国際産婦人科連合(FIGO) 2015年10月1日
世界の産科婦人科団体は 有害化学物質への暴露を防止するために さらなる努力をするよう促す 情報源:International Federation of Gynecology and Obstetrics (FIGO), October 1, 2015 Global Ob-Gyn Group Urges Greater Efforts to Prevent Toxic Chemical Exposure http://www.figo.org/sites/default/files/uploads/News/ FIGO%20FINAL%20press%20release%209.17.2015wlogo.pdf 訳:安間 武(化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2015年12月5日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/FIGO/ FIGO_151001_news_prevent_toxic_chemica_exposure.html 生殖健康専門家らは、胎児の化学物質への暴露と健康不良との関連はますます明白になっていると言う
有害化学物質への人の暴露に関して確固たる立場を表明した最初の世界的生殖健康団体である国際産婦人科連合(FIGO)によれば、過去40年間における有害化学物質への暴露の劇的な増加は、人の生殖と健康を脅かしている。 世界の125か国/地域の産科婦人科団体を代表する FIGO は、7,000人以上の医師と科学者が女性の健康問題における世界の傾向を探るために 2015年10月4日〜8日にカナダのバンクーバで開催される第21回世界会議の直前である2015年10月1日に、『 International Journal of Gynecology and Obstetrics 』 にその意見を発表した。 ”我々は、テストされておらず、安全ではない世界にどっぽり浸かって溺死しそうになっており、我々の生殖健康という観点で支払っている金額に深刻な懸念を持っている”と、FIGO の名誉幹事であり、 FIGO の意見書の主著者であるギアン・カルロ・ディレンゾ博士(MD, PhD)は述べた。ディレンゾ博士によれば、生殖健康専門家らは彼らの患者を診て健康問題の数が増大していることを直接見ており、有害化学物質への暴露を防げば、世界中の女性、子ども、そして家族への負荷を軽減することができる。 アメリカ、イギリス、及びカナダの主要な世界的健康専門家の学会及びカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)からの産科婦人科医及び科学者らのチームによって書かれた FIGO 意見書によれば、流産、死産、胎児成長異常、先天的形成異常、神経系及び認識機能の発達異常、並びに、がん、注意力問題、ADHD 行動及び多動症の増加は、農薬、大気汚染、プラスチック、溶剤[原注1]のような化学物質に関連する有害健康影響の一部である。 原注1:これらは有害環境化学物質のほんの一例である。世界の市場には 70,000 〜 100,000 の化学物質がある。そのうち約 4,800 が”高生産量化学物質”であり、世界の製造における圧倒的な量を占める。参照: References: OECD Environmental Outlook to 2030. Paris, France: Organisation for Economic Co-operation and Development; 2008. The European Environment, State and Outlook 2010: Assessment of Global Megatrends, Copenhagen, Denmark: European Environment Agency; 2010:80-91. ”FIGO が言っていることは、医師らは化学物質暴露の健康リスクについて単に患者に助言するだけでなく、それ以上のことをする必要があるということである”と、FIGO 意見書の共著者であり、2013年に化学物質と生殖健康に関する意見を発表した米国産婦人科学会(ACOG)の元会長であるジーン A. コンリー博士(MD, PhD)は述べた。 ”我々は、有害化学物質への無意識の暴露の危険性から我々の患者と地域社会を保護する方針を主張する必要がある”。 FIGO によれば、化学物質製造は発展途上国において今後5年間で急速に増大することが予測される。アメリカだけでも一人当たり30,000ポンド(約1.4トン)が製造又は輸入されているが、これらの化学物質の大部分はテストされていない。化学物質は、現在欧州連合とアメリカの間で交渉が行われている環大西洋貿易投資パートナーシップのような国際的な貿易協定を通じて地球を移動する。環境及び健康問題に取り組む団体は、有害化学物質から地域社会を保護するよう設計されている管理と規則を弱めるとして提案されている協定を批判している。 ”大気、食物、そして供給水中の化学物質への暴露は不均衡に貧しい人々に影響を及ぼす”と、FIGO 意見書の共著者であり、米国生殖医学会(ASRM)の元会長であり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の産科婦人科部門の議長であるリンダ・ギウディス博士(MD, PhD, MSc)は述べた。”発展途上国では、下気道感染症は、先進国におけるよりも 2 倍以上、化学物質により引き起こされるようである”。 FIGO 意見書によれば、有害環境化学物質への暴露は数百万人の死亡に関連しており、毎年数十億ドルのコストがかかっており、FIGO 意見書は次のような例を挙げている。
FIGO は、医師、助産婦、及びその他の生殖健康専門家唱道者らに、有害環境化学物質への暴露を防止し;すべての人々に健康な食物システムを確実にするために活動し、環境的健康を健康管理の一部とし、環境正義を擁護する方針を提案している。 FIGO 意見書は、米国産婦人科学会(ACOG)、米国生殖医学会(ASRM)、国際産婦人科連合(FIGO)、王立大学産婦人科(RCOG)、カナダ産婦人科学会(SOGC)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)−生殖健康と環境に関するプログラム、及び世界保健機関(WHO)からの医師と科学者からなるひとつの国際グループにより著された。これら及びその他の数多くの生殖健康団体が FIGO 意見書に賛同し、又は公式に支持した。 FIGO 意見書はまた、健康環境連合((HEAL)、未来を共有するヨーロッパの女性(WECF)、ヘルス・ケアー・ウィズアウト・ハーム(HCWH)、及び社会的責任を果たすための医師団(PSR)を含む健康及び唱道団体により大歓迎された。 国際産婦人科連合(International Federation of Gynecology and Obstetrics (FIGO))は、全世界125か国/地域からの産科と婦人科の連合団体である。本団体は、産科及び婦人科の科学と医療の促進とともに、女性の健康と権利の改善、及び女性と新生児に利用可能な健康管理における不均衡の削減に専心している。ロンドンを拠点とする本団体は、3年毎の世界会議を開催するが、そこには 7,000人以上の女性の健康に関する科学者、医師、その他の同様な健康専門家らが産科及び婦人科における最新の科学と最良の医療を発表するために参集する。今年の第21回国際会議はカナダのバンクーバーで開催される。 CONTACT: U.S. + Canada - Susan Lamontagne, susan@publicinterestmedia.com or 631 899-3825 Europe - Diana G. Smith, diana@env-health.org or +33 4 68 23 52 78 |