MDPI 2021年5月18日
フタル酸エステル類と
それらの人の健康への影響

Yufei Wang and Haifeng Qian

情報源:MDPI 18 May 2021
Phthalates and Their Impacts on Human Health
by Yufei Wang 1,2 and Haifeng Qian 1*
1 College of Environment, Zhejiang University of Technology, Hangzhou 310032, China
2 School of Public Health and Preventive Medicine, Monash University, Melbourne 3000, Australia
https://www.mdpi.com/2227-9032/9/5/603/htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年6月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/Phthalates/
210518_MDPI_Phthalates_and_Their_Impacts_on_Human_Health.html


概要

 フタル酸エステル類は、広く使用されている一連の化学物質であり、内分泌かく乱物質であることが示されており、人の健康に有害である。フタル酸エステル類は、製造、包装、または配送中にプラスチックと接触するほとんどの製品中に見出すことができる。体内組織での半減期は短いが、フタル酸エステル類への慢性的な暴露は、内分泌系と複数の臓器の機能に有害な影響を及ぼし、そのことは、妊娠の成功に、子どもの成長と発達に、及び幼い子どもと青年の両方の生殖系に、長期的に悪影響を及ぼす。
 いくつかの国では、ある種のフタル酸エステル類に対して制限と規制を設けているが、我々は、もっと多くの国が、健康上のリスクを減らすために、フタル酸エステル類の制限または代替措置を確立する必要があると考えている。この記事の目的は、フタル酸エステル類が人間の健康に及ぼす悪影響を要約し、毒性メカニズムを分析し、リスクを評価し、最終的に一般市民のフタル酸エステル類への暴露を減らすための実行可能な戦略を提供することである。
キーワード: リスク評価;内分泌かく乱物質;プラスチック;健康への影響;子どもの成長

1. はじめに

 プラスチックは 1907年の発明以来、社会に大きな恩恵をもたらしてきたが、一方で環境や健康への悪影響も多く、世界的な問題となっている。人々は、汚染食品、包装浸出液(例えば飲料ボトルや医療機器など)、マイクロプラスチックを含む大気中の降下物や都市のほこり、身体手入れ用品(PCP)(例えば化粧品の包装など)、合成繊維衣類をなど介して、常にプラスチックにさらされている [1][2]。プラスチックに長期間さらされると、必然的に多くの有害物質が浸出する。最も懸念されるのは、フタル酸エステル類、ビスフェノール A (BPA)、及びポリ塩化ビフェニル (PCB) である。これらの物質は、正常なホルモン作用を妨げる内分泌かく乱化学物質 (EDCs) として特定されている [3][4]。

 フタル酸エステル類は一連の化学物質で、主に軟化効果のためにポリ塩化ビニル (PVC) プラスチックに添加される可塑剤として使用される。フタル酸エステル類は、内分泌系を混乱させる可能性がある [5]。フタル酸エステル類が発育と生殖系に有害な影響を与えるという健康上の懸念は、ここ数十年で提起されている[6]。大人と比較して、子どもはフタル酸エステル類への暴露に対して、特に初期の成長期において、はるかに脆弱で敏感である [7]。このレビューは、フタル酸エステル類が人間の健康、特に子どもに与える影響、フタル酸エステル類のメカニズムとリスク評価を要約し、フタル酸エステル類への公衆の暴露を減らすための実行可能な戦略を提供することを目的としている。

2. フタル酸エステル類の利用と暴露経路

 フタル酸ジエチルヘキシル (DEHP)、フタル酸ジブチル (DBP)、フタル酸ジエチル (DEP)、フタル酸ジイソノニル (DiNP)、フタル酸ジイソデシル (DiDP) などのフタル酸エステル類は、主にプラスチック産業でポリ塩化ビニル(PVC)を生産するために可塑剤として使用されている。フタル酸ジメチル (DMP) やフタル酸ジエチル (DEP)などの短鎖の低分子量フタル酸エステル類も広く生産され、身体手入れ用品 (例えばヘア製品など)、医薬品及び医療機器 (例えば医療用チューブなど) などの多くの産業で使用されている[表1]。 DEHP の世界的な消費量は 307 万トンと推定されている (可塑剤の世界需要は増加し続けている。2017 年)。 2020 年のフタル酸エステル類の推定世界市場は 100 億米ドルに達すると予想されており、依然として可塑剤で広く使用されてる [8]。

表1.一般的なフタル酸エステル化合物

 プラスチック廃棄物は、政府及び規制機関による精査を受けている。世界のプラスチックは、年間 300 万トン以上のフタル酸エステル類を消費している[9]。フタル酸エステル類は環境中に広く存在しているため、廃プラスチックから浸出するフタル酸エステル類への人間の暴露は事実上避けられない。

 たとえば、中国では、プラスチックの使用量が 2003 年から 2011 年までの 8 年間で 3 倍になり、5,000 万トンを超える原材料プラスチックが生産され、その後も増加し続けると推定されている[9]。その結果、プラスチックの使用率が高い中国では、フタル酸エステル類への比較的高い暴露が見られた。米国では、毎年 3億4,000万ポンド(154,000トン)以上のフタル酸エステルが消費されており、潜在的な健康及び環境リスクを引き起こしている [10]。

