EHN 2013年12月10日
過フッ素化合物と母乳及び
女性の閉経期についての調査

解説:EHN スタッフ

情報源:Environmental Health News, Dec 10, 2013
Perfluorinated chemicals studied in breast milk, menopausal women.
Synopsis by EHN Staff
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/2013/12/pfcs-in-breast-milk-and-menopause/

オリジナル:Mondal D, RH Weldon, BG Armstrong, LJ Gibson, MJ Lopez-Espinosa, HM Shin, T Fletcher. Breastfeeding: A potential excretion route for mothers and implications for infant exposure to perfluoroalkyl acids. Environmental Health Perspectives. 2013. http://ehp.niehs.nih.gov/1306613/

Taylor KW, K Hoffman, KA Thayer, JL Daniels. Perfluoroalkyl chemicals and menopause among women 20-65 years of age (NHANES). Environmental Health Perspectives. http://ehp.niehs.nih.gov/1306707/

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年12月15日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_131210_PFCs_breast_milk_menopausal.html


 女性の体内の過フッ素化合物についての二つの研究が懸念を提起している。一番目は、赤ちゃんへの授乳が長ければ、それだけ赤ちゃんの血中の過フッ素化合物のレベルが高くなる。二番目は、女性の体内の過フッ素化合物のレベルが高ければ、早期の閉経と関連する。

 研究者らは、授乳と幼児の体内の過フッ素化合物との関係を初めて定量化した。この研究では赤ちゃんへの授乳が長ければ、それだけ赤ちゃんの血中の過フッ素化合物のレベルが高くなる。

 他の研究が、こげつき防止鍋や防汚材を作るために使用される過フッ素化合物(PFCs)の母乳中の存在を報告しているが、これらの化学物質の母親から幼児への移動量を検証しているものはほとんどない。

 ロンドン医学校衛生熱帯医学部の研究者らに率いられた科学者らは、そのレベルは”非常に低い”ので、女性は赤ちゃんへの授乳を止めるべきではないと述べた。

 ”授乳は授乳中の母親にとって重要な排泄経路であり、赤ちゃんにとっては暴露経路であるが、ほとんどの人々にとってそのレベルは非常に低くく、母乳は赤ちゃんにとって最適な食料であるということに留意することが重要である”と、オンライン Environmental Health Perspectivesに発表された研究の著者らは書いている。

 血液は3.5歳未満の赤ちゃんを持つ633人の女性と、49人−概略8%−の幼児から収集された。女性たちは、ウェストバージニアにあるデュポン工場の近くの汚染された飲料水の健康影響を調査するために実施され調査であるC8健康プロジェクトに参加した。

 研究者らは、1か月の授乳で母親のペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルフォン酸(PFOS)の血中濃度が3%減少し、ペルフルオロノナン酸(PFNA)が2%減少することを調べた。調査対象の女性の平均授乳期間は3.5か月であった。

 1か月の授乳で幼児のPFOAレベルは6%高くなり、PFOSレベルは4%高くなった。

 女性のレベルの減少は汚染物質のレベルが高い食物や飲料水を避けている女性たちに起因したこと無視することはできなかった。この集団中の女性の過フッ素化合物(PFCs)のレベルは、調査が実施された2005年−2006年以来下がっている。

 過フッ素化合物はホルモンをかく乱することができるが、幼児への潜在的な健康影響は不明である。C8健康プロジェクトにおける以前の研究は、胎児期及び出生後早期のPFOA曝露と子どもの先天異常又は精神発達障害との間の起こりそうな関連性は見つけていない。

 他の科学者らによるもうひとつ調査は、過フッ素化合物(PFC)曝露と早期閉経との関連性を示唆する多くの研究に新たに加わるものである。

 研究者らは、全国的なサンプル中の20歳から65歳までの2,732人の女性のPFCレベルと閉経に関するデータを分析した。

 科学者らは年齢とその他の要因を調整した後、”PFCsのレベルが高い女性は、最低レベルの女性に比べて閉経期が早い”ことをオンライン Environmental Health Perspectivesに発表された研究が報告している。今までに閉経期との関係が調査されたことのないペルフルオロノナン酸(PFNA)とペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とともに、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)が含まれている。

 ”我々の発見の一貫性と堅固さは、基礎をなすそれらの関係のメカニズムは未知ではあるが、PFCsと閉経期との間に関係があることを示唆している”と、国立環境健康科学研究所とノースカロライナ大学の研究者らは書いている。

 しかし、過フッ素化合物(PFCs)が早期閉経に寄与しているのか、又は閉経が高いレベルのPFCsに貢献しているのか明確ではない。これらの化合物は生理中に体から排出されるのかもしれないと研究者らは述べた。

 早期閉経はまた、心臓疾患や心臓発作の高いリスクを含んで、健康影響と関係していた。女性の自然な閉経の平均年齢は49歳であった。

 PFCレベルはまた、この調査の中で子宮摘出と関連していた。ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)のレベルが最も高い女性は、PFHxSのレベルが最も低い女性に比べて3.5倍以上、子宮摘出を受けていた。 PFOA と PFOS のレベルが高い女性もまた、若干多く子宮摘出を受けていた。

 以前の研究は、飲料水中のPFOAの高いレベルは、少女の思春期の始まりの遅れと早期の閉経とに関連していることを発見した。

 


化学物質問題市民研究会
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