EHN 2011年2月7日
新たに判明した食品容器からしみ出す化学物質の規制

情報源:Environmental Health News, February 7, 2011
Newly identified chemicals leach into food packages, pose regulatory challenge
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/ed-chemicals-leach-into-food-pose-regulatory-challenge/
Synopsis by Emily Barrett

オリジナル論文:
Muncke, J. Endocrine disrupting chemicals and other substances of concern in food contact materials: An updated review of exposure, effect and risk assessment. Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology http://dx.doi.org/10.1016/j.jsbmb.2010.10.004.

訳:安間 武(>化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年2月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_110207_chemicals_food_packages.html


 食品容器に一般的に使用されるプラスチックは大きな健康ハザードもたらすかも知れないのに、食品安全の観点から見過ごされている問題である。

 新鮮な果物や野菜を食べると余分な脂肪や塩分、カロリーを減らすことが出来るが、それ以外にも加工された食品より生の食品を選択する理由がある。

 容器に使用されるプラスチックとラップ非意図的にに望ましくない化学物質が食品中にしみ出すことがあるという証拠が増大している。最近のいくつかの研究が、人又はペット用の缶詰食品中で、ホルモンかく乱作用がある環境化学物質ビスフェノールAを高レベルで検出している。

 今回、もうひとつの研究が、ひとつのだけの要員又はひとつだけの健康影響の範囲を超えて問題となることを示唆している。容器から食品に移動することが出来る多くの有害化学物質の中には、内分泌かく乱作用のあるフタル酸エステル類や有機スズ、発がん性ベンゾフェノンなどがある。これらの化合物は食品容器に大量に使用され健康影響が知られているが、食品中では定期的にテストされたり規制されることはない。

 安全な食品容器を保証するいくつかの規制は存在するが、現状のシステムは内分泌かく乱化学物質による懸念には目を向けていない。ホルモンかく乱成分への曝露に関連する健康影響は、免疫障害、代謝障害(糖尿病、甲状腺)、生殖系の問題など、数多くあり、また多様である。

 多くの他の有名な規制の欠陥には、複合曝露のテストが行なわれず、発達中の胎児、子ども、成人、老人など異なる集団への影響の理解が欠如していることが挙げられる。

 現在、化学物質毒性テストは、成分が食品中であるレベルに達する時にだけ求められる。アメリカでは、それは一般的毒性については0.5ppbであり、生殖毒性については1ppmである。

 しかしこのガイドラインは、全体を合わせた数や毒性、すなわち容器からしみ出す全ての化学物質の単独又はそれらの組み合わせについては考慮していない。化学物質が混合すると、個々の健康影響は拡大されるかも知れない。印刷、インク、接着剤、リサイクル基板、プラスチック容器は全て、望ましくない化学物質を加算的又は相乗的効果を持った混合物として、あるひとつの食品製品中にもたらすことがありえる。

 さらに、化学物質は時間が経つと分解する又は新たな物質を形成し食品中に移行するかもしれない。これらは、それを特定しテストすることは不可能なので測定することは全く出来ない。

 子どもたちには特にリスクがある。体がまだ発達中であり、環境負荷に脆弱であるのみならず、子どもたちは容器食品を食べる傾向があり、成人より体重当り特定の食品や多くの食品を摂取するからである。妊婦や胎児、そして肥満した成人にも同様な懸念があるが、それは、肥満の人はスリムな人とは異なるプロセスで化学物質を処理するかもしれないからである。

 缶詰食品や容器入り食品、加工食品中で見出される広範な化学物質を特定し、特に子どもや妊娠可能年齢の女性の曝露を減らすために、もっと厳格で広範な規制やテストプログラムが必要かもしれない。



化学物質問題市民研究会
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