EHN 2018年4月4日
良いニュース:
ニューヨークの子どもたちの血液中の
有害難燃剤は減少している

有害物質の廃止は機能しているが、
検査した全ての子どもたちは
血液中にあるレベルの難燃剤を持っている
ブライアン・ビエンコウスキー

情報源:Environmental Health News, April 4, 2018
Good News: Toxic flame retardants declining in NYC kids' blood
By Brian Bienkowski
http://www.ehn.org/toxics-flame-retardants-decline-in-kids-blood-2555946825.html

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2018年4月6日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_180404_
Good_News_Toxic_flame_retardants_declining_in_NYC_kids_blood.html

 ニューヨーク市の子どもたちに関する新たな研究によれば、子どもたちの血液中の有害難燃剤のレベルは毎年、低下している。

 その難燃剤ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)は、火が付いたときに炎の広がりを遅くするために、家具、電子機器、及び衣類中で数十年間、使用された。それらの化学物質は環境中及び人々の体内に蓄積するので、2004年に自主的に廃止されたが、それらは世界中で、大気中(我々の家の外及び内)、ある食物、及び人々の体内で見いだされる。

 人々はほとんど、汚染された埃を吸入することによりそれらに暴露する。それらの化学物質は、脳発達の阻害、甲状腺ホルモンの異常、暴露した子どもたちの低い知能指数、及びいくつかの出生障害を含む多くの健康問題と関連している。

 1998年から2013年までニューヨーク市の334人の母親とその子どもたちを調査した新たな研究は、子どもたちの血中の PBDEs の減少を示す初めてのものであり、それらの化学物質には残留性があるにもかかわらず、禁止、又は廃止が子どもたちの暴露を低減することができることを示している。

 ”これらの発見は、消費者製品から PBDEs を廃止すべきとする決定を強固にするものである”と、コロンビア大学マイアミ校公衆衛生学の准教授/研究者であり、この研究の共著者であるジュリー・ハーブストマンは述べた。

 2004年の PBDEs の最初の廃止は自主的なものであった。それ以降、いくつかの州が PBDEs を禁止し、米環境保護庁と化学会社は、ほとんど全ての PBDEs を2014年までに廃止することに合意した。

 ハーブストマンと仲間たちは母親の臍帯血と、年齢が 2, 3, 5, 7 及び 9 才の子どもたちの血液を検査した。最も一般的な PBDE 化学物質である BDE-47 (テトラ臭化ジフェニルエーテル)の血中濃度は、毎年、5%減少した。出生後の血液だけに着目すれば、そのレベルは毎年約13%減少した。

 これは廃止することが急激な PBDE 暴露の減少につながることを示した最初のものではない。2016年に研究者らは、サンフランシスコ湾岸地帯の女性の母乳中のこれらの化学物質のレベルが、2006年のカリフォルニア州のこの化合物の禁止後約10年で40%近く低下したことを報告した。

 しかし、マウントサイナイ医科大学の小児環境健康研究フェローであるこの研究の主著者ウィットニー・コウェルは、過度の楽観を警告した。それらの化学物質は、”市場から排除されてからほとんど10年経過しても、小さな子どもたちの血液から検出され続けている”と、彼女は声明の中で述べた。

 彼らは臍帯血サンプルの80%に、及びテスト対象の2歳から9歳までの子どもたちの全てのサンプルから PBDEs を検出した。彼女はまた、 PBDE の廃止が始まって以来、科学者らは子どもたちの血液中に代替化学物質を見つけているということを指摘した。

  PBDEs は他の化学物質によって代替されているので、 PBDEs で汚染された製品は廃棄されて埋め立て地に集まるようになり、それらの化学物質は従来に比べてより多くに給水系に漏れ出し、そのことは人間への暴露経路が埃から摂食に移行するきっかけとなり得ると、彼らは書いている。

  ウェブ上の関連記事:
Childhood Intelligence Harmed by Flame Retardant Exposure, Study Shows (Newsweek, April 4, 2018)



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