 フタル酸エステル類は、食品、水、及び人体に直接適用されるその他の製品に容易に浸出する。健康と環境への有害な影響は、社会への影響の程度を評価するためにますます研究されている。フタル酸エステル類の重要な暴露経路は、主に身体手入れ用品(PCPs) を介した摂取、吸入、皮膚接触の可能性がある [9]。一部の乳製品、魚、魚介類、油には、高レベルのフタル酸エステル類が含まれていることがわかっている。フタル酸エステル類製造工場の近くに住む住民にとって、フタル酸エステル類は、皮膚からの吸収や漏えい排出による汚染された空気によって体内に侵入する可能性が高い [10]。

 フタル酸エステル類は、半揮発性有機化合物 (SVOC) である。 DEHP と DBP は、室内空気中と室外空気中の両方のフタル酸エステルの主な化合物である [11]。フタル酸エステル類を含む身体手入れ用品(PCPs)を毎日使用することでも、プラスチック包装を介して皮膚からの吸収が起こる。乳児は、母親が DEHP 及び DiNP に暴露された状態で母乳を飲んだり、DEHP、DBP、及び BBP を含むおもちゃを吸ったりすることによって、フタル酸エステル類に暴露される [10]。フタル酸エステル類は、胎児の主要な暴露経路である胎盤血液関門を通過することもわかっている[12]。

3. フタル酸エステル類の体内代謝

 フタル酸エステル類の生物学的半減期は約 12 時間と短いため[13]、人体における生体代謝は非常に迅速である。図 1 (オリジナル論文の Figure 1. The metabolic pathway for phthalates 参照)は、代謝パターンを示している。

 代謝の最初のステップは、細胞に吸収された後の加水分解(hydrolyzation)である。 2 番目のステップは、親水性グルクロン酸抱合体を形成するための抱合である。これは、酵素ウリジン 5'-ジホスホグルクロニルトランスフェラーゼによって触媒される [14]。

 フタル酸エステル類の種類は、体内での毒性学的運命を決定する。短い分岐のフタル酸エステル類は、しばしば加水分解されてフタル酸モノエステルになり、その後尿中に排泄されるが、長い分岐のフタル酸エステル類は、主にヒドロキシル化や酸化などのいくつかの生体変換を受け、その後、フェーズ 2 共役化合物として尿と糞便中に排泄される [15]。

 たとえば、複雑な分岐鎖を持つ DEHP は、モノ (2-エチルヘキシル) フタレート (MEHP)、モノ (2-エチル-5-ヒドロキシヘキシル) フタレート、モノ (2-エチル-5-オキソヘキシル) フタレート、 モノ (2-エチル-5-カルボキシペンチル) フタレート (MECPP)、モノ (2-カルボキシメチルヘキシル) フタレート (MCMHP) 又はその他の代謝物に加水分解される。

 上記の DEHP の代謝物は、血清中にも見られる。動物実験によると、MEHP への暴露は雌のゼブラフィッシュに生殖機能障害を引き起こし、これはおそらく内分泌活動の変化 (コルチゾール レベルの上昇) によるものである [16]。さらに、半減期と分布パターンによると、以前の研究では、尿中の MECPP と血清中の MCMHP が適切なバイオマーカーとして使用できることが示された [14]。

 フタル酸エステル類とその代謝物のほとんどは尿と糞便中に見られるが、一部のフタル酸エステル類化合物 (例えば DEHP) とその代謝物は汗からも排出される [17]。 Wittassek と Angerer は、DEHP の酸化的代謝が加齢に関係していることを発見した。 6〜7 歳の年少の子どもは、19〜90 歳の成人よりも、代謝物のひとつであるフタル酸モノ (2-エチルヘキシル) (MEHP) と比較して、より多くの酸化 DEHP 代謝物を排出した [18]。

図 1. フタル酸エステル類の代謝経路(ここをクリック)

4. フタル酸エステル類の毒性とリスク評価

 げっ歯類の研究では、フタル酸エステル類の急性毒性は低く、半数致死量 (LD50) は 1 〜 30 g/kg 体重であり、その毒性は主に肝臓、腎臓、甲状腺組織、及び精巣に集中している [6]。動物と人間の生殖と発達に対する悪影響の証拠は十分にある。妊娠動物の実験によると、DBP 100 mg/kg 体重/日への暴露は胎児の発育に有害である [6]。

  DEHP のヒトへの無毒性量(NOAEL)は 4.8 mg/kg 体重/日であり、1 日あたりの耐容摂取量 (TDI) は 48 μg/kg 体重である [19]。研究では、DEP などの低分子フタル酸エステルが、口腔及び鼻腔の皮膚、結膜、及び粘膜を急性刺激する可能性があることがわかった [20]。

