ピーター・モンターギュの
簡潔な予防原則


情報源:THE PRECAUTIONARY PRINCIPLE IN A NUTSHELL
By Peter Montague
Environmental Research Foundation, August 27, 2005
http://www.precaution.org/lib/pp_def.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2005年10月27日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/rpr/pp_nutshell.html


 予防原則のウィングスプレッド声明での定義は現在、広く引用されている。

  • ある行為が人間の健康あるいは環境への脅威を引き起こす恐れがある時には、例え原因と結果の因果関係が科学的に十分に立証されていなくても、予防措置(precautionary measures)がとられなくてはならない。

  • このような状況においては、科学的証明の責務は市民にではなく、行為を行なおうとする者にある。

  • 予防原則を適用する過程は公開され、開示され、民主的でなくてはならず、影響を受けるかもしれない関連団体を参加させなければならない。また何もしないということも含めて代替案について十分に検討しなくてはならない。

予防の本質

 批判家は予防原則は十分に定義されていないという。しかし、”科学と環境健康ネットワーク(SEHN)”は予防原則の公式として3つの項を指摘している。

 1) 合理的な危害の疑いがある場合には、
 2) 原因と結果について科学的不確実性があっても、
 3) 我々はその危害を防ぐために行動を起こす義務がある。


予防措置はとるべき5つの行動を提案している。

  1. 目標を設定すること。
  2. 最も危害の少ない方法を選択することを目指し、その目標を達成する全ての合理的な方法を検証すること。
  3. 結果を監視し、早期の警告に注意し、必要があれば途中での修正を行うこと。
  4. 立証責任を移行すること。結果が不確かな場合には、疑いは自然、公衆の健康、そして地域の福祉に利益となるように向けられること。責任ある団体(政府や公共組織ではない)が必要とされる情報を生成することを求めること。市場に出される前に製品の合理的な安全性を求めること。それは食品医薬品局(FDA)が新たな医薬品が市場に出される前に合理的な安全性を求めるのと同じである。
  5. 意思決定プロセスにおいて、その決定によって影響を受ける人々の知識を敬い、結果について真の”発言の機会”を与えること。このアプローチにおいては、倫理や正邪、正義の問題が決定の中で自然と重要になる。

 予防的アプローチでは、”どれだけの危害なら許容されるのか?”という基本的なリスク評価の問いの代わりに、”いかに小さな危害が可能か?”ということを問う。

結論

 危害があるという合理的な疑いに直面した場合には、危害を防ぐあるいは最小にする目的のために、予防的アプローチは入手可能な代替について完全な評価を行うことを主張する。

 アメリカにおいて、予防的アプローチの主導的推進者は、”科学と環境健康ネットワーク(Science and Environmental Health Network (SEHN))”である。そのウェブサイトは情報の宝の山である。
 このウェブサイトのいくつかの読み物を以下に挙げる:

予防原則概要
予防原則と自治体
予防原則と環境正義
職場における予防原則

予防原則と環境科学
予防原則と子どもの健康
予防原則と公衆の健康


化学物質問題市民研究会
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