不十分かも知れない。さらに必要なこととして、ぜん息反応のための新たなバイオマーカーの開発と確認、及び消毒副生成物のレベルを低減する適切なプール管理と消毒のための適切なガイドラインを作成できるよう設計された研究などがある。 著者らはこの研究分野は複合領域の調査を必要とすると結論付けている。重要な化学物質が特定されれば、可能性ある関連性の背後にある酸化ストレス、炎症、肺透過性の変化などのメカニズムの調査が有用かもしれない。しかし、子ども時代の早い時期から始める長期的な前向き調査(prospective studies)がプールと小児ぜん息の関連性をよりよく評価するために必要である。 決定的な調査がないので、著者らは、子どもの暴露は最小にすべきであると述べている。プール管理者は、消毒と消毒副生成物の潜在的な危険性を理解することができるようプール化学についてよく教育されなくてはならない。水泳者の衛生は消毒副生成物の生成と使用される消毒剤の量に影響を与えるので、水泳をする人もまた適切なプール衛生(例えば、水泳前にシャワーを浴びたりプールの中で排尿しないこと)の必要性について教育されなくてはならない。 アンジェラ・スピベイ(Angela Spivey ) 訳注1:ぜん息 訳注2:プールとぜん息に関する報道記事
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