 フタル酸エステル類への暴露は、げっ歯類の出生前死亡率の増加、成長及び出生時体重の減少、骨格、内臓、及び外面奇形などの発達への悪影響に関連しています [6]。オスのラットを使った実験では、思春期の低用量の DEHP への暴露に対して、神経系がかなり敏感であることがわかりました[21]。

 フタル酸エステル類が人間に与える影響は、遺伝子発現から生理学的変化までさまざまである。高分子量のフタル酸エステル類への暴露は、インプリントされた遺伝子(刷り込み遺伝子)のメチル化状態を引き起こすことがわかっており、これはアンドロゲン反応、エストロゲン反応、タンパク質分泌、及び精子形成に直接関係している可能性がある [22]、[23]。

 ヒトの疫学研究は、フタル酸エステル類への暴露と、女性と男性の両方における有害な生健康結果、例えば、II型糖尿病とインスリン抵抗性、過体重/肥満、アレルギー、ぜん息との有意な関連を示している、[24]。

 すべてのフタル酸エステル類の中で、DEHP が最も頻繁に検査され、フタル酸ジ-n-オクチル (DnOP) の濃度が最も高い牛肉を除いて、食品中で最も高濃度であった[25]。家庭の粉塵では、DEHP (室内空気中の汚染レベルの中央値 400-700 ng / m3、最大 410,000 mg / kg) が高濃度で検出されている [6]。DEHP は、インスリン抵抗性、収縮期血圧の上昇、及び早期閉経、低出生体重、流産、早産などの生殖系の問題と有意に関連していることが明らかになっている[4]。

2003 年から 2004 年の間に、国民健康栄養調査 (NHANES) は、米国民がフタル酸エステル類に広く暴露していることを明らかにした [26]。 身体手入れ用品(PCP 石鹸や化粧品など)の頻繁な使用により、女性は男性よりも高いレベルで暴露されていることがわかった[26]。系統的レビューとメタアナリシスは、フタル酸エステル代謝物 MBzPと MiBPが女性の乳がんと負の関連があると結論づけた[27]。

 化学物質のリスク評価には、実際の暴露レベルと許容可能な暴露レベル、主に耐容一日摂取量(TDI 値)との比較が含まれる。しかし、フタル酸エステル類は、個々に異なる TDI を持つ化学物質のグループであるが、代謝物や人体への影響は類似している。したがって、累積リスク評価は、ハザード比 (HQ) をハザード指数 (HI) として合計することによって提示されるフタル酸エステル類のリスクを測定するのにより適切である。

 ソエボルグらは DEHP、DBP、BBP、DINP、DIDPA を含む 5 つのフタル酸エステルの HQs と HIs を測定したところ、DEHP と DBP が HI の最大の割合を占めていることがわかった。 全国健康栄養調査( NHANES )のデータによると、妊婦の 10%の HI 値が 1を超えており、これは妊婦の 10%がフタル酸エステル類による悪影響を受けていることを意味する。一方、未来の家族のための研究(SFF)は、幼児の 4〜5%の HI 値が 1 を超えていることを発見した[28]。

5. フタル酸エステル類の子どもたちへの影響

 子どもへの影響に関しては、フタル酸エステル類の毒性に関する疫学研究は、妊娠の結果、性器の発達、精液の質、思春期早発症、甲状腺機能、呼吸器症状、神経発達に焦点を当てている[29]。表 2 は、子どもの健康への影響をまとめたものである。

表2 子どもたちへの健康影響

分類健康の懸念
内分泌系 体重(太りすぎと肥満)と身長
II型糖尿病とインスリン抵抗性
甲状腺機能と甲状腺がんのリスク増加
より高い収縮期血圧
肛門性器間距離
思春期早発症
男性:生殖器の発達、精液の質
女性:妊娠の結果(流産と早産、低出生体重)、生殖ホルモン(黄体形成ホルモン、性ホルモン結合グロブリン、早期閉経を含む )
その他 呼吸器系:アレルギーと喘息
神経系:神経発達の遅延、社会的障害

 疫学研究の中で、フタル酸エステル類への暴露は、生殖ホルモン (黄体形成ホルモン、遊離テストステロン、性ホルモン結合グロブリン) のレベル、肛門性器間距離、及び甲状腺機能に悪影響を与えることが明らかになった [29]。甲状腺機能の変化は、甲状腺がんに関連していることがわかっている [30]。最近の中国の研究では、フタル酸エステル類への暴露はアルギニンとプロリンの代謝の乱れに関係しており、学齢期の子どもたちの過体重と肥満を引き起こしていると結論付けている[3]。

 20 歳の出生コホート研究では、出生前のフタル酸エステル類への暴露が、乳児期の身長及び体重と負の相関関係にあり、小児期の身長と正の相関関係があることがわかった [32]。別の前向き研究では、DiDP が 5 歳未満の男児の呼吸器系の健康に関連していることが示された [33]。フタル酸エステル類も、BPA と同様に、子どもの社会的障害に関連していることがわかっている [8]。

