欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
27. 予防はもっと多くか少なくか? (概要編)
David Gee
情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part D Summary
27 More or less precaution?
David Gee

http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-27

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月27日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/27_More_or_less_summary.html


 EU や各国の増大する法律や判例の中に存在するにもかかわらず、予防原則の適用は、その使用による短期的な経済コストを重視する既得権益により強く反対されてきた。また、科学的無知と不確実性が在来の科学パラダイムに過度に存在していることを認めず、また要因への曝露と危害との因果関係を認める前に非常に強い証拠を求める科学者らの知的抵抗もある。

 この章は、予防原則のもっと一般的な理解と、もっと広い適用に関連する主要な論点のいくつかに焦点を合わせている。これらは、予防原則の、及び防止、リスク、不確実性、変わりやすさ、そして無知のような関連する概念の、異なる混乱した定義;予防原則の意味についての一般的な神話;科学的な複雑さと不確実性の扱いへの異なるアプローチ;そして異なる目的のための証拠の異なる強さの使用;を含む。

 新たに出現している技術に関して、知識の無知に対する割合が低いときに予防原則は特に適切であるとする規制当局にとって、予防原則を適用する状況はまた、”知識と無知”の割合を考慮することも必要である。

 予防原則の作業用定義は、▼予防原則の使用の状況に目を向けない▼予防を正当化する証拠の状況特有の強さの必要性に言及しない▼行動する又は行動しないことの賛否両論についての過度に狭い解釈−のような三重の否定(triple negatives)を使用する他の定義による異議のいくつかを克服することを目的とするとして表現されている。

 この章はまた、EU条約によって求められる”高いレベルの保護”の記述を含んで、上流の革新と下流のハザードの両方についての枠組み化と意思決定のプロセスへの公衆のもっと大きな関与の必要性を指摘している。リスク分析のための予防と参加の枠組みが、因果関係のための補足的基準に対するいくつかの”行動基準”とともに、提案されている。

 大災害を予見し先んじる能力は、特にそのような行動が強力な経済的及び政治的権益により反対される時に、『早期警告からの遅ればせの教訓』の中の事例研究が示しているように、限定されるように見える。この章は、不確実性、無知と複雑性、そしてより広い公衆の関与に直面して、大いに謙遜しつつ、社会は、革新を促進しつつ、多くの将来のハザードを予見し最小化するために過去の経験の教訓に留意し予防原則を使用することができると主張している。そのようなアプローチはまた、もっと参加型のリスク分析;もっと現実的で透明性のあるシステム科学;そして人々と生態系の必要に合致するよう設計されたもっと社会に関連する多様な革新を促進するであろう。



化学物質問題市民研究会
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