EHN 2013年8月8日
BPA は、人間の卵子の発達阻害に関連する

情報源:Environmental Health News, Aug 08, 2013
BPA linked to errors in human egg development
Synopsis by John Peterson Myers
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/2013/08/2013-0802bpa_and_meiosis/

オリジナル:Machtinger, R, CMH Combelles, SA Missmer, KF Correia, P Williams, R Hauser and C Racowsky. 2013. Bisphenol-A and human oocyte maturation in vitro. Human Reproduction 28(8) http://dx.doi.org/10.1093/humrep/det312

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年8月10日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_130808_BPA_human_eggdevelopment.html


 人の卵子についての新たな研究が、ビスフェノールAは卵子が完全に発達するのを阻害し、不妊をもたらしているかもしれないことを示した。この影響は通常、女性の卵巣中で検出されるレベルよりも低い用量で見いだされた。

 試験管内受精の過程で廃棄された人の卵子を観察していたボストンの科学者らは、ビスフェノールAは、卵子が成熟する能力に影響を与え、染色体の組織と配列を乱すことを発見した。これは人の卵子に及ぼすBPAの影響を調べた最初の研究である。

 成熟中のマウスの卵子へのBPAの影響を発見したが、この新たな研究には関与しなかった科学者、パトリシア・ハントによれば、これらの影響は生殖能力を低下させ、流産やダウン症候群のような染色体損傷に関連する状態に関係する。

 この結果は、増大している男性及び女性の不妊の証拠に関連しているかもしれない。

 これらの影響のあるものは、テストされた非常に低いレベルで統計的に有意であり、それは研究者らが女性の卵胞中の体液で測定した範囲内にあった。卵子は通常、卵胞中の体液に浸っている。

 ”BPA用量が増大すると、細胞の有糸分裂第U期(metaphase II)に進展する卵母細胞の割合が減少し、退化する卵母細胞の割合が増大する”と著者らは書いている。

 121人の352の卵子をテストした著者らは、”もっとたくさんの卵子による追加的な研究が今回の結果を確認するために必要である”と書いている。彼らは、”臨床的に廃棄されたれ卵母細胞”だけを利用したので、女性の体内で成熟しなかった卵子を評価したことになる。

 米・疾病管理センター(CDC)は、アメリカ人の90%以上は尿中に検出可能なレベルのBPAが存在していること報告している。ある種の領収書、缶づめ内面やポリカーボネート食器などを含む様々な製品中でこの化学物質が広範に使用されていることによりBPA暴露が生じている。米・食品医薬品局(FDA)は赤ちゃん用哺乳ビンとシッピー・カップ及び乳児用調製粉乳の容器でのBPAの使用を禁じている。2012年には、フランスでFDAに相当する”フランス・食品環境労働安全衛生機関”が全ての食品接触材料でのBPAの使用を禁止した。

 


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る