 以前の研究では、乳幼児がポリマー玩具に接触すると、5〜44 μg/kg 体重/日の DiNP のレベルにさらされる可能性があることがわかっている[6]。その後の研究では、子どもの約 20% が DEHP 及び DBP の累積 TDI よりも高いレベルのフタル酸エステル類に暴露していることが報告されている [18]。国立衛生統計センター (NCHS) によると、2013 年から 2014 年にかけて、6 歳以上のフタル酸エステル類の検査の半分以上が DEHP の陽性結果を示し、ほぼすべての女性と子どもが DBP 代謝物を持っていた [10]。

 オーストリアでは、フタル酸エステル類の TDI 値の超過は子どもの間でほとんど観察されておらず、一方、成人の TDI ベースの HI の超過はまれなケースであった [34]。カリフォルニア (米国) の空気及び粉塵中のフタル酸エステル類を測定した研究では、82〜89%の子どもが DBP に暴露し、生殖健康のベンチマークを超え、2 歳未満の子どもの 8〜11%ががんのベンチマークを超える DEHP に暴露していることがわかった [35]。

 中国で実施された研究では、フタル酸エステル類への暴露による累積リスクは、ドイツやデンマークでの報告と比較して、フタル酸エステル類への暴露は3〜6 歳の就学前児童の方が高いので、高いことが分かった [36] [37]。

 中国では、米、野菜、小麦粉が DEHPの主な供給源である[38]。 Xu(徐)らは、フタル酸エステル、主に DEHP、DnBP、および DiBPは、一般的に使用されるプラスチック製配送用バッグに存在することを報告し、これらのバッグがフタル酸エステルへの人々への現在の主な曝露源である可能性を示唆している[39]。

 さらに、プラスチック温室で栽培された野菜の摂取により、子どもは大人よりも高い(ほぼ3倍)DEHPおよび DnBP に曝露をした[40]。 脂肪を含む食品(乳製品や肉など)は、包装からフタル酸エステル類を吸収する可能性が高い。 文献のレビューから、暴露経路は食品、空気、またはフタル酸エステルを含む製品に依存すると考えられる。

6. フタル酸エステル類の制限

 世紀の変わり目以来、フタル酸エステル類への制限が多くのアジア及び西欧諸国で提案された[表3。 2001 年に、日本はおもちゃでの DiNP と DEHP 及び食品取り扱い用手袋での DEHP を禁止した [41]。 2007 年以降、ヨーロッパでは、すべての玩具及び育児用品のすべての塩化ビニル( PVC )及びその他の可塑化材料での DEHP、DBP、及び BBP が禁止され、子どもの口に入れることができる製品の DiNP、DiDP、及びフタル酸ジ-n-オクチル (DnOP) が禁止された。 [42]。

 最近、フタル酸ジイソブチル (DiBP) が 2018 年に EU 28 か国で制限に追加された[43]。 2008 年、米国議会は消費者保護安全法 (CPSA) を発表し、DEHP、DBP、及び BBP を重量で 0.1%以上含む製品、特に子どものおもちゃや育児用品を永久に禁止した [44]。オーストラリアはまた、1% 以上の DEHP を含み、生後 36 か月までの子どもが噛んだり、吸ったりする可能性のある特定の製品を禁止した [45]。この禁止は、おもちゃや育児用品のほか、食品容器や調理器具にも適用された。

 フタル酸エステル類の最大の製造国であり消費国である中国、及びカナダからの輸出製品にも同様の制限が発表されている。 2017 年の中国の最新のフタル酸エステル規制では、食品、食品容器、及び包装材に 16 のフタル酸エステルの検出制限が設定された (GB 5009.271-2016、GB / T 21928-2008、GB 9685-2016、GB 15593-1995)。輸血 (輸液) 装置で検出される溶存 DEHP は、10 mg / mL 以下でなくてはならない (GB 14232.1-2004 / ISO 3826-1、GB 24613-2009)。世界中の 100 を超える医療機関が PVC とフタル酸エステルの使用を減らしていると報告されている [46]。

表3 日本、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、中国での制限

制限
日本[41]DiNP と DEHPはおもちゃで禁止。DEHP は食品取り扱い手袋で禁止。
欧州[42][43]DEHP、DBP、DiBP、及び BBPは、全ての PVC 及び可塑化玩具及び育児用品で禁止。 DiNP、DiDP、及び DnOPは、子どもの口に入れることができる製品で禁止。
アメリカ[44]DEHP、DBP、及び BBPを0.1重量%を超えるレベルで含む製品、特に子どもの玩具、及び育児用品は禁止。 子どもの口に入れることができる子ども向け製品、または 0.1%を超える DiNP、DiDP、及び DnOPを含む育児用品は禁止
オーストラリア[45]DEHPを含む、又は 1重量%を超える成分を含む子ども用プラスチック製品は禁止。
中国DNP、DnOP、DEHP、DiNP、DiBP、BBP などを含む 16のフタル酸エステル類は食品および食品容器で制限。 輸血(点滴)装置に溶解した DEHPは 10 mg / mL未満に制限。育児用品の DEHP、BBP、DBP の合計量は 0.1%以下。

