Beyond Plastics ニュースリリース 2022年5月4日
新しい報告書が、米国のプラスチックのリサイクル率は
5%〜6%に低下したことを明らかにする


情報源:Beyond Plastics, News Release, May 4, 2022
New Report Reveals that U.S. Plastics
Recycling Rate Has Fallen to 5% - 6%

https://www.beyondplastics.org/press-releases/
the-real-truth-about-plastics-recycling


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年5月23日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/plastic/news/220504_Beyond_Plastics_
New_Report_Reveals_that_US_Plastics_Recycling_Rate_Has_Fallen_to_5pct-6pct.html

 カリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタの 2022年4月29日の石油化学及び化石燃料産業によってなされたリサイクルに関する主張についての主要な調査の発表に続いて、プラスチック政策/技術の専門家らは、米国のプラスチック・リサイクル率が低いことを文書化した新しい数字を発表した。

 [環境団体の]”The Last Beach Clean Up”と”Beyond Plastics”は、2021年の米国における使用済みのプラスチック廃棄物のリサイクル率を 5〜6%と推定した新しい報告書 ”The Real Truth About the U.S. Plastics Recycling Rate”(米国のプラスチックのリサイクル率に関する真実)を発表した。両団体はまた、プラスチックのリサイクルは減少傾向にあり、プラスチック廃棄物の 1人あたりの発生量は 1980年以降 263%増加していることを明らかにした。

 ”プラスチック業界は、プラスチックのリサイクルについて世間に嘘をつくのをやめなければならない。プラスチック・リサイクルは機能していないし、どんなに嘘の広告を垂れ流しても無駄である。代わりに、消費者製品企業や政府がプラスチックの生産、使用、廃棄を削減する政策を採用する必要がある”と、Beyond Plastics の代表であり、元米国環境保護庁地域長官のジュディス・エンクは述べた。

 プラスチックのリサイクルの失敗は、66%がリサイクルされる紙とは対照的である(米国森林製品協会〈American Forest and Products Association〉による2020年の数値)。使用済みの紙、ボール紙、金属のリサイクル率が高いことは、リサイクルが貴重な天然素材資源の再生に役立つことを証明している。年間数百万トンが中国に輸出されていたプラスチック廃棄物をリサイクルされたものとして数えたとしても、10%に達したことはなく、常に失敗しているのがプラスチックのリサイクルである。

 ”プラスチックにはサーキュラーエコノミー(訳注1)はない。プラスチック生産会社及びプラスチック製品会社は、他の材料のリサイクルの成功をプラスチックで成功の様に言い、プラスチックはリサイクル可能であるという神話を作り出すためにリサイクルしたいというアメリカの願望を取り込んだ”と、ラスト・ビーチ・クリーンアップの技術者兼創設者であるヤン・デルは述べた。

 真実は、プラスチック廃棄物の 6%しかリサイクルされておらず、残りの 94%は埋め立て地に投棄処分されるか、焼却炉で燃やされるか、あるいはたった一回だけ、多くの場合わずか数分間使用されただけで、海、水路、そして景観を汚染している。収集されたペット・ボトルの 30%しかリサイクル・プロセスで処分されないので、プラスチックのリサイクルプロセス自体が無駄である。

 歴史的に、米国環境保護庁(EPA)は、11月15日の全国リサイクル・デーに、リサイクル率に関する最新の年次データを発表してきた。ただし、EPA は、2018年のリサイクル率を公表した 2020年11月以降、更新されたリサイクル率を発表していない。

 我々は、拡大する一連の絡み合ったプラスチック汚染と気候変動の危機に直面しており、これらの更新されたリサイクル率を知ることは一層重要になっている。このギャップを埋めるために、”The Last Beach Clean Up”と” Beyond Plastics”は、全米科学アカデミー、全米技術アカデミー及び全米医学アカデミー、全米技術アカデミー及び全米医学アカデミー、最新の米国輸出、並びに廃棄物産業からのデータを調査し、新の輸出品である National Academy of Science、Engineering、Medicineのデータを調査し、2021年の米国のプラスチック・リサイクル率を 5〜6%として導き出した。(訳注2:日本は?

 ”我々は、米国環境保護庁(EPA)に対し、これらの重要な数値をできるだけ早く公表するよう要請する。政治家と一般市民は、我々全員が直面しているプラスチック汚染の危機について情報に基づいた決定を下すために、このデータを必要としている”とエンクは述べた。

 先週、カリフォルニア州司法長官は、プラスチック汚染に関して石油化学および化石燃料産業が果たした役割についての調査を開始した。ボンタ司法長官は、エクソンモービルへに召喚状を発行することにより、この化石燃料の巨人がプラスチックの悪影響とプラスチックのリサイクルの有効性の両方について一般大衆に嘘をついたかどうかを判断することに着手した。

 同社は直ちに、危機の深刻さから注意をそらし、効果的な解決策の採用を遅らせることを目的とした、プラスチックを燃やすためのど派手な新しい名称である「高度なリサイクル」技術に取り組んでいると主張して、プラスチックについての別の嘘をもって対応した。

 ”Last Beach Clean Up と Beyond Plasticsは、いわゆる「高度なリサイクル」又は「化学的リサイクル」を拒否する。これは 、プラスチック業界が売り歩いている最新の誤った解決策である。実行可能でも環境的に適切でもないからである。詳細については天然資源防衛協議会(NaturalResourcesDefenseCouncil)の問題提起「リサイクルの嘘:プラスチックの化学的リサイクルは単なる焼却のグリーン・ウォッシング」(訳注3)をご覧いただきたい。”化学的リサイクルは、混合家庭プラスチック廃棄物には効果がなく、プラスチック汚染を減らすこともできない」とデルは述べた。

 報告書は、ビニール袋の禁止、給水ステーションを設けることによりプラスチック・ボトル入り飲料水の禁止、再利用システムなど、プラスチックの廃棄物と汚染をうまく削減した公共政策の例をを挙げている。プラスチックのリサイクルについての真実が理解されると、これらの効果的な政策が広く採用される可能性がはるかに高くなる。


訳注1
訳注2
訳注3


化学物質問題市民研究会
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