EHN 2013年7月18日
防汚剤は妊娠中の高血圧に関係する

情報源:Environmental Health News,July 18, 2013
Stain-resistant chemicals linked to high blood pressure during pregnancy
Synopsis by EHN Staff
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/2013/07/pfos-pfoa-hypertension-pregnancy/

オリジナル:Darrow, LA, CR Stein, K Steenland. 2013. Serum perfluorooctanoic acid and perfluorooctane sulfonate concentrations in relation to birth outcomes in the mid-Ohio Valley, 2005-2010. Environmental Health Perspectives. http://1.usa.gov/1aMI1F8

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年7月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_130718_PFOA_PFOS_high_blood_pressure.html


 ウェスト・バージニア州とオハイオ州で、消費者製品に防汚性及び防水性をもたせるための化学物質に高いレベルで曝露した人々の分析で、母親のこれらの化学物質への曝露は、妊娠中の高血圧に関係していることがわかった。

 母親のPFOA(パーフルオロオクタン酸)及びPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)のレベルは、妊娠誘発高血圧症を経験する確立の増大と関係していた。

 妊娠中の高血圧は母親と子どもにとって生涯の脅威となり得る。それは胎児が十分な血液を受けるのを阻害し、出生時の低体重をもたらすことがある。胎盤にも異常が生じて、その結果、母親に重大な出血をもたらす。発作、一時的な腎臓障害、肝臓と血液凝固障害もまた母親によく起きる。

   この研究では、PFOS と PFOA は、ウェスト・バージニアにあるデュポン社のワシントン・ワークス工場の近く、ミド−オハイオ バレーに住む1,330人の妊婦の血中から測定された。この工場は1951年以来フルオロポリマーの製造にPFOAを使用した。

 工場の下流側の地域の飲料水は高いレベルのPFOAを含んでいる。そこの成人は、一般的なアメリカ人に比べて血中のPFOAレベルは約20倍高い。この新たな調査は、過フッ素化合物による人の健康影響を検証するためのものであり、デュポン社に対す集団訴訟の和解金による大きなプロジェクトの一部である。

 この調査の女性は全て2005年から2010年の間に出産しており、そのうち106人又は6.5%は妊娠誘発高血圧症であった。PFOSの対数単位が増加する毎に女性が妊娠誘発高血圧症になる確率は47%増加し、PFOAについては27%増加した。

 この調査における出産の大部分は、母親の血液サンプルが採取された後にあり、この調査は初めての曝露とその後の出産結果の前向き評価になった。

 この調査は、これらの化学物質と流産、あるいは出生時低体重との関係は見出さなかった。しかしこの調査はPFOSの増大に関連して、統計的に優位ではないが、中程度の正期産新生児の出生時体重の減少を見出した。他の集団での以前の研究は、もうすぐ生まれる胎児の胎内でのPFOS曝露は、暴露が低い赤ちゃんよりも体が小さいことを関連付けた。この新たな発見は、他の調査で報告されていることとほぼ同等であるとこの研究の著者らは書いている。

 PFOS と PFOA は、防水及び防油の用途で使用される環境中で残留性のある合成化学物質である。3M社により製造され、スコッチガードに使用されたPFOSは、2001年に廃止されたが、関連する過フッ素化合物は環境中に留まっている。PFOA は、テフロンで使用さているが、これもまた廃止されつつある。

 PFOAへの曝露は多くの健康影響と関連付けられてきた。それらには、甲状腺障害、高コレストロール、肝臓障害の初期症状、精巣がん及び腎臓がん、及び妊娠誘発高血圧症と子癇前症などがある。PFOS への曝露は男性及び女性の不妊、ワクチン効果の減少、甲状腺ホルモンのかく乱、及び子どもの注意欠陥多動症と関連がある。

 


化学物質問題市民研究会
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