7. 戦略的推奨事項

 現在の証拠と研究は、フタル酸エステル類への暴露を減らすためのさらなる制限と戦略の必要性を示唆している。実行可能な戦略は次のとおり。

(1)リスクの高い製品については、必要に応じて制限を再評価し、適用する。 DEHP、DBP、BBP、DiNP、DiDP、DnOP、及び DiBP は現在、多くの国で特定の製品で制限されており、フタル酸エステル類への暴露を減らすのに役立つ可能性がある。現在、フタル酸エステル類の規制を適用していない国で同様の制限が適用された場合、暴露はより少なくなる。
 食品包装、身体手入れ用品(PCP)、医療機器、乳幼児、子ども、若者が吸い込んだり摂取したりする可能性のある製品など、フタル酸エステル類への曝露のリスクが高い製品は厳密に制限する必要がある。妊娠中の女性や授乳中の女性も脆弱なグループとして特定されているため、そのような特定のグループの人々に接触する製品には厳しい基準を課す必要がある。

(2)特に医療業界では、毒性や漏れが少ない代替フタル酸エステル (Phthalate alternatives / PA) も検討する必要がある。環境中への DEHP の浸出は制御できないが、DEHP を含まない代替品を使用することで回避できる [47]。最も頻繁に使用される製品では、フタル酸エステル類の濃度を制限する必要があるが、人々は有害な暴露に気付いていない。
 医療業界では、トリメリット酸トリオクチル (TOTM) とジイソノニルエステル (DINCH) が有望な DEHP 代替品であることがわかっている (Thomas, et al., 2021)。さらに、エポキシ化大豆油 (ESBO)、ジ (2-エチルヘキシル) テレフタレート (DEHT)、アセチル クエン酸トリブチル (ATBC) は、可塑剤市場で人気のある代替フタル酸エステル(PA)である
。ヨーロッパでは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、その他のポリオレフィン、シリコーン、エチレン酢酸ビニル、多層ラミネート プラスチックを代替品として使用することにより、PVC フリーの医療機器と DEHP フリーの機器が利用可能でる [47]。
 代替軟化剤はクエン酸塩、安息香酸塩、トリメリット酸塩、アジピン酸塩であり、DEHP よりも毒性レベルがはるかに低い (Ruzickova, et al., 2004)。実行可能な場合は、プラスチック包装の代わりにガラス容器を使用し、プラスチック容器内の食品の加熱を避け、フタル酸エステルを含む可能性のある香料の使用を避け、身体手入れ用品(PCP) のラベルを読むことで、日常生活におけるフタル酸エステルへの暴露を簡単に減らすことができる [47]。
 また、フタル酸エステル類について定期的に飲料水を検査することで、居住者は安全な暴露レベルを維持できる。食品を加工するときは、食品への暴露を減らすために、フタル酸エステルを含まない手袋、調理器具、及び包装を使用することを推奨する。
 最新の暴露評価では、ヒトのフタル酸エステル類の減少と代替フタル酸エステル(PA)の増加が明らかになった[48]。健康に基づくガイダンス値よりも高い推定 1日摂取量を持っていることを検出された青年期の調査参加者はほとんどいなかった。

(3)子どもを守るために、中空の塩ビ製おもちゃ(ソフトビニル)、古いプラスチックのおもちゃ、おしゃぶりは避ける。皮膚や空気中の摂取を避けるために、子どもは工場、特にプラスチック メーカーの廃棄物サイトから遠ざける必要がありる。中国の幼稚園で行われた最近の研究では、屋外環境と比較して、屋内の空気やほこりにさらされるフタル酸エステル類の量が比較的多いことがわかった [49]。
 地域社会では、幼稚園、学校、病院、ショッピングモールでのフタル酸エステル類のレベルを制限及び測定することも必要である。代替フタル酸エステル(PA)の使用はフタル酸エステル類のレベルを低下させる可能性があるが、特に水道水や空気粒子からの PA 曝露も無視できない [50]。 プラスチック、特にフタル酸エステルを含むプラスチックの使用を自発的に避けるよう地域社会の脆弱なメンバーを教育するために、国民の意識を向上させる必要がある。

8. 結論

 プラスチックの利点は世界中で享受されているが、環境と人間の健康は悪影響を受けてい (図2)。内分泌かく乱化学物質及び SVOC としてのフタル酸エステル類は、複数の暴露経路からヒトの生殖、神経、及び発生システムに有害です。子どもはより高いレベルの暴露にあり、フタル酸エステルに対してより脆弱です。現在、多くのフタル酸エステル類は、複数の国で禁止及び制限されています。プラスチックの製造業者とサプライヤーは、国内及び国際基準を満たすためにプラスチックの規制を理解する必要があります。これまで、フタル酸エステル類への職業性暴露に関する情報は限られている。フタル酸エステル類への職業性暴露のリスクを評価するには、さらなる研究が必要です。

図2 フタル酸エステル類の適用と
人間の健康への影響

図をクリックで拡大

この研究は、中国国家自然科学基金 (21777144) によって資金提供された。
著者は、利益相反がないことを宣言する。

References

1. Cook, C.R.; Halden, R.U. Ecological and health issues of plastic waste. In Plastic Waste and Recycling; Academic Press: Cambridge, MA, USA, 2020. [Google Scholar]

2. Ke, M.J.; Ye, Y.Z.; Zhang, Z.Y.; Gillings, M.; Qu, Q.; Xu, N.H.; Xu, L.S.; Wang, J.D.; Qian, H.F. Synergistic effects of glyphosate and multiwall carbon nanotubes on Arabidopsis thaliana physiology and metabolism. Sci. Total Environ. 2021, 769, 145156. [Google Scholar] [CrossRef] [PubMed]

3. Schug, T.T.; Johnson, A.F.; Birnbaum, L.S.; Colborn, T.; Guillette, L.J., Jr.; Crews, D.P.; Collins, T.; Soto, A.M.; Vom Saal, F.S.; McLachlan, J.A.; et al. Minireview: Endocrine disruptors: Past lessons and future directions. Mol. Endocrinol. 2016, 30, 833-847. [Google Scholar] [CrossRef] [PubMed]

4. Grindler, N.M.; Vanderlinden, L.; Karthikraj, R.; Kannan, K.; Teal, S.; Polotsky, A.J.; Powell, T.L.; Yang, I.V.; Jansson, T. Exposure to phthalate, an endocrine disrupting chemical, alters the first trimester placental methylome and transcriptome in women. Sci. Rep. 2018, 8, 1-9. [Google Scholar] [CrossRef] [PubMed]

5. Verma, R.; Vinoda, K.S.; Papireddy, M.; Gowda, A.N.S. Toxic pollutants from plastic waste-a review. Procedia Environ. Sci. 2016, 35, 701-708. [Google Scholar] [CrossRef]

6. Heudorf, U.; Mersch-Sundermann, V.; Angerer, J. Phthalates: Toxicology and exposure. Int. J. Hyg. Environ. Health 2007, 210, 623-634. [Google Scholar] [CrossRef]

7. Chou, Y.Y.; Huang, P.C.; Lee, C.C.; Wu, M.H.; Lin, S.J. Phthalate exposure in girls during early puberty. J. Pediatric Endocrinol. 2009, 22, 69. [Google Scholar] [CrossRef]

8. Benjamin, S.; Masai, E.; Kamimura, N.; Takahashi, K.; Anderson, R.C.; Faisal, P.A. Phthalates impact human health: Epidemiological evidences and plausible mechanism of action. J. Hazard. Mater. 2017, 340, 360-383. [Google Scholar] [CrossRef]

9. Wang, W.; Leung, A.O.W.; Chu, L.H.; Wong, M.H. Phthalates contamination in China: Status, trends and human exposure-with an emphasis on oral intake. Environ. Pollut. 2018, 238, 771-782. [Google Scholar] [CrossRef]

10. America’s Children and the Environment, 3rd ed.; Phthalates; 2017. Available online: https://www.epa.gov/sites/production/files/2017-08/documents/phthalates_updates_live_file_508_0.pdf (accessed on 3 June 2020).

11. Jia, S.; Sankaran, G.; Wang, B.; Shang, H.; Tan, S.T.; Yap, H.M.; Shen, J.; Gutierrez, R.A.; Fang, W.; Liu, M.; et al. Exposure and risk assessment of volatile organic compounds and airborne phthalates in Singapore’s Child Care Centers. Chemosphere 2019, 224, 85-92. [Google Scholar] [CrossRef]

12. Dutta, S.; Haggerty, D.K.; Rappolee, D.A.; Ruden, D.M. Phthalate exposure and long-term epigenomic consequences: A review. Front. Genet. 2020, 11, 405. [Google Scholar] [CrossRef]

13. Hoppin, J.A.; Brock, J.W.; Davis, B.J.; Baird, D.D. Reproducibility of urinary phthalate metabolites in first morning urine samples. Environ. Health Perspect. 2002, 110, 515-518. [Google Scholar] [CrossRef]

14. Frederiksen, H.; Skakkebaek, N.E.; Andersson, A.M. Metabolism of phthalates in humans. Mol. Nutr. Food Res. 2007, 51, 899-911. [Google Scholar] [CrossRef]

15. Koch, H.M.; Bolt, H.M.; Preuss, R.; Angerer, J. New metabolites of di (2-ethylhexyl) phthalate (DEHP) in human urine and serum after single oral doses of deuterium-labelled DEHP. Arch. Toxicol. 2005, 79, 367-376. [Google Scholar] [CrossRef]

16. Park, C.B.; Kim, G.E.; Kim, Y.J.; On, J.; Park, C.G.; Kwon, Y.S.; Pyo, H.; Yeom, D.H.; Cho, S.H. Reproductive dysfunction linked to alteration of endocrine activities in zebrafish exposed to mono-(2-ethylhexyl) phthalate (MEHP). Environ. Pollut. 2020, 265, 114362. [Google Scholar] [CrossRef]

17. Genuis, S.J.; Beesoon, S.; Lobo, R.A.; Birkholz, D. Human elimination of phthalate compounds: Blood, urine, and sweat (BUS) study. Sci. World J. 2012, 3, 615068. [Google Scholar] [CrossRef]

18. Wittassek, M.; Angerer, J. Phthalates: Metabolism and exposure. Int. J. Androl. 2008, 31, 131-138. [Google Scholar] [CrossRef]

19. Lyche, J.L.; Gutleb, A.C.; Bergman, A.; Eriksen, G.S.; Murk, A.J.; Ropstad, E.; Saunders, M.; Skaare, J.U. Reproductive and developmental toxicity of phthalates. J. Toxicol. Environ. Health Part B 2009, 12, 225-249. [Google Scholar] [CrossRef]

20. Mikula, P.; Svobodova, Z.; Smutna, M. Phthalates: Toxicology and food safety-a review. Czech J. Food Sci. 2005, 23, 217. [Google Scholar] [CrossRef]

21. Capela, D.; Mhaouty-Kodja, S. Effects of pubertal exposure to low doses of di-(2-ethylexyl) phthalate on reproductive behaviors in male mice. Chemosphere 2021, 263, 128191. [Google Scholar] [CrossRef]

22. Chen, C.H.; Jiang, S.S.; Chang, I.S.; Wen, H.J.; Sun, C.W.; Wang, S.L. Association between fetal exposure to phthalate endocrine disruptor and genome-wide DNA methylation at birth. Environ. Res. 2018, 162, 261-270. [Google Scholar] [CrossRef]

23. Tindula, G.; Murphy, S.K.; Grenier, C.; Huang, Z.; Huen, K.; Escudero-Fung, M.; Bradman, A.; Eskenazi, B.; Hoyo, C.; Holland, N. DNA methylation of imprinted genes in Mexican-American newborn children with prenatal phthalate exposure. Epigenomics 2018, 10, 1011-1026. [Google Scholar] [CrossRef]

24. Wang, Y.; Zhu, H.; Kannan, K. A review of biomonitoring of phthalate exposures. Toxics 2019, 7, 21. [Google Scholar] [CrossRef]

25. Schecter, A.; Lorber, M.; Guo, Y.; Wu, Q.; Yun, S.H.; Kannan, K.; Hommel, M.; Imran, N.; Hynan, L.S.; Cheng, D.; et al. Phthalate concentrations and dietary exposure from food purchased in New York State. Environ. Health Perspect. 2013, 121, 473-479. [Google Scholar] [CrossRef]

26. Center of Disease Control and Prevention (CDC). Phthalates Factsheet. National Biomonitoring Program. April 2017. Available online: https://www.cdc.gov/biomonitoring/Phthalates_FactSheet.html (accessed on 4 June 2020).

27. Liu, G.; Cai, W.; Liu, H.; Jiang, H.; Bi, Y.; Wang, H. The Association of Bisphenol A and Phthalates with Risk of Breast Cancer: A Meta-Analysis. Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 2375. [Google Scholar] [CrossRef]

28. Soeborg, T.; Frederiksen, H.; Andersson, A.M. Cumulative risk assessment of phthalate exposure of Danish children and adolescents using the hazard index approach. Int. J. Androl. 2012, 35, 245-252. [Google Scholar] [CrossRef]

29. Jurewicz, J.; Hanke, W. Exposure to phthalates: Reproductive outcome and children health. A review of epidemiological studies. Int. J. Occup. Med. Environ. Health 2011, 24, 115-141. [Google Scholar] [CrossRef]

30. Alsen, M.; Sinclair, C.; Cooke, P.; Ziadkhanpour, K.; Genden, E.; van Gerwen, M. Endocrine Disrupting Chemicals and Thyroid Cancer: An Overview. Toxics 2021, 9, 14. [Google Scholar] [CrossRef]

31. Xia, B.; Zhu, Q.; Zhao, Y.; Ge, W.; Zhao, Y.; Song, Q.; Zhou, Y.; Shi, H.; Zhang, Y. Phthalate exposure and childhood overweight and obesity: Urinary metabolomic evidence. Environ. Int. 2018, 121, 159-168. [Google Scholar] [CrossRef]

32. Berman, Y.E.; Doherty, D.A.; Main, K.M.; Frederiksen, H.; Hickey, M.; Keelan, J.A.; Newnham, J.P.; Hart, R.J. Associations between Prenatal Exposure to Phthalates and Timing of Menarche and Growth and Adiposity into Adulthood: A Twenty-Years Birth Cohort Study. Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 4725. [Google Scholar] [CrossRef]

33. Vernet, C.; Pin, I.; Giorgis-Allemand, L.; Philippat, C.; Benmerad, M.; Quentin, J.; Calafat, A.M.; Ye, X.; Annesi-Maesano, I.; Siroux, V.; et al. In utero exposure to select phenols and phthalates and respiratory health in five-year-old boys: A prospective study. Environ. Health Perspect. 2017, 125, 097006. [Google Scholar] [CrossRef] [PubMed]

34. Sui, H.; Jiang, D.; Wu, P.; Zhang, L.; Liu, Z.; Yang, D. Dietary intake and risk assessment of diethylhexyl phthalate in Chinese populations. Zhonghua Yu Fang Yi Xue Za Zhi Chin. J. Prev. Med. 2015, 49, 218-222. [Google Scholar]

35. Lioy, P.J.; Hauser, R.; Gennings, C.; Koch, H.M.; Mirkes, P.E.; Schwetz, B.A.; Kortenkamp, A. Assessment of phthalates/phthalate alternatives in children’s toys and childcare articles: Review of the report including conclusions and recommendation of the Chronic Hazard Advisory Panel of the Consumer Product Safety Commission. J. Expo. Sci. Environ. Epidemiol. 2015, 25, 343-353. [Google Scholar] [CrossRef] [PubMed]

36. Gaspar, F.W.; Castorina, R.; Maddalena, R.L.; Nishioka, M.G.; McKone, T.E.; Bradman, A. Phthalate exposure and risk assessment in California child care facilities. Environ. Sci. Technol. 2014, 48, 7593-7601. [Google Scholar] [CrossRef] [PubMed]

37. Koch, H.M.; Wittassek, M.; Bruning, T.; Angerer, J.; Heudorf, U. Exposure to phthalates in 5-6 years old primary school starters in Germany-A human biomonitoring study and a cumulative risk assessment. Int. J. Hyg. Environ. Health 2011, 214, 188-195. [Google Scholar] [CrossRef]

38. Gao, H.; Huang, K.; Wu, X.Y.; Cai, X.X.; Han, Y.; Zhu, P.; Hao, J.H.; Tao, F.B. Cumulative risk assessment of phthalates exposure in preschool children. Zhonghua Liu Xing Bing Xue Za Zhi 2019, 40, 585-589. (In Chinese) [Google Scholar]

39. Xu, Z.; Xiong, X.; Zhao, Y.; Xiang, W.; Wu, C. Pollutants delivered every day: Phthalates in plastic express packaging bags and their leaching potential. J. Hazard. Mater. 2020, 384, 121282. [Google Scholar] [CrossRef]

40. Zhang, Y.; Huang, B.; Thomsen, M.; Sabel, C.E.; Hess, F.; Hu, W.; Tian, K. One overlooked source of phthalate exposure-oral intake from vegetables produced in plastic greenhouses in China. Sci. Total Environ. 2018, 642, 1127-1135. [Google Scholar] [CrossRef]

41. Mutsuga, M.; Wakui, C.; Kawamura, Y.; Maitani, T. Isolation and identification of some unknown substances in disposable nitrile-butadiene rubber gloves used for food handling. Food Addit. Contam. 2002, 19, 1097-1103. [Google Scholar] [CrossRef]

42. EUR-Lex. EU Phthalates Directive 2005/84/EC. 14 December 2005. Available online: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32005L0084 (accessed on 4 June 2020).

43. Commission Regulation (EU) 2018/2005. Official Journal of the European Union. 17 December 2018. Available online: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32018R2005&from=EN (accessed on 4 June 2020).

44. Consumer Product Safety Improvement Act of 2008 (CPSIA). Public Law 110-314. 14 August 2008. Available online: https://www.congress.gov/110/plaws/publ314/PLAW-110publ314.pdf (accessed on 4 June 2020).

45. Product Safety Australia. DEHP in Children’s Plastic Items. Australian Competition & Consumer Commission. n.d. Available online: https://www.productsafety.gov.au/bans/dehp-in-childrens-plastic-items (accessed on 4 June 2020).

46. Center of Health, Environment & Justice. PVC Policies across the World. n.d. Available online: http://www.chej.org/pvcfactsheets/PVC_Policies_Around_The_World.html (accessed on 4 June 2020).

47. Hartmann, C.; Uhl, M.; Weiss, S.; Koch, H.M.; Scharf, S.; Konig, J. Human biomonitoring of phthalate exposure in Austrian children and adults and cumulative risk assessment. Int. J. Hyg. Environ. Health 2015, 218, 489-499. [Google Scholar] [CrossRef]

48. Bastiaensen, M.; Gys, C.; Colles, A.; Malarvannan, G.; Verheyen, V.; Koppen, G.; Govarts, E.; Bruckers, L.; Morrens, B.; Franken, C.; et al. Biomarkers of phthalates and alternative plasticizers in the Flemish Environment and Health Study (FLEHS IV): Time trends and exposure assessment. Environ. Pollut. 2021, 276, 116724. [Google Scholar] [CrossRef]

49. Wang, L.; Wu, Z.; Gong, M.; Xu, Y.; Zhang, Y. Non-dietary exposure to phthalates for pre-school children in kindergarten in Beijing, China. Build. Environ. 2020, 167, 106438. [Google Scholar] [CrossRef]

50. Li, N.; Ying, G.G.; Hong, H.; Tsang, E.P.K.; Deng, W.J. Plasticizer contamination in the urine and hair of preschool children, airborne particles in kindergartens, and drinking water in Hong Kong. Environ. Pollut. 2021, 271, 116394. [Google Scholar] [CrossRef